ニュース

60台以上のマシンが勢ぞろいした「ニスモフェスティバル2024」 SUPER GTを退くロニー選手「幸せな17年間でした」

2024年12月1日 開催

25回目となるニスモフェスティバルが開催。レアなマシンの展示や走行が目白押し!

 日産自動車とNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)は12月1日、富士スピードウェイにおいて「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2024」(ニスモフェスティバル)を開催した。

 ニスモフェスティバルは年末恒例のファン感謝イベントで、今期のモータースポーツ活動を締めくくる節目の1つとなるもの。今回で25回目を数えるとともに、2024年9月にはNISMOブランドが40周年を迎えたこともあり、数々の特別企画を用意しての開催となった。

 一方、SUPER GT第5戦が12月7日~8日に延期されたことにより、例年盛り上がりを見せる現役車両による模擬レースが実施できず、レース関連のコンテンツが若干ボリュームダウンしてしまったのは残念。それでも、晴天に恵まれたサーキットは1日中暖かな陽気につつまれたこともあり、2023年を上まわる2万8500人ものファンが訪れイベントを楽しんでいた。

12月とはいえ温かく穏やかな陽気に恵まれ2万8500人ものファンが集まった

ウェルカムセレモニー

 お昼の時間帯に設定されたウェルカムセレモニーでは、ホームストレートにさまざまなレースで活躍するドライバーやチーム監督、レジェンドドライバーらが登場。日産モータースポーツ&カスタマイズ 専務執行役員 木賀新一氏(SUPER GT 日産系チーム総監督)があいさつを行なった。

 木賀氏はグランドスタンドに集まった多くのファンに感謝を述べた後、「私はこの4月より総監督の名誉を拝命し、チャンピオン奪還を目指して毎戦を戦ってきたわけですけれども、ドライバーズポイントの方は残念ながらすでにチャンピオンの可能性がなくなるという事態に陥ってしまいました」と謝罪。その一方で、コンストラクターズタイトルについては「3号車はまだ可能性が残っております。来週の鈴鹿ではNissan Z NISMOの本来の速さをライバルに見せつけられるよう全力で頑張ります」と述べ、ファンらに引き続きの応援を願った。

 また、2024年はニスモ40周年のメモリアルイヤーということから、多彩なコンテンツを用意しているほか、参加しているドライバーや監督、レジェンドドライバーにも気軽に声をかけてほしいとアピール。「中にはちょっと声がかけにくいなという感じの方もおりますが、実は心は優しくて気持ちのイイ人たちばかりですのでぜひお気軽にお声がけください」と笑いを誘いつつ、「どうぞ最後までニスモワールドに浸って楽しんでいってください」と締めくくった。

 続いて選手を代表して千代勝正選手があいさつ。「これまでのニスモの歴史は僕らだけではなく、ファンの皆さまあっての40周年だと思っています。これからもドライバー一同、強いニスモ、勝つニスモを継承していくように頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いします」と述べ、まだ最終戦が残っているものの、「今日は皆さまと一緒に精いっぱい楽しんで盛り上げていきたい」とコメントした。

 セレモニー後には1時間あまりのピットウォークタイムが確保され、ピット前に各マシンが整列するとともにドライバーや監督らがファンサービスを実施。木賀氏の言葉通り、笑顔でファンらの求めに応じてサインや写真などに応じていた。

ウェルカムセレモニーにはドライバーや監督らが集合
日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社 専務執行役員 木賀新一氏
選手を代表してあいさつした千代勝正選手
タップリと時間をとったピットウォークも開催
レアなマシンも間近で見られた
最新のフォーミュラEマシンも展示されていた!

レーシングイベントエリア

 富士スピードウェイの本コースでは、開場直後からさまざまなコンテンツを用意。事前申し込みによるニスモロードカーによるパレードランからスタートし、1970年前後のヒストリックカーによるエキシビションレース、Z33/34によるZ-Challengeエキシビションレースと、このあたりは例年通りの流れ。お昼前には午後の走行を控えたレースカーのウォームアップとともに、ニスモフェスティバルが発祥といわれる「サーキットサファリ」、レーシングドライバーの横に乗ってサーキットを体験できる同乗走行も実施された。

雲1つない快晴の下ウォームアップランが行なわれた
大型観光バス3台を使ったサーキットサファリも盛況だった
ウォームアップで走行するマシン
ウォームアップで走行するマシン

 フィナーレ前にはレースコースの目玉イベント「NISMO HERITAGE RUN」がスタート。これはニスモレースカーの40年を振り返るコンテンツとなっており、リーボックスカイラインやカルソニックスカイラインといったGTカー、R390GT1やR91CPのようなプロトタイプカーなど貴重なマシンが続々と走行。現行市販車のランデブー走行を経てリーフニスモRC、フォーミュラE Gen2と未来へとつながる電動レースカーがトリを務めた。

NISMO HERITAGE RUNに向けピットロードへ
ピットロード端で待機するマシン
NISMO 400R(左)とNISMO 270R(右)
NISMO R34GT-R Z-tune
2004年のJGTCを戦ったXANAVI NISMO Zと2008年のスーパーGTを戦ったXANAVI NISMO GT-R
NISSAN GT-R NISMO
SKYLINE NISMO
FAIRLADY Z NISMO(Z34)
ロニー・クインタレッリ選手が駆るNOTE AURA NISMOを先頭にLEAF NISMO、ARIYA NISMOと市販モデルが並ぶ
NISSAN LEAF NISMO RC_02
「FRですごくよかった」と言いつつ「ストレートがもっと速ければ」とリーボックスカイラインをドライブした長谷見昌弘氏
星野一義氏はおなじみのカルソニックスカイラインを担当。「今日乗っても直6の排気音はシビれる」とコメント
NISSAN R91CPをドライブした鈴木利男氏。「久しぶりに乗ったがストレートでブーストが1.5kgまで上がった」とコンディションのよさに驚いていた
「あの時代のクルマ(1995年/NISMO GT-R LM)をメンテナンスしていただいて今走れるのは本当にうれしい」と近藤真彦監督
NISSAN R390 GT1をドライブした影山正美氏。「ものすごいプレッシャーだったが数少ないシートに座れたことは感激」と当時を振り返った
XANAVI NISMO GT-Rをドライブした本山哲氏は「バランスがよく運転しやすいマシン」と絶賛
走行したマシンがピット前に並ぶ

ピットビル&パドックイベントエリア

 例年通りピットにはサーキットエリアで走行するマシンをはじめ、モータースポーツで活躍した多くのマシンが展示された。その数なんと60台あまりとミュージアムのような充実度。レース時には立ち入れないピット内でのメンテナンスの様子も見られるとあって、終日多くのファンでにぎわっていた。

NISSAN GT-R NISMO GT3(2024 FANATEC GT WORLD CHALLENGE ASIA)
DAISHIN GT-R GT3(2024 SUPER TAIKYU ST-X)
PALSAR GTI-R(1992 RAC Rally)
FAIRLADY Z 300ZX(1985 JRC)
NISSAN GT-R NISMO GT3(2024 GT WORLD Challeng Asia)
HELM MOTORSPORTS GT-R(2024 SUPER GT GT300)
REALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-R(2024 SUPER GT GT300)
Datusmou K's Frontier GO&FUN NEKONEKO GT-R(2024 SUPER GT GT300)
GAINER TANAX Z(2024 SUPER GT GT300)
Reebok SKYLINE(1989 JTC)
CALSONIC SKYLINE(1990 JTC)
XANAVI NISMO GT-R(2008 SUPER GT GT500)とXANAVI NISMO Z(2004 JGTC GT500)
NISSAN GT-R NISMO GT3(2015 Bathurst 12Hours)
NISMO GT-R LM(1995 Le Mans 24Hours)
NISSAN R390 GT1(1998 Le Mans 24Hours)
NISSAN R91CP(1992 Daytona 24Hours)
PENNZOIL NISMO GT-R(1999 JGTC)
ZEXEL SKYLINE(1991 Spa 24 Hours)
Formula E Gen2(2022 Formula E)
NISSAN LEAF NISMO RC_02(2021)
Formula E Gen3 Evo(2024 Formula E)。新たなボディキットや前輪の駆動化などによりGen3から約2%のパフォーマンスアップを実現。モナコ市街地コースで予選ラップが約2秒短縮するという
NISSAN GT-R GT1(2011 GT1)
OKABEJIDOSHA Z34(2024 SUPER TAIKYU ST-3)
raffinee NISSAN MECHANIC CHALLENGE Z NISMO GT4(2024 SUPER TAIKYU ST-Z)
raffinee NISSAN MECHANIC CHALLENGE Z NISMO GT4(2024 SUPER TAIKYU ST-Z)
NISSAN R88C(1988 JSPC)
NISSAN R391(1999 Le Mans 24Hours)
NISSAN R85V(1986 Le Mans 24Hours)
NANWA DENSO TEAM IMPUL Z(2024 SUPER TAIKYU ST-Z)
MARELLI IMPUL Z(2024 SUPER GT GT500)
REALIZE CORPORATION ADVAN Z(2024 SUPER GT GT500)
SAURUS(1993)
MARCH Cup Car(2002)
Niterra MOTUL Z(2024 SUPER GT GT500)
MOTUL AUTECH Z(2024 SUPER GT GT500)
LEAF NISMO(ZE1)をはじめARIYA NISMO(FEO)、NOTE AURA NISMO(E13)、FAIRLADY Z NISMO(RZ34)、SKYLINE NISMO(V37)、NISSAN GT-R NISMO(R35)などがズラリと勢ぞろい
JUKE NISMO(F15)とFAIRLADY Z NISMO(Z34)
MARCH NISMO(K13)
NOTE NISMO(E12)とSERENA NISMO(C27)
NISMO 400R
NISMO 270R

メーカーやショップのさまざまなデモカーも展示

 ピットビル前はメーカーやショップのブースが所狭しと並ぶエリア。デモカーの展示はもちろんチューニングパーツやアパレル、グッズなどの販売も行なわれており、ニスモフェスティバルならではのビックリ価格も。中でもインパルやマレリのブースにはグッズを求めるファンの長い列ができていた。

ピットビル前には多くのブースが並ぶ
大森ファクトリーのブースにはコンプリートカーやエンジンが並ぶ
ミシュランブースではおなじみのキャラがアピール
ニスモやオーテックのコンプリートモデルにはミシュランタイヤが純正採用されている
横浜ゴムのブースにはタイヤやホイールが並ぶ
ダンロップブースでは筑波サーキットのタイムアタックチャレンジでレコードを叩き出したSPORT MAXXをアピール
レイズブースでは新作をはじめ多彩なアルミホイールを展示
グッズを求めるファンの長い列ができていたマレリブース
タミヤブースにはこの夏に発売したばかりの240Zをはじめとしたプラモデルがズラリ

NISMOグッズなどが買えるスタンドイベントエリア

 メインスタンド裏に位置するのがスタンドイベントエリア。ほかのエリアが8時オープンなのに対し、こちらは1時間早い7時オープンとなっており、朝イチから多くのファンでにぎわうエリアとなっている。そのお目当てとなるのがニスモグッズの販売コーナーだ。レーシングカーで使われたパーツや未使用パーツが並ぶガレージセールをはじめ、ニスモパーツ、アパレルやグッズを扱うニスモコレクション、そして限定ミニカーと幅広いアイテムが用意される。カスタマイズカーを手がけるオーテックブランド車、ここ数年人気の高い車中泊仕様車なども展示されていた。

ガレージセールに並ぶパーツは例年よりちょっと少なめ。それでもバンパーなど大きなモノは早々に売約済みとなっていた
ブレーキパッドは激安。使い道はないけれど……
ニスモパーツのブースには50%OFFのコーナーが出現
こちらのスポイラーなども50%OFF
ほかのパーツより汎用性が高いためかシフトノブは大人気。多くのファンが2つ、3つと手にしていた(ちなみに1人5個まで)
ニスモコレクションはほかのコーナーよりちょっと人が少なめと思ったら40周年記念グッズなど多くのアイテムが完売となっていた
今年の限定ミニカー。こちらは長蛇の列となっていた
日産コレクションも入場待ちの人気
福袋はお得感タップリ
オーテックのカスタマイズカーもズラリ
超特価販売されていたマーチボレロ用アルミホイール
中央のオーテックベアキーホルダーは100個限定で制作されたレアアイテム。取材時には残り30個ぐらいとのことだったが果たして……?
福祉車両の実車展示も。パドック側では試乗も可能となっていた
横浜Denaベイスターズの優勝パレードで使われたリーフのオープンカー。乗って記念撮影が可能だった
今年発売され話題を集めたキャラバンマイルーム
こちらはキャラバンのマルチベッドモデル
ブリヂストンのブースはスタンド側に。ドライバーによるトークショーも行なわれていた

フィナーレではロニー・クインタレッリ選手があいさつ

 イベントの最後には、今シーズンのSUPER GTで活躍しているマシンをはじめとした車両がパレード走行しグランドスタンド前に整列。SUPER GTでコンビを組んだ千代勝正選手、松田次生選手、柳田真孝選手に迎えられ、今年でSUPER GTを退くロニー・クインタレッリ選手が23号車で登場。マイクを握ったロニー選手は日産、ニスモに感謝を述べた後、日本に来た当時を振り返り、最初はSUPER GTの存在を知らなかったと明かしつつ、2004年の十勝ラウンド(当時は全日本GT選手権/JGTC)で「赤いクルマ、赤いレーシングスーツ」のマシン(22号車MOTUL PITWORK Z)が優勝したのをテレビで見たのが出会いだったとコメント。

ロニー・クインタレッリ選手が23号車で登場
リアスポイラーに“ありがとう”と感謝の言葉

 2008年には夢が叶って日産ドライバーになり、多くの人たちにお世話になって今日を迎えたと述べ、「幸せな17年間でした。本当にありがとうございました」と結んだ。そして最後にSUPER GT最終戦に触れ「今週末には最終戦が鈴鹿サーキットで開催されます。鈴鹿サーキットで僕の夢のクルマ、23号車のハンドルを握ります。そのときはチームの皆さんと力を合わせて全身全霊で走ります。最後まで応援してください。長い間本当にありがとうございました」と締めくくりファンの声援に応えた。

コンビを組んだドライバーが出迎える
4人並んでの撮影タイム
幸せな17年間でしたとロニー・クインタレッリ選手
「憧れの先輩だった。最高のカタチで締めくくれるよう頑張りたい」と千代勝正選手
ファンに応えるロニー・クインタレッリ選手

 イベントの最後には、日産モータースポーツ&カスタマイズ 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏があいさつ。ロニー選手に「長い間、本当にありがとう。本当に寂しくなります」と感謝を述べるとともに、「ニスモブランドは誕生して40周年を迎えられました。日産のレース部門としてレース活動に励むとともにアクセサリーパーツやレーシングカー、お客さまのレーシングカーの開発などを進め、ビジネスとしても拡大してまいりました。昨今ではオーテックのモノづくりと相まって日産のカタログモデルでありますニスモロードカーシリーズを拡充するにいたりました。このような活動をしながら40年もの間続けてこれたのも、ひとえに支えてくださる全ての皆さまのおかげだと思います」とファンをはじめ関係者らに感謝を述べるとともに、「これからも皆さまをワクワクさせるような活動と商品を通じてニスモブランドを進化させ、50年60年と歴史を積み重ねてまいりたいと思います」と約束した。

日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏

 一方、SUPER GTに関しては「残念ながらチャンピオンの可能性はなくなってしまいました」と陳謝。「しかし日産陣営にとりまして最後の意地を見せるべく来週末の鈴鹿ではロニー・クインタレッリ選手をはじめ全力で戦います、全力でサポートいたします」と力強くコメントしつつ、ファンの応援にも期待したいと述べた。そして「来週のレースが終わると同時に来年の準備が本格化します。フォーミュラE世界選手権につきましても来週末土曜日より開幕戦開幕レースが始まります。もう来シーズンが始まっております。来シーズンも皆さまをワクワクさせられるよう全力で取り組みますので引き続き応援をお願いします」とイベントを締めくくった。

プログラム終了後も多くのファンがスタンドに残って声援を送っていた