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トヨタ、WRCで1994年以来の3冠達成 ヤリスWRC 1号車のオジエ/イングラシア組が2021年チャンピオン獲得

2021年11月22日 発表

セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア組

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(トヨタ自動車)は11月21日(現地時間)、2021年WRC(FIA世界ラリー選手権)第12戦ラリー・モンツァで、ヤリスWRC 1号車のセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が優勝。2021年シーズンのドライバーおよびコ・ドライバー選手権のチャンピオンを獲得。トヨタは、2021年のマニュファクチャラーズタイトルも獲得し、1994年以来の3冠を達成した。

 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組のドライバーおよびコ・ドライバーチャンピオン獲得は、通算8回目。

 また、ヤリスWRC 33号車のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組は総合2位でフィニッシュし、ドライバーおよびコ・ドライバー選手権2位を獲得。今回オジエ選手とエバンス選手がマニュファクチャラーズポイントを加算したことにより、トヨタはマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。

 トヨタのマニュファクチャラーズタイトルは、2017年に「ヤリスWRC」でWRCに復帰してから、2度目のタイトル獲得。トヨタとしては通算5回目のタイトル獲得となり、WRC歴代3位の記録となった。

 なお、5シーズンに渡りWRCを戦った「ヤリスWRC」は通算26勝をあげた。2022年シーズンからは、ハイブリッドシステムを搭載する次世代のRally1カーが登場し、新たにワークスカーの役割を担うことになる。

表彰台

 ドライバーチャンピオンを獲得した、ヤリスWRC 1号車のオジエ選手は、「今の気持ちを表現するのはとても難しいことです。いつもそうですが、チャンピオンシップを勝ちとるためには多くのことを捧げてハードにシーズンを戦う必要があり、へとへとになってしまいます。しかし、私達は今日のような瞬間を経験するために戦っているのです。チームのメンバー全員に感謝します。彼らの存在なしにわれわれは何もできないですし、今日はチームの全員がワールドチャンピオンになったのですから、みんなで祝いましょう。トヨタが成し遂げたことは非常に素晴らしいことですし、チームはタイトルを獲得するに相応しい、多大な努力を重ねてきました。また、これでジュリアンとの旅が終わりになるのかと思うと、感慨もひとしおです。これ以上のよい終わり方はなかったと思います。この週末を迎えるにあたってはやるべきことがたくさんあり、戦いがまだ終わっていないことを理解していました。エルフィンに勝つ必要こそありませんでしたが、リラックスすることはできず、順位を落とすわけにもいかなかったので、最終的に優勝できたのはパーフェクトな結末といえます」とコメント。

 また、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ氏は「マニュファクチャラーズタイトル、ドライバーズタイトル、コ・ドライバーズタイトルを全て同時に獲得するために、われわれは非常に努力してきました。チームには本当に感謝しています。われわれのチームには、素晴らしい人材と、WRCで最高のドライバー達が揃っていますし、皆を本当に誇りに思います。セブとジュリアンが成し遂げたことは、信じられないくらい素晴らしいものです。エルフィンとスコットも、素晴らしい走りで戦いを盛り上げてくれましたし、カッレとヨンネのサポートにも心から感謝したいと思います。2018年に私はドライバーとしてマニュファクチャラーズタイトルを獲得しましたが、今回、チーム代表として再びそれを達成できたのは、特別な出来事です。また、ヤリスWRCでこのWRカーの時代を終えることになり、今シーズン9勝できたことも素晴らしいと思います」とコメントしている。

 なお、チームオーナーの豊田章男氏もコメントを発表、以下はその全文となる。

チームオーナー豊田章男氏のコメント

 今シーズンは、どのラリーも貴元を含む4人のドライバー達の誰かが表彰台に立ってくれていました。私も「誰かが勝ってくれるだろう…」という想いを持ちながらワクワクした気持ちで全戦を見守ることができていたと思います。そして迎えた最終戦。セブは8度目のチャンピオン。エルフィンは初のチャンピオンを掛けて最後の最後まで全力で駆け抜け戦ってくれました。いちファンとしても最高にエキサイティングな気持ちにさせてもらえました。「こんなにもエキサイティングな走りを最高峰の道でヤリスが…」われわれトヨタにとっては本当に夢のような話です。そんな気持ちにさせてくれた2台のクルー達に心から”ありがとう”と伝えたいと思います。そしてその戦いを制したセブ、ジュリアン、チャンピオンおめでとう! 今日も最後まで全力でエルフィンを迎え撃った君たちの走りに心から敬意を表します。8度のチャンピオン獲得は本当に偉大な記録です。その内2回がトヨタでのチャンピオンであることをわれわれも誇りに思います。本当にありがとう!

 われわれは同時にマニュファクチャラーズタイトルも獲得することができました。「マニュファクチャラーズタイトルも絶対に獲る…」「同時にセブとエルフィンにも心おきなく戦ってもらう…」この2つを成し遂げようとチームは心をひとつに最終戦に臨んでくれていました。自分が上位にいればチームタイトルは決まると分かっていたカッレの走りがまさにこのことを示していたと思います。カッレ、ヨンネ、チームのためにありがとう。このような采配でチームが笑顔になれたのはヤリ-マティがいたおかげです。ドライバー出身のヤリ-マティは”ドライバーファースト”の想いに溢れたリーダーでした。チームの判断の全てがドライバー視点でなされていたからこそドライバーみんなが笑顔でシーズンエンドを迎えているように思います。同時に、ヤリ-マティは”負け嫌い”です。きっと私と同じくらいかもしかしたら私以上かもしれません。要所要所で見せてくれた”負け嫌いな采配”がこのチームを強くしてくれたと思います。

 ヤリ-マティが私を驚かせてくれたことはもうひとつありました。メンバーとの丁寧なコミュニケーションです。早朝のサービスパークでメンバーひとりひとりに”おはよう”を言ってまわるヤリ-マティを映像で見せてもらいました。そんなヤリ-マティがいたからフィンランド、エストニア、ドイツ、日本にまたがる総勢200名のメンバーの心がひとつになったと思います。目指していた”ドライバーファーストのチーム” ”家庭的かつプロフェッショナルなチーム”を実現してくれて本当にありがとう。そして、このチームは2017年からヤリスWRCを強くし続けてくれました。2017年、最初のラリーの時に私がみんなにお願いしたのは「シーズンの最後に走るヤリスが一番強いヤリスになるようにしよう」でした。ヤリスWRCは5年間で59戦の道を走り、勝てなかったラリーからも、勝てたラリーからも多くのことを学びました。チームは本当に最後のヤリスを最強にしてくれたと思います。そのことにも改めて感謝します。みんな、ありがとう!

 来年からは新たなレギュレーションのクルマに変わります。その開発も佳境を迎えているとのこと、今年もみんなはクリスマス休暇を返上して準備を進めることになってしまうと思います。チームのみんなやご家族には苦労を掛けますが、引き続き、力を貸してもらえればと思います。来シーズンもファンの皆さまにエキサイティングな気持ちになってくれるようなクルマを準備していきましょう! そして、一戦一戦を走りきってもっともっと強いヤリスをみんなでつくっていきましょう! ファンの皆さまもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの新たなクルマ、新たな戦いを楽しみにしていただければと思います。

 引き続き応援よろしくお願いいたします!

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)