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スズキ、「50万km乗ってほしい!」新型「ハヤブサ(隼)」の開発チームインタビュー動画を公開

300km/hに到達するのは当然なので余力を低中速の出力改善に使った

2021年2月5日 公開

Hayabusa| Official development team interview video : Poised to Create a New Legend | Suzuki(17分42秒)

 スズキは2月5日、グローバル向けYouTube公式チャンネルで、3代目となる新型「ハヤブサ(隼)」の開発チームインタビュー動画を公開した。

 動画の冒頭ではスズキ 代表取締役社長である鈴木俊宏氏が、実際に開発途中のハヤブサを試乗して「設計者と開発者が次のハヤブサはどうしようと、悩みに悩んで出てきた回答がコレだよね。開発途中のモデルに乗ったけど、非常に乗りやすいバイクになっていた。180km/hの普段は使わないような領域でも安定しているので、本当によくなっていると分かった。初代モデルが売れただけに、どうやって変えていくか? キープコンセプトという中でどう進化させるのか? 非常に悩んだ中で、正常進化したフォルムになっていると思う」と感想をコメント。

自らライディングして感想をコメントする鈴木俊宏社長
開発中のCGデザイン
2代目のエンジンは完成度が高かった
2代目からほぼ変更のなかった展伸材フレーム

 また動画には、アシスタントチーフエンジニア、シャーシデザイナー、スタイリングデザイナー、カラーデザイナー、クレイモデラーなど開発チームが大勢登場。これまでフレームの異なる試作車のほか、排気量や気筒数の異なる試作車も制作したことや、数えきれないトライ&エラーを繰り返しながら完成度を高めてきたことなどが語られている。

 他にも、フレームについては、四輪のスーパーカーに使われているような展伸材を今回も採用したことでベストなものができたことや、空力性能と冷却性能をバランスよく仕上げるのにとても苦労したなど、これまでの殻を打ち破ってまったく新しい魅力を備えたものに仕上げたという。

 アシストチーフエンジニアの粕谷氏は、エンジン排気量とポテンシャルからすると300km/hに到達するのは当然で、今回のハヤブサについては、余力を低中速出力の改善に使ってもらい、それによって電子制御と相まって非常に乗りやすいバイクになったとコメントしている。

3世代の並走シーン
初代ハヤブサ 1998年~2007年
2代目ハヤブサ 2008年~2020年
3代目ハヤブサ 2021年~
高速域の性能はそのままに、低中速の実用領域の扱いやすさを向上させた

 3代目ハヤブサのデザインコンセプトは「The Refined Beast」であると紹介され、知性(理性)を備えた凶器のように、パワーと情熱をもったスタイリングを目指したという。特にミラーはデザインと空力性能にこだわったとも明かされた。また、いくら空力がよくてもハヤブサだと思われない形状になってしまっては意味がないとクレイモデラーの苦労も語られている。

 また、今回はメッキパーツを使い、エンジンのパワーを可視化しつつ、パワーをアシストする空気の流れもデザインに取り込んでいるのが特徴で、さらに「隼」の漢字も、スピード感をなくなさいようにしながら強弱のあるデザインにしたと動画の中で紹介されている。

風洞空力実験の様子
多くのスケッチの中から最終デザインが決まった
パワーを可視化するデザイン
空気の流れもデザインに取り込んだ
何度も修正作業が行なわれたクレイモデル

 3代目となり大きく進化したのが電子制御。この電子制御によって懐の広いバイクになり、より多くのユーザーが乗れるバイクになったという。また、電子制御は付いていればOKというものではなく、乗っているライダーに対していかに違和感なく機能するか、それがメーカーの腕の見せ所だとも開発チームはコメントしている。

ハヤブサの特徴でもある5連メーターのデザインも継承
いろいろ試した結果、2代目エンジンのブラッシュアップに落ち着いた
エンジンテストの様子
テストライダーの中島裕一氏

 さらに、テストライダーの中島裕一氏は、ターボや排気量をアップしたモデル、6気筒などたくさんのモデルができては消えていき、最終的に現行エンジンに勝てるのはなかったと回顧。さらに最新の電子デバイスについて、設計に無理を言って3段階だったものを5段階に、5段階だったものを10段階にと設定変更の幅を広げてもらい、5年、10年と乗り続けて、自分のライディングスタイルが変わったとしても、エンジン特性も一緒に変更ができるようにした。そこは譲らなかったと明かしている。

 最後にエンジンデザイナーの溝口氏は、性能はもちろん品質、耐久性も含めて本当に作りあげたので、長いこと乗ってください。10万km、20万km、なんなら50万km!と想いのうちを語っている。