試乗インプレッション

夏の朝霧高原でSUV「エクリプス クロス」や特別仕様車「デリカD:5 ジャスパー」を満喫

パナソニックの電動アシスト自転車も初体験

 三菱自動車工業ではかねてより、オートキャンプを通じて自然の大切さを学び、家族や仲間との絆を深めながら自然に親しむことを目的とする「スターキャンプ」を開催している。2018年は朝霧高原(7月28日~29日)、吹上高原(9月1日~2日)、マキノ高原(10月13日~14日)で行なわれ、本来ならば朝霧高原の回を取材するはずだったところ、残念ながら台風に見舞われて中止になってしまった。本稿では前日の模様をお伝えしたい。

クーペとSUVのいいとこどり

 まず、あらためて「エクリプス クロス」をドライブした。三菱自動車の久々のニューモデルとして注目度も高いエクリプス クロスだが、このデザインとパッケージングがなかなか絶妙だとあらためて思う。三菱車に期待する力強さとクーペとしてのスタイリッシュさ、SUVとしての利便性を巧く併せ持っている。扱いやすい手ごろなサイズのボディは、クーペスタイルながらあまり強くリアが寝かされていないので、前席はもちろん後席の居住性も十分に確保されており、乗降性にも優れる。ラゲッジスペースも広く使いやすい。上下2枚に分かれたリアウィンドウのおかげで後方視界も良好だ。

3月1日に正式発売となったコンパクトSUV「エクリプス クロス」。試乗車は「G Plus Package」の4WDモデル(309万5280円)で、ボディサイズは4405×1805×1685mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm
エクリプス クロスのパワートレーンは新開発の直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴ターボ「4B40」エンジンと8速スポーツモード付CVTの組み合わせ。最高出力は110kW(150PS)/5500rpm、最大トルクは240Nm(24.5kgfm)/2000-3500rpmを発生
ブラックカラーのインテリアでは、水平基調のインパネにシルバーのフレームを与えることでダイナミックさを表現。G Plus PackageではApple CarPlay、Android Autoに対応するスマートフォン連携ディスプレイオーディオ「SDA」などを標準装備

 走りの方も、快適な乗り心地とクーペに似合う俊敏なフットワークを巧みに両立させている。独自の「S-AWC」による意のままの操縦感覚は、富士山麓の湖畔のちょっとしたワインディングではもちろん、ごく普通に走っていても気持ちがよい。1.5リッターターボエンジンの動力性能にも大きな不満はなく、熟成されたCVTとの組み合わせによりとても扱いやすい。

 適度に高めの目線のおかげで、ドライブしながら素晴らしい景色をより楽しむこともできた。思えば、こうしたキャラクターのクルマというのはこれまでありそうでなかった。最初にプロトタイプをドライブしたときからエクリプス クロスには好印象を持っているが、久々にドライブした今回もそれは変わらない。

アウトランダーPHEVと電動アシストバイク

会場ではパナソニックの電動アシストスポーツバイクが展示され、試乗することもできた

 会場では改良を実施予定の「アウトランダーPHEV」(2019年モデル)とともに、パナソニックの電動アシストスポーツバイク(e-bike)の「Xシリーズ」に加わった新製品であるマウンテンバイクの「XM2」と「XM1」、クロスバイクの「XU1」が展示されていた。

 あえてSUVをベースにPHEV化した三菱自動車の考え方と、マウンテンバイクに電動アシスト機構を搭載して走破性を高めた同製品のコンセプトが合致することから、こうしたコラボが実現する運びとなった。

マウンテンバイクの「XM2」は、クランク軸に直接パワーを伝えるダイレクトドライブ機構に内装2段変速を採用。12Ahタイプの大容量バッテリーを搭載し、1充電あたりの走行距離はECOモードで約107km、AUTOモードで約75km、HIGHモードで約61kmとなっている。価格は41万400円

 アウトランダーPHEVなら簡単なアタッチメントを装着することで、27.5インチのタイヤを履く大きな自転車もご覧のとおり搭載できる。アウトランダーPHEVで先進的なドライブを楽しみ、旅先ではクルマでは入っていけないような場所でも快適に電動アシスト自転車で走って楽しむこともできるわけだ。

アウトランダーPHEVの収納力を示す展示も。27.5インチのタイヤを履く電動自転車も積み込める

 今回、筆者も会場内のコースを試乗することができた。軽くペダルを踏み込むだけでモーターがグッと押し出し、路面の荒れた上り坂でもラクに駆け上がっていける。サスペンションが付いているので乗り心地も快適そのもの。自転車に乗るのは久しぶりだったのだが、ちょっとカルチャーショックを受けてしまった。コレが手元にあれば行動範囲が一気に拡がりそうでワクワクする。ちょっと高価だけど本気で欲しくなってしまった……。

デリカD:5の夏の特別仕様車

広大な山並みや鹿を描いたサイドストライプ&デカール、テールゲートに「JASPER」デカールを装着してアウトドアでのレジャーイメージを表現した「デリカD:5」の特別仕様車「ジャスパー」

 すでに完熟の域に達し、モデルチェンジの情報も見られるようになった「デリカD:5」には、4月におそらく最後となるフェイスリフトが実施された。アンダーカバー一体型のフロントバンパープロテクターを採用し、より力強くアクティブなイメージになった。さらに、久々に夏の定番である特別仕様車「ジャスパー」が設定されたことも注目だ。

「もっとワイルドに、もっと自然の中へ。」をキャッチコピーとするアウトドアレジャーに適した仕様がウリのジャスパーは、見た目にもそれが体現されていて、デリカD:5の持ち前のタフなイメージがさらに増している。ボディカラーは写真の専用色のほか全3色が選択可能で、山並みや鹿を描いたサイドストライプ&デカールが目を引く。さらに、太陽の下で映えるよう各部をメッキとしたほか、ダーククローム調塗装の18インチアルミホイールにより足下を引き締めている。

ジャスパーのパワートレーンは、直列4気筒DOHC 2.2リッターディーゼルターボエンジンに6速ATの組み合わせ。価格は357万480円~374万7600円。撮影車のボディカラーは夏の山や森林をイメージした専用色の「ディープシーグリーンマイカ/アイガーグレーメタリック」

 インテリアで最大のポイントはシート。手触りが心地よく、夏のアウトドアレジャーシーンで使い勝手のよい撥水機能を付加した専用スエード調人工皮革「グランリュクス」をシート生地に採用するとともに、滑りにくい立体的なボーダーキルティング形状とした機能的なシートが与えられている。また、各部をピアノブラックとするとともに、エクステリアのサイドデカールと同イメージのイラストデカールをアッパーグローブボックスに配するなど、デコレーションにもこだわりが見られる。

 さらに、カーゴフェンスやシートバンジーコード、マッドフラップをはじめアウトドアレジャーシーンに適した専用のオリジナルパーツを組み合わせた「ジャスパー コンプリートパッケージ」が、リーズナブルな価格でオプション設定されたこともお伝えしておこう。

 ちなみにデリカは2018年、生誕50周年を迎えたそうで、なんと筆者と同い年。これまでにも増して親近感がわいてきた次第である(笑)。なお、生誕50周年を受けて、「デリカ誕生50周年スペシャルサイト」の開設をはじめ各種イベントやキャンペーンを展開予定とのことなので、そちらも楽しみにしたい。

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛