タイムアタックイベント「DUNLOP DIREZZA CHALLENGE 2010」決勝戦開催 日本一のDIREZZA使いは誰だ!! |
11月23日、愛知県のスパ西浦モーターパークで「DUNLOP DIREZZA CHALLENGE 2010」の決勝戦が開催された。DUNLOP DIREZZA CHALLENGE(ダンロップ ディレッツア チャレンジ、以下ディレチャレ)は、ダンロップ(住友ゴム工業)が後援するタイムアタックイベント。同社のスポーツタイヤであるDIREZZAを使用し、4つのクラスに分けて、サーキットでの最速タイムを競っていく。
ディレチャレは、今シーズンは4戦を開催。決勝戦は、各開催の上位3名(重複の場合は順次繰り上がり)と、健闘した参加者3名を招待し、シーズンチャンピオンを決定することになる。1クラスあたり、15名でタイムを競うわけだ。
開催日程 | 日付 | 場所 | 募集定員 |
開幕戦 | 4月18日 | LIDO美浜サーキット/愛知県 | 各クラス20台 |
第2戦 | 5月23日 | 日光サーキット/栃木県 | 各クラス20台 |
第3戦 | 9月19日 | 本庄サーキット/埼玉県 | 各クラス20台 |
第4戦 | 10月17日 | タカスサーキット/福井県 | 各クラス20台 |
決勝大会 | 11月23日 | スパ西浦モーターパーク/愛知県 | 各クラス15台 |
車両クラス区分 | 規定 |
Class 1 | 排気量1900cc以下の車両+排気量を問わずFF車 |
Class 2 | 排気量1901cc以上のNAエンジン搭載2WD車両 |
Class 3 | 排気量1901cc以上の過給器付きエンジン搭載2WD車両 |
Class 4 | 排気量1901cc以上の4WD車両 |
■秋晴れの中、ディレチャレ決勝戦開催
決勝戦の開催された11月23日は、前日の雨天とは打って変わり、透き通るような青空が広がった。決勝戦では、各クラス20分間の練習走行と、3回の計測セッションが用意されていた。3回の計測セッションは、20分間のセッション1を午前中に実施、10分間のセッション2と3を連続で実施する。セッション1の上位3台と、セッション1での上位3台が抜けたセッション2の上位5台が最終セッションとなるセッション3に進み、8台でのタイム計測を実施。セッション3のタイムによって、最終順位が確定することになる。
決勝戦の行われるスパ西浦モーターパークは、全長1561mのサーキットで、最長416mのストレートを持つ。途中には立体交差もあるなど本格的なサーキットとなっており、ストレートエンドでの最高速は、速い車で200km/h近くになると言う。
そのため、車両への負荷も高く、セッション1での上位3台は、連続で走行するセッション2参加車と車両の状態やタイヤの温度が異なるため、どちらのセッションでフルアタックを実施するかという戦略も必要になるわけだ。
7時からの受付をすませ、ゼッケンの貼り付けや車検を終えた参加者は、8時20分からのドライバーズブリーフィングに参加。ドライバーズブリーフィングでは、ダンロップからの挨拶のほか、大会競技委員長である大井貴之氏から、セッションのルールの説明が行われ、タイムアタック中はハイビームにすること、追い越されたい場合はハザードではなくウインカーを使うことなどの注意点が話された。
決勝大会とあって、ゲストドライバーも豪華。先頃開催された「JAF GP」でGT300クラスを完全制覇した平中克幸選手と田中哲也選手の2名のSUPER GTドライバー、そしてSUPER GTで競技審査委員を行っている服部尚貴氏がゲストドライバーとして参加した。3人のゲストドライバーは、決勝専用に用意されたミニFM局での解説や、特別賞の審査を担当する。
ドライバーブリーフィングを終えた各参加者は、練習走行、そして各セッションでのタイムアタックを開始した。
■見応えのあったタイムアタック
10時からClass 1のセッション1が開始された。タイムアタックイベントでは、誰がトップなのか分からず、参加者はともかく観客はいまひとつ面白みに欠ける場合が多い。ところがこのディレチャレ決勝戦では、MCのシャーリー半田氏による実況と、大井氏、服部氏、田中選手、平中選手の豪華解説陣による場内放送で、各参加者のタイムの推移が分かりやすく案内されていた。
そのため、パドック2階からタイムアタックを眺めていても誰がトップタイムを記録しているのかが把握でき、イベント観戦を楽しんでいる人が多かった。また、この場内実況中継がミニFM局でも流されており、タイムアタック中の参加者もほかの車のタイムを把握でき、参考にしている人もいたようだ。
■最速タイムはClass 4の55秒615
Class 1のセッション1での赤旗中断、Class 4のセッション3での計測器トラブルによる中断以外は、とくに大きなトラブルなどもなく、タイムアタックが進んでいく。セッション2、セッション3が連続セッションとなっているため、セッション1での勝ち抜け組のタイムが心配されたが、DIREZZAの立ち上がりの温度依存が小さいためか、走り始めてすぐによいタイムが記録されていた。
最終セッションとなるセッション3では、各クラスともタイム争いが激化。どのクラスとも1位と3位の差は1秒以内という僅差の戦いが展開された。3位と4位の差が1/1000秒だったClass 3、セッション終了直前まで順位の入れ替わりが起きたClass 4など、最後まで熱い戦いが繰り広げられていた。
Class 1 | ゼッケン | マシン名(ドライバー) | タイム |
優勝 | 2号車 | YF☆戸辺軍団☆WORK EG6(池田糧) | 57秒869 |
2位 | 6号車 | エンプラ・フカヒレ君EGDXL(田中健太) | 58秒034 |
3位 | 9号車 | フェアリーズ CR-X EF-8(高山尚也) | 58秒281 |
Class 1の優勝は2号車 YF☆戸辺軍団☆WORK EG6の池田糧氏。優勝車両はレッドカーペットで出迎えられた。この段階で暫定表彰式が行われ、シャンパンファイトを実施 |
Class 2 | ゼッケン | マシン名(ドライバー) | タイム |
優勝 | 21号車 | ストラダーレS2000天然SP(富吉十六) | 57秒646 |
2位 | 23号車 | A.S. ナイトウ AP1(内藤頼重) | 57秒840 |
3位 | 26号車 | K-TECH/ES-URAWA S2000(多賀正展) | 58秒478 |
Class 2の優勝は21号車 ストラダーレS2000天然SPの富吉十六氏。Class 2はS2000の強さが目立った |
Class 3 | ゼッケン | マシン名(ドライバー) | タイム |
優勝 | 47号車 | b-チャン☆福岡板金2-11(清水清) | 56秒671 |
2位 | 41号車 | テラレーシングS14(寺浦之裕) | 56秒712 |
3位 | 44号車 | ファントムTEAMあざらしPS-13(大笹繁) | 57秒144 |
Class 3の優勝は47号車 b-チャン☆福岡板金2-11の清水清氏。清水氏は、セッション3の途中で、コースイン時の白線カットによるピットインペナルティを受けるなど、時間のない中でベストタイムを記録した |
Class 4 | ゼッケン | マシン名(ドライバー) | タイム |
優勝 | 62号車 | MONSTAR イニD部長 CT9A(木原大二郎) | 55秒615 |
2位 | 65号車 | トトまるランサーエボ6(尾崎光義) | 55秒764 |
3位 | 61号車 | TS-S☆STRADALE ランサー(石川慎一郎) | 55秒806 |
Class 4の優勝は62号車 MONSTAR イニD部長 CT9Aの木原大二郎氏。木原氏は全参加車の中でもベストタイムとなる55秒615を記録。昨年に続き、このクラスを2連覇した |
各クラスの3位以内の入賞者に対しては、DIREZZA 1台分を副賞としてプレゼント。さらに優勝者には、アルミホイール 1台分、J SPORTS賞として賞金5万円、オーダーメイドのレーシングスーツが贈られた。このレーシングスーツだが、競技委員長の大井氏によると「昨年の決勝戦では、ヘルメットをプレゼントしたが、今年はレーシングスーツにした。アマチュアではなかなか安全面までにお金をかけられないことが多く、そうした部分をサポートしていきたい」とのこと。そのほか、数多くの特別賞が用意され、多くの参加者に特別賞が贈呈された。
また、このディレチャレ決勝戦の模様は12月19日にJ SPORTS ESPNで20時より「DUNLOP DIREZZA CHALLENGE 2010 タイムアタッカー達の挑戦」として放映される。参加者には、当日のタイムアタック風景をデジタル写真で納めたUSBメモリーのほか、この番組DVDがプレゼントされることがアナウンスされていた。
閉会式で挨拶を行ったダンロップタイヤ営業本部の宮川義宏氏は、Class 4のセッション3で計測器不良によるスケジュール遅延についてのお詫びと、参加についてのお礼の後、「ディレチャレは、来年は世界戦とまでは行きませんが、同様に続けていきます」とコメント。アマチュアが気軽に参加できる大規模イベントである、DIREZZA CHALLENGEの来年の開催を参加者に約束した。
表彰式で多くの参加者が異口同音に語っていたのが、ほかの誰かに勝った負けたということではなく、タイムの更新について。タイムの更新ができた参加者は満足そうに語り、タイムの更新ができなかった参加者は、たとえ優勝してもやや不満気なコメントが印象的だった。ベストタイムの更新により、自分自身の成長を感じられるのが、このタイムアタックイベントの達成感につながっているのだろう。ただ、そんな参加者も、次から次へと手渡される豪華な賞品に、最後は満足そうな表情を浮かべていた。
■参加車両一覧
決勝戦まで勝ち抜いた参加車両の写真をマシン名、クラス名とともに以下に掲載しておく。タイムアタックを行わなかった車両が1台あるため、全59台の掲載となる。
タイムアタックイベントであるディレチャレは、手軽に参加できるモータースポーツ。興味がある方は今年のタイムなどを参考に、来年の参加を検討してみてほしい。
(編集部:谷川 潔/Photo:奥川浩彦)
2010年 11月 25日