ニュース

三菱自動車、増岡浩氏も走りを絶賛した新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」発表会

「エクリプス クロスの立ち上げは国内事業で最も重要なプロジェクト」と益子社長

2018年3月1日 開催

新型「エクリプス クロス」発売会のフォトセッションでエクリプス クロスの前に立つ、三菱自動車工業株式会社 取締役社長 CEO 益子修氏(左)と三菱自動車工業株式会社 商品戦略本部 チーフプロダクトスペシャリスト 林祐一郞氏(右)

 三菱自動車工業は3月1日、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を発売し、東京都港区にある本社・ショールームで発表会を開催した。

 エクリプス クロスは“三菱自動車らしいクーペSUV”をテーマに、これまでにないスタイリッシュなクーペフォルムとダイナミックなSUVの機動力を融合させたモデル。価格は253万2600円~309万5280円となっている。このほかのグレード体系などは関連記事「三菱自動車、クーペスタイル採用の新型コンパクトSUV『エクリプス クロス』。予約注文は約5000台に」を参照していただきたい。

新型エクリプス クロス
ボディサイズは4405×1805×1685mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm
車両重量は2WD(FF)車が1460kg~1480kg、4WD車が1530kg~1550kg
ボディカラーは新色の「レッドダイヤモンド」(左)のほか、「ホワイトパール」(中央)、「スターリングシルバーメタリック」(右)など計8色をラインアップ
全車で最高出力110kW(150PS)/5500rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/2000-3500rpmを発生する「4B40」型の直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴ターボエンジンを搭載
上級グレードの「G」「G Plus Package」では切削光輝仕上げの18インチホイール+225/55 R18タイヤを標準装備
GとG Plus Packageに設定される「電動パノラマサンルーフ」をオプション装着した場合、ルーフに光輝ブラック塗装が施される。純正状態はボディ同色
エクリプス クロス G Plus Packageのインパネ
本革巻ステアリング+本革巻シフトノブは全車標準装備
トランスミッションは8速スポーツモード付きCVTで、パドルシフトを全車標準装備
メーターパネルの中央にカラー表示のマルチインフォメーションディスプレイを設定
センターコンソールの右側にタッチパッドコントローラーをレイアウト。指先の操作でディスプレイ上のカーソル移動やオーディオの音量などの操作、Apple CarPlayの操作などに対応
G Plus Packageはスマートフォン連携ディスプレイオーディオも標準装備する
GとG Plus Packageは本革シートをオプション選択可能。インテリアカラーは全車ブラック
リアシートは前後に200mmロングスライドするほか、シートバックが9段階でリクライニング
ラゲッジスペースのフロア下にも収納スペースが用意されている

「コントロールしやすく、どんな路面でも安全に快適に走れる」と増岡浩氏

発表会の冒頭で行なわれたトークショーに参加したラジオパーソナリティーの藤本えみり氏(左)と三菱自動車工業株式会社 広報部 チーフエキスパートの増岡浩氏(右)

 発表会ではまず、エクリプス クロスをPRする三菱自動車のWebイベント「NIGHT SHOWROOM」でメインナビゲーターを務めてきた藤本えみり氏と、長年に渡ってダカールラリーに参戦したラリードライバーで、現在は三菱自動車の広報部に所属する増岡浩氏の2人によるトークショーを実施。

 トークショーでは藤本氏がNIGHT SHOWROOMの概要と参加者からの反響などを説明。この中で一番多く質問されたのがエクリプス クロスの走りについてで、この点について詳しく解説するゲストとして増岡氏を紹介した。

 増岡氏はエクリプス クロスの走りについて「(エクリプス クロスは)運転席に座ったときに角の見切りがいいし、後ろの視界もすごくいいので運転しやすいのがまず1つ。あと、われわれ三菱自動車の世界に誇れる技術というもので、『S-AWC』、Super All Wheel Controlという、エンジンと4つの車輪、ブレーキ、ステアリングを全て連動する4輪の統合制御技術です。雪道を初めて走る人や、僕のようにアグレッシブに走ったりすると、その人に応じて100分の1秒単位で全てを制御してくれるので、ある意味で『失敗をクルマが先読みして』カバーしてくれる。つまり、ドライバーの頭脳とクルマの頭脳の2つでクルマを動かすと考えていただけるといいかと思います。非常にコントロールしやすくて、どんな路面でも安全に、快適に走れるクルマに仕上がっています」とコメント。

 また、増岡氏は「われわれはダカールラリーにパジェロ、WRCにランサーで参戦しました。4WD技術はそういった世界のトップレベルでの戦いでどんどん磨かれて、技術者は負ければ当然悔しいですから、『もっといいものを造らなくちゃならない』という繰り返しになって、そこで磨かれた技術ということです。クルマが曲がりながらでもぐいぐい前に行く。その人の走りに応じてクルマが応えてくれる。非常にマルチな、オールマイティなクルマですよ」と語り、エクリプス クロスの4WD技術にラリー参戦のノウハウが生かされているとアピール。

トークショーは藤本氏が質問し、増岡氏が答えるスタイルで進められた

 藤本氏が同乗して雪上コースを走ったシーンの振り返りでは、「ビギナーの人は怖くてそんなにアクセルは踏めないじゃないですか。もちろん、カーブもアクセルオフで進入していくと思うんですけど、われわれはアクセルを踏んだままの加速状態でコーナーを抜けます。そのどちらにも制御が対応して、最悪の『スピン』『コースアウト』を防いでくれる装備です。だから、これから初めてスキーに行くという人にも安心だと思います」と増岡氏は説明した。

 最後に増岡氏は「私も実は(エクリプス クロスを)予約をして、今月中には納車されることになってます。ある意味、テストで乗って『ひと目ぼれ』ですよね。最近はいろいろなクルマがありますけど『三菱らしいな』って感じました。走りが楽しく快適ということで、まぁ家族で乗るクルマなんで、僕は走りを求めて、家族は先進の安全装置が働いてくれるということで。クルマの取りまわしもいいし、みんなで楽しくドライブに行けるクルマなんで納車されるのが楽しみなんですが、皆さんもぜひ1度試乗していただけると、もっともっとエクリプス クロスが好きになると思います」とコメント。自身もオーナーになるエクリプス クロスの魅力をアピールした。

トークショー内では北海道のクローズコースで実施されたエクリプス クロスの雪上走行シーンも披露された
三菱自動車工業株式会社 商品戦略本部 チーフプロダクトスペシャリスト 林祐一郞氏

 車両概要については、エクリプス クロスの商品企画を担当した三菱自動車工業 商品戦略本部 チーフプロダクトスペシャリストの林祐一郞氏が説明。

 林氏はエクリプス クロスの市場導入にあたり、世界の自動車需要の増加をSUVが牽引し、その中でもコンパクトSUVが今後急速に伸びていくと予測されていることから、そのようなコンパクトSUV市場に投入する新型モデルとして開発したと説明。

 新型SUVの開発にあたっては過去に市販してきた「パジェロ」で培ってきた基本性能、「ランサーエボリューション」シリーズで定評ある高い走行性能をしっかりと受け継ぎつつ、新たな取り組みとしてSUVにスタイリッシュクーペが持つかっこよさや世界観を融合させることにチャレンジしていると解説した。

エクリプス クロスが投入されるコンパクトSUVカテゴリーは、今後最も販売が伸びると予測されている重要な市場
「パジェロ」「ランサーエボリューション」などのヘリテージがエクリプス クロスにも受け継がれている
新たなチャレンジとして「スタイリッシュクーペの世界観」をSUVに融合
開発の具体的な柱となる3要素

 具体的な開発では「行動意欲を掻き立てるデザイン」「直感的な操作で新たな楽しみの閃きをもたらすコネクティビティ」「4輪制御技術による安心して楽しめるドライビングフィール」という3点を柱として設定。

 デザインでは「VIBRANT&DEFIANT“躍動、そして挑戦”」をキーワードに、アスリートがスターティングブロックを蹴り出した直後のような躍動感を実現していると説明。また、外観では新たに“特別な赤”として「レッドダイヤモンド」を新規開発。光沢がありながら深みのある赤で、エクリプス クロスのシャープなシルエットを一番きれいに引き立たせる色になっていると述べた。

 インテリアは「HORIZONTAL AXIS」デザインとして、車体姿勢が分かりやすいSUVならではの水平基調と前方視界のよさを追究。見た目ではないデザイン上の工夫として、リアシートに200mmの前後スライドと9ポジションのリクライニングを設定。コンパクトなボディサイズで高いユーティリティと快適な居住性の使い分けが可能となっている。

 コネクティビティでは上級グレードに薄型別体式のスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)、タッチパッドコントローラーを標準装備。SDAは「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応している。また、フルカラー表示に対応するヘッドアップディスプレイを三菱自動車で初採用。運転中に姿勢を大きく乱すことなく操作できるタッチパッドコントローラー、視線を前方に向けたまま多彩な情報を確認できるヘッドアップディスプレイは安全運転に資する装備になっているとアピールした。

外観のキーワードは「VIBRANT&DEFIANT“躍動、そして挑戦”」
水平基調のダッシュボードでSUVテイストを表現
リアシートに200mmの前後スライドと9段階のリクライニングを与え、使い勝手を高めた
リアシートを最後端にセットしても9インチのゴルフバッグ3個がラゲッジスペースに収まる
コネクティビティの各種装備は、先進性の表現に加えて安全運転にも資する

 ドライビングフィールでは、SUVとしての大きなアプローチアングルとディパーチャーアングル、高い最低地上高を確保しているほか、4WD全車で車両運動統合制御システムの「S-AWC」を標準装備。さらに「AUTO」「SNOW」「GRAVEL」の3種類から走行モードを選択できる「ドライブモードセレクター」も備え、路面状況の変化にかかわらず安心して運転できると林氏は語る。また、ボディ構造ではフロントまわりで各種補強パーツを装着し、溶接プロセスで構造用接着剤を併用することでボディ剛性を強化。安心感があり、ステアリング操作が楽しくなる軽快なハンドリングを実現しているという。

 最後に林氏は、エクリプス クロスでは三菱自動車で「e-Assist」と呼称する予防安全技術を積極的に装備しており、「衝突被害軽減ブレーキ(FCM)」「車線逸脱警報システム(LDW)」「誤発進抑制システム(前進&後退)」を全車標準装備。これにより、経済産業省や国土交通省などが推進する「安全運転サポート車」の最高評価となる「サポカーS ワイド」に適合していると紹介した。

ボディ剛性を高めて走行性能の基本特性を磨き上げ、さらに「S-AWC」などの高度な電子制御であらゆる路面に対応する
低回転域から大きなトルクを発生するダウンサイジングターボを採用
先進安全装備を多彩に備え、「サポカーS ワイド」に適合

エクリプス クロスの立ち上げは国内事業で最も重要なプロジェクト

三菱自動車工業株式会社 取締役社長 CEO 益子修氏

 このほかに発表会では、三菱自動車工業 取締役社長 CEOの益子修氏も登壇。「このエクリプス クロスですが、国内では2014年2月に『eKスペース』を発売して以来、実に4年ぶりの新型車になります。中期経営計画『DRIVE FOR GROWTH』で重要なことは、信頼回復に最優先で取り組むこと、事業をV字回復基調に乗せて持続的成長の土台をしっかりと作ること、そして導入する新型車をしっかりと成功させることだとこれまでも言ってきました。国内事業においては信頼回復と事業拡大に向け、ディーラーネットワーク強化やブランド再構築などの改革を促進することで計画達成を目指しています。その鍵となる商品刷新計画の第1弾がこのエクリプス クロスです。このクルマの立ち上げが当社の国内事業で最も重要なプロジェクトであり、中期経営計画を達成するためにも強い信念を持って取り組んでいきたいと考えております」と語り、エクリプス クロスに与えられた重要性を説明。

 また、「エクリプス クロスは約80カ国で販売を計画している世界戦略車でもあります。昨年3月のジュネーブモーターショーで世界初披露し、三菱自動車らしいシャープでダイナミックなクーペSUVスタイリングと、安心して楽しめる4輪制御技術が好評を博し、すでに欧州、オーストラリア、アセアン、台湾、北米で販売を開始して、1月末時点で5万3000台を受注しております。国内においても12月下旬より予約注文の受け付けを開始して、2月末までに約5000台の注文をいただきました。国内では月に1000台の販売目標としておりますので、発売前に5カ月分の注文をいただく好調なスタートを切ることができたと考えております」と益子氏は述べ、実際にエクリプス クロスがスタートダッシュに成功していることをアピールした。

 さらに益子氏は「エクリプス クロスに続く商品刷新計画としては、来週のジュネーブモーターショーで世界初披露させていただく『アウトランダーPHEV』の2019年モデルです。PHEVシステムの大幅な改良によって、よりEVらしく、よりSUVらしい魅力を高めて夏ごろに投入する予定です。また、『デリカD:5』はSUVの走破性とMPVの居住性、使い勝手を融合させた他にはないユニークな存在として多くのファンの皆さまにご愛顧いただいております。デリカブランドが誕生してから50周年を迎えた本年、デリカD:5のモデルチェンジを予定しております。最後となりますが、三菱自動車は新しいブランドメッセージ『Drive your Ambition』のもと、行動範囲を広げたい、さまざまなことに挑戦したいというお客さまの思いに応える独創的で存在感のある商品を提供してまいります」とコメント。商品刷新計画で新しいモデルを導入していく意気込みを示した。

エクリプス クロスは国内事業と世界戦略の双方で重要なモデルだと益子氏はアピール

 発表会の終盤には質疑応答が行なわれ、2016年4月に明るみとなった燃費不正の問題以降、初めての新型車となるエクリプス クロスの市場導入にあたって益子氏の受け止めを質問され、益子氏は「私どもが燃費問題を起こしたときに、いったん立ち止まるということをやりましたし、一方で前に向かって進むという相反する2つの作業に取り組んできました。再発防止に向けては作業を止めてでも『何が問題か』を洗い出さなければならない。これにずいぶん時間も労力も取られました。一方で、将来に向けて開発の手をゆるめてはいけないという問題もありましたので、これは私よりも、開発、生産、購買、品質にあたった人たちの苦労は大変だったろうと思います」。

「また、日産自動車と資本提携する前にこのクルマの開発は決まっており、その資本提携の後に出てくるのですから、三菱が自分の判断で開発を決め、自分の力で開発するクルマが、日産自動車にとっても立派なクルマであると言ってもらえるようなものでなければならないと、強い思いを持って開発陣はやってきたと思っています。われわれが持っている過去の遺産と新しい挑戦という、2つの命題に取り組んで出てきたクルマがエクリプス クロスであります。期待に応えるクルマであってほしいと思いますし、われわれはそのように育てていきたい。その意味では特別の愛着を持ったクルマであると言って差し支えないと思います」と回答している。

質疑応答で益子氏は、エクリプス クロスを「特別の愛着を持ったクルマ」と表現した