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レクサスのフラグシップSUV、新型「LX」を見る

レクサス、新型「LX」

3つのグレードに分化した、フラグシップSUVの新型「LX」

 レクサスSUVのフラグシップである「LX」がフルモデルチェンジする。実に14年ぶりにフルモデルチェンジするLXは、レクサスらしく威風堂々としており、ランドクルーザーとは違ったレクサスらしい仕上がりを見せたSUVだ。

 このLXはNXから始まった次世代レクサスの第2弾となる。NXはレクサスSUVの中核となる重要なモデルでその質感の高い走りや快適な乗り心地に隔世の感があったが、LXの目指すところは世界のどんな道でも帰ってくることができる高い信頼性と悪路走破性に加え、レクサスにふさわしい静粛性と乗り心地、それに加えてフレームボディにもかかわらずオンロードでの高いハンドリング性能を目指して開発された。

 従来のLXでは「LX570」のシングルグレードだったが、新型LXではV型6気筒 DOHC 3.5リッターのガソリンツインターボ(V35A-FTS型)を搭載した5人乗り・7人乗りの「LX600」を基本グレードに、センターデフ以外に前輪・後輪独立のデフロック装備したオフロード志向の「LX600 “OFFROAD”」、上質な4座独立シート備えたアッパーグレードの「LX600“EXECUTIVE”」と3つのグレードに分化している。

 ボディサイズは、5100×1990×1885mm(全長×全幅×全高、“EXECUTIVE”のみ全高が1895mm)。ホイールベースは2850mm、トレッドは前後とも1675mmと、余裕のサイズになる。

新型LX、基本となるグレードのLX600
LX600 “OFFROAD”。オフロード向けの機能が充実する
最上級グレードになると思われるLX600“EXECUTIVE”

 いずれもTNGAのGA-Fプラットフォームに8点のマウントで載せられるボディは、アルミを多用し、フレームの剛性アップでトータル200kgの軽量化が図られている。

 静粛性と乗り心地はレクサスの生命線。どんなところでも行けるLXでもそれは同様で8点のボディマウントの調整にシムを入れてきっちりと締結できるようきめ細かく行なうことでボディの揺り戻しが少なくなっている。

THGA GA-Fプラットフォーム。新型ランドクルーザーと同じプラットフォームだが、LX600はより静粛性に配慮したボディとの接合を行なっていいる

 また後述するショックアブソーバーの応答性を上げたことでも微振動の収束が早くなっているという。これらのボディとの一体感を上げることで乗り心地が画期的に向上する。

 静粛性ではスカットルに遮音材をはじめ、フロントサイドウィンドウに加えてリアウィンドウにもラミネートガラスを使い、遮音効果を上げている。1つの例ではアクチュエーターのカチカチ音も下げているという。

 エンジンはV型6気筒 DOHC 3.5リッターのガソリンツインターボで、最高出力は305kW(415PS)/5200rpm、最大トルクは650Nm(66.3kgfm)/2000-3600rpmを発生。電子制御10速オートマチックの10速ATとの組み合わせになる。

V型6気筒 DOHC 3.5リッターのガソリンツインターボ。日本導入モデルのエンジンは1種類になる

 重量物であるエンジンを極力後方に置くことで、前後重量配分を改善し扱いやすいハンドリングを目指している。

 このV6 3.5リッターガソリンエンジンは、マルチホール直噴インジェクタを使ったD4-STと85.5×100.0mmというロングストロークエンジンで、重量級SUVの分厚い低速トルクを出して悪路走行時のコントロール性にもこだわる。このエンジンは悪路走行を想定して渡河での防水対策、埃への防塵対策などLXならではの配慮がなされている。

 10速ATは発進時以外はロックアップされて、ダイレクト感とともに燃費効率の改善も図っている。リズミカルな加速や減速を行なう。

減衰力可変制御のショックアブソーバーは応答性が向上

 サスペンションは、フロントはハイマウント・ダブルウィシュボーン、リアはトレーリンクリンクのリジットで従来型と同形式だが、リバウンド側のストロークを伸ばし、接地性を高くして、悪路走破性と乗り心地を向上させている。アクティブハイトコントロールサスペンション(AHC)は使用環境に応じて車高調整ができる。Low/Normal/High1/High2と4段階で調整でき、車高が上がるまでの時間も従来車より圧倒的に早くなっている。

 またショックアブソーバーと金属バネ、ガス油圧併用サスペンションで旧型から踏襲されるが、車高調整はフロントだけでなくリアにも採り入れられた。この機能はピッチングやロールのような姿勢変化も安定させる機能を持つ。

 減衰力可変制御のショックアブソーバーはリニアソレノイドバルブを採用したことで応答性が向上し、よりメリハリのある走りが可能だ。ドライブモードは4段階に設定でき、市街地での乗り心地重視、ハイスピードでのハンドリング重視のSport+、アクセルレスポンスを重視したSportなど場面に応じて選定できるのは従来どおりだが、きめ細かく制御するところが新しい。

 アプローチアングルは車高をもっとも高いH2にすると最大27.4度、デパーチャーアングルは26.3度と非常に大きく、見た目でどこにでも行けて帰ってこられるコンセプトを根源に持つLXならではの悪路走破性だ。

 LX初となる電動パワーステアリングはこれまでの油圧式より操舵力変化が少なく、かつ軽い操舵を実現した。操舵感は重量級のLXらしくしっかりした味が確保できたとしており、市街地での取り回しにも大きく貢献している。

 装着タイヤはグレードによって265/65 R18、265/55 R20、そしてレクサス初となる265/50 R20の3種類が用意される。

LXらしく豪華な内装と、さらに豪華な4座独立の“EXECUTIVE”

LX600の内装

 圧巻なのは豪華な内装だが、操作系も従来モデルよりもシンプルになり、12.3インチセンターディスプレイからさまざまな情報を取り出せる。例えばマルチテレインレスポンスをONにするとAUTOからDIRT、SAND、MUD、DEEP SNOW、そしてROCKまであらゆる路面に適応できるモードがある。従来車ではマルチテレインレスポンスは極悪路での駆動力を重視したL4モードのみだったがH4にも使用範囲が広がり使いやすくなっている。それだけパワートレーン、車体にも余裕ができた。

4座席独立のLX600“EXECUTIVE”

 また悪路走破時に非常に強い味方になるのはマルチテレインモニターだ。フロント/サイド/リアのカメラで死角を極力排除している。市街地でもよく使われるのではないだろうか。さらにアンダーフロアビューとバックフロアビューは直前に撮影された映像を合成することであたかも今、通過しているタイヤの状況を見ているようで安心感が非常に高い。

 ダウンヒルアシストは急坂を4輪のブレーキでバランスを取りながら下ることができるが、ドライバーのブレーキング操作でも反応するので使いやすい。また凹凸の激しい路面でもハンドル操作に集中できるクロールコントロールも健在だ。1~5km/hで速度を選べ、アクセルとブレーキを最適に操作してくれ、ドライバーの人為的な介入でもLX側がスムーズに連携できる。

 通常は2列シートの5人乗りと3列の7人乗りとなるが、最高級のEXECUTIVEは4人乗りで、後席はLSのEXECTIVEに匹敵する豪華なキャビン。上級リムジンのような快適性を頑丈で背の高いSUVでも堪能できる。リアシートはリラックスモードでオットマンと大きくリクライニングするシートバックでも余裕たっぷりの室内。シャワー空気清浄やエアカーテンなど至れり尽くせりの装備を備える。LXらしいのはリクライニングしても前席のシートバックに両足で踏ん張れるようにしていることだ。それほどオフロードでも快適に走れるということだろう。

 セーフティでは世界トップレベルの最新のLexus Safety System+がカバーしており、交差点での右左折対応をはじめ緊急時操舵支援など高度安全システムが備わる。最先端の安全技術が満載されている。