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ブリヂストン、新プレミアムタイヤ「レグノ GR-X III」発表会 静粛性に加え走行性能、サステナビリティという3つの価値を付与
2024年1月24日 07:10
- 2024年1月23日 開催
エンライトンを国内市販用乗用車向けタイヤとして初搭載
ブリヂストンは1月23日、乗用車用プレミアムブランド商品「REGNO GR-X III」(レグノ ジーアール クロススリー)の発表会を赤坂プリンス クラシックハウス(東京都千代田区紀尾井町)で開催した。2024年2月から順次発売され、発売サイズは195/65R15 91H~275/35R20 102W XLの51サイズで、価格は2万6730円~10万8350円/本。
レグノ GR-X IIIは「EV時代の新たなプレミアム」と位置付ける商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を国内市販用乗用車向けタイヤとして初搭載。モノづくり基盤技術「BCMA」(Bridgestone Commonality Modularity Architecture)と融合し、タイヤ性能とともに環境性能を高レベルで両立することで、持続可能な社会実現への貢献、顧客価値・社会価値を提供していくという。
今回のレグノ GR-X IIIにおける最大の特徴は、「静粛性」というレグノのコア・コンセプトに加えて応答性のよいハンドリングと安定感の向上、高次元のウェット性能からくる「走行性能」、また再生資源や再生可能資源(ISCC PLUS認証原材料)の使用、軽量化による生産・廃棄時の環境負荷を低減する「サステナビリティ」という3つの価値が付与されたこと。これによりレグノ GR-X IIIのターゲット車両は従来のラグジュアリーなモデルに加え、車両剛性が高く重量が重いツーリングモデル、車両重量が重く静粛性も高いBEV(バッテリ電気自動車)といったモデルも想定されている。
想像を超えるご満足をいただける商品に仕上がっている
発表会ではじめに登壇したブリヂストン 常務役員 BSJPタイヤ販売事業管掌(REP/OE/ソリューション)兼 ブリヂストンタイヤソリューションジャパン 代表取締役社長の久米伸吾氏は、令和6年能登半島地震で被災された方に哀悼の意を表すとともに、「2023年は当社が3年ごとに作成している中期事業計画の最終年として実行と結果にこだわり、挑戦の姿勢を常に持ちながら変化に対応できる強いブリヂストンを目指した1年だった」と振り返る。また2024年は「新たな中期事業計画の重要な初年度として、これまで同様、過去の課題に正面から向き合い、先送りしない。足下をしっかり実行と結果にこだわる。将来への布石を打つの3つを軸に、着実に前進してまいります」と述べた。
また、レグノ GR-X IIIについては「社会モビリティに関わる環境は大きく変化しており、車両やお客さまのライフスタイルとその価値観はますます複雑化、多様化しております。そのような環境下、われわれはタイヤを通じてお客さまが想像する以上のご満足をいただけることを目指してまいります。商品設計基盤技術であるエンライトンは、このような複雑化、多様化するお客さまのニーズに高次元で答えることができるよう、必要なタイヤとしての性能に究極のカスタマイズを実現する技術です。お客さまやモビリティの特性に合わせて性能をカスタマイズすることにより、さらなる顧客ベネフィットを提供することが可能となりました」「レグノを長らくご愛用いただいているお客さまは元より、これまでレグノを体感したことのないお客さまに対しましても、想像を超えるご満足をいただける商品に仕上がっていると考えております。ぜひ生まれ変わったレグノの性能と世界観を感じていただきたい」とアピールした。
一方、製品説明を行なったブリヂストン 常務役員 製品・生産技術 開発管掌の草野亜希夫氏は、ブリヂストンの製品開発が大きく変革しているとし、従来の製品の延長線上の開発ではなく、新たな商品設計基盤技術であるエンライトンによって製品開発は次のステージへ進化しているとする。このエンライトンによってタイヤの基本性能を徹底的に鍛え、磨き、薄く、軽く、丸くを進化し続け、タイヤ性能を全方位で大きく進化、向上していくという。その上でさらに特定の性能にエッジを効かせることで、究極のカスタマイズの実現を目指すと語る。
そしてレグノ GR-X IIIについては、「新構造・新形状」「新トップゴム」「新パタン」の3点の特徴があるという。
「新構造・新形状」では、薄く、丸く、軽くの進化とタイヤの基本性能の大幅な向上に加え、しなやかなタイヤ変形と理想の接地形状を実現。振動入力を低減し、音を吸収することで空間品質を向上させた。さらに応答性の良いハンドリングとグリップの向上による走行性能を向上させ、クラス最高レベルの転がり抵抗の実現と大幅な軽量化、再生可能資源によるサステナビリティの向上を実現。これら新構造・新形状により、環境性能の向上に加えて空間品質、走行性能にエッジを効かせたと草野氏はいう。
また、「新トップゴム」については新ポリマーとさまざまなポリマーの機能を最大化する新配合設計による新トップゴムにより振動入力を定義し、音を吸収することで空間品質を大幅に向上させることに成功。さらにドライ・ウェットにおけるグリップ力の向上、応答性の良いハンドリングによる走行性能の向上を実現するとともに、サステナビリティ・資源生産性の向上に貢献する環境性能を向上した。加えて静粛性を向上させることで、レグノに求められる空間品質・走行性能にエッジを効かせたとのこと。
そして「新パタン」では、レグノ独自の消音器技術の大幅な進化により、音の吸収と応答性の良いハンドリングを向上することで空間品質と走行性能を進化させたという。この消音器については、面積が大きいほど消音効果が高い一方で、消音器が大きいほど路面との接地面積が小さくなるため、走行性能に不利な点があったという。そこで今回は「大幅に小さい、少ない面積の消音器でもより大きな消音を可能としてまいりました。これにより走行性能を損なうどころか、走行性能の向上を可能としています。さらに摩耗時でも消音器がなくなることなく、新品同様の消音効果を発揮することができる新パタン開発に成功いたしました。より小さな消音器でより効果的な消音を可能とすることで、新品から摩耗までの性能を向上するだけでなく、パタン剛性向上によりハンドリングの向上を達成しています。この新パタンにより、新品から摩耗まで空間品質と走行性能の大幅な向上を実現しております」とアピールした。
なお、レグノ GR-X IIIでは低燃費性能をクラストップレベルで維持しつつ、全性能の向上を実現。荒れたアスファルト舗装路でのロードノイズ(低周波)を従来モデル(レグノ GR-X II)比で約12%低減、スムーズなアスファルト舗装路でのパタンノイズ(高周波)を約8%低減することに成功。また、走行性能ではドライ性能での初期応答、リアの追従性の向上により応答性の良いハンドリングと安定性を大幅に向上させたほか、ウェット制動距離を従来対比で13%低減させ、ウェットラベリングでは全サイズaグレードを実現している。
加えて再生資源や再生可能資源の使用を大幅に向上させるだけではなく、従来比で約10%の軽量化を実現し、転がり抵抗もクラス最高レベルを達成することによって大幅な環境負荷低減を実現したのも特徴として語られた。
草野氏は最後に、「エンライトンがブリヂストンの製品開発を次のステージへ導き、レグノ GR-X IIIは新たなプレミアムとして生まれ変わります。全性能を向上させた上で低燃費、軽量化、再生資源、再生可能資源を活用するサステナビリティ、空間品質、走行性能にエッジを効かせたエンライトン搭載の新たなプレミアム、レグノ GR-X IIIで皆さまの足下をしっかり支えていきたいと思っております」とアピールしてプレゼンを終えている。