試乗インプレッション

今春発売の三菱自動車「エクリプス クロス」で雪上試乗

クーペの世界観をもつコンパクトSUVの雪上性能とは!?

 本稿では北海道の新千歳モーターランドで試乗した、エクリプス クロスの試乗内容について紹介する。

 エクリプス クロスはSUVならではの走行性能にスタイリッシュなクーペの世界観を融合させたモデルだ。シャープなボディデザインの内側には、アウトランダーPHEVと同様のプラットフォームを採用し、主に開口部に対して構造用接着剤を多く盛り込むことで結合剛性を高めている。また、アウトランダーと共用のガセットやブレースをフロント周りに採用。コンパクトなボディに妥協のない造り込みがあれば、これは期待できそうだ。エンジンは1.5リッター直噴ターボエンジンを搭載。それに組み合わされるのは8速スポーツモード付きCVTとなっている。

「エクリプス クロス G Plus Package」(レッドダイヤモンド)
225/55 R18サイズの横浜ゴム「アイスガード iG60」を装着
エクリプス クロス G Plus Packageのインテリア。本革巻ステアリング+本革巻シフトノブは全車標準装備
2眼式メーターの間にカラー表示のマルチインフォメーションディスプレイを設定
トランスミッションは8速スポーツモード付きCVTで、パドルシフトを全車標準装備
スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)+タッチパッドコントローラーはG Plus Packageの専用装備。スマートフォンを意識した操作感覚が与えられ、2本の指で上下、左右に操作すると、音量やラジオのチューニング選択などが可能。そのほかのグレードはオーディオ非装着+6スピーカーとなる

まるでSUV版のランエボ

 広大な視界が確保されている運転席に収まって走り出すと、低速からかなりのトルクが発生していることが感じられる。スペックではわずか2000rpmから240Nmを発生しているとあるから、その感覚に間違いはなさそうだ。けれども、走り出しから突如タイヤがスリップするようなことはなく、確実に路面を捉えられるコントロール性も備えている。走り出しはスムーズに、それ以降は求めればどうにでもトルクがついてくる、そんな感覚なのだ。おかげでスリムなボディはいかようにでもコントロールが可能。ドライ向けのターマックモードで走れば、これもまたアウトランダーPHEVのスポーツモードと同様、リアを発散させながら自在な姿勢コントロールを可能にしてくれる。低速トルクのツキのよさ、そしてS-AWCのコントロール性のよさがあってこその世界だろう。

ボディサイズは4405×1805×1685mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm
「4B40」型の1.5リッター直噴ターボエンジンは、最高出力110kW(150PS)/5500rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/2000-3500rpmを発生(数値は型式指定前の暫定値)

 ただ、もし可能であればアウトランダー(ガソリンモデル)に用意される「AFD(Active Front Differential)」をオプション装備してほしいとも感じる。そうすれば、より旋回方向への動きが出ることは間違いないからである。もっとスポーティにしても面白そうだと感じるからこそ、そんなことをリクエストしておきたい。エクリプス クロスはそんなマニアックことを求めたくなる、まだまだ可能性があるクルマなのだ。まるでSUV版のランエボ。エクリプス クロスにもエボリューションモデルが誕生したら……。思わずそんなことを期待してしまう。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車はトヨタ86 RacingとNAロードスター、メルセデス・ベンツ Vクラス。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。