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ブリヂストン、2輪車用タイヤ新商品「BATTLAX SPORT TOURING T32」説明会 “インゲン豆”のような「パルスグルーブ」初採用でウェット制動距離7%短縮
重量車向けのGTスペックは摩耗ライフ10%向上
2021年1月22日 19:23
- 2021年1月22日 開催
ブリヂストンは1月22日、2月1日発売のスポーツツーリングタイヤ「BATTLAX SPORT TOURING T32」の新商品説明会を開催した。
BATTLAX SPORT TOURING T32は、2018年に発売した同「T31」の後継モデルで、新たに独自技術の「パルスグルーブ」などを採用することでウェット性能を高めた。タイヤのサイズラインアップはフロント10サイズ、リア12サイズで、車重250kg以下向けのスタンダードなタイプと、一部サイズでは車重250kg超向けの「GT」スペックも用意する。
排水性向上でウェット路面でのトラクション性能を向上、制動距離は7%短縮
T32の最大の特徴は、同社の2輪車向けタイヤとしては初めてとなる新パターン「パルスグルーブ」を採用したこと。「インゲン豆のような」脈動形状とし、溝の中に整流効果をもたらす「ディフレクター」を設けることによって、水流を均一化して流速をアップさせ、排水性を向上させた。
加えて、タイヤ表面に占める溝の比率を主にショルダー部で高めたことにより、ウェット路面における全体的な性能を向上。たとえばウェット路面でのトラクション性能は、60km/hからの加速テストにおいて、T31と比較してタイヤが空転するタイミングが明らかに遅くなったとし、制動距離もT31比で7%短縮したという。
溝比率が高まったことで損なわれがちなドライ性能については、同社独自の分析・最適化技術「ULTIMAT EYE(アルティメット アイ)」によるタイヤパターンの最適化により、接地性を向上させることで維持。偏摩耗の発生も抑制できるよう設計している。タイヤ接地面において、走行時にグリップを発揮している「粘着域」はT31よりも増加しており、特にリアでは13%拡大。摩耗ライフはT31と同等程度を維持した。
また、パルスグルーブをはじめとする採用技術はT32と同じくしながらも、250kg以上の重量車向けには「GT」スペックもラインアップする。T31と比較して、溝比率を低下させることによりドライ性能を高めつつ、ロングツーリングで求められる安定性と、約10%アップの耐摩耗性を実現。ウェット性能についてはT31の同等かそれ以上とした。
スタンダードのT32は、250kg以上の車両であっても利用可能。街乗りやショートツーリングがメインで、ウェット路面を走行する機会が多いならスタンダードのT32を、ロングツーリング主体で安定性、ライフ重視ならGTスペックを、といった選び方もできるとしている。
T32はおとなしく、わがままを言わないタイヤ
開発を指揮したMCタイヤ事業部長の藤田昌宏氏は、1月22日に行なわれたオンライン説明会において、新しいT32について「ドライ路面での素直なハンドリング特性」をもち、「安心・安全を感じながらバイクの楽しさを存分に味わえる」タイヤになっているとアピール。設計担当の原田陽一氏は「斬新な見た目にこだわった」と話したが、性能についてもそれに見合う高いものに仕上がったと強調した。
また、テストライダーとして開発に携わった同社タイヤ開発支援部門の西村元宏氏は、開発の方向性について特に「接地感について重視した」と説明。路面からのフィードバックが容易に得られることを目指して開発を進めたことで、結果的にリアタイヤの粘着域が13%アップしたことは「納得の数字」だとし、「高い接地感を、浅いキャンバーから深いキャンバーまで、全域で皆さんに感じていただけるのでは」と話した。
ブリヂストンモーターサイクルタイヤ 代表取締役社長の佐藤潤氏は、外気温5℃前後のコンディションで、ドライ路面またはウェット路面の峠道、高速道路などを走行したときの第一印象として、「T31はコーナリングを手助けしてくれるようなものだったが、T32はおとなしく、わがままを言わないタイヤに感じた」とコメント。
オートバイ本来がもつキャラクターに影響を与えることなく、ライダーの思った通りに動いてくれるような「かわいらしい相棒」になるとし、ハイグリップタイヤが基準になるスーパースポーツのような車種であっても、ロングツーリングがメインであれば「T32を装着してもいい」と思える製品になっている、と語った。