トピック
山野哲也のアルファ ロメオ「4C スパイダー」&アバルト「124 スパイダー」が持つ魅力とは?
2台のオープンモデルを体感しに伊豆へショートトリップ
- 提供:
- FCA ジャパン株式会社
2018年4月25日 00:00
「4C スパイダー」と「124 スパイダー」の2台をフィーチャー
アルファ ロメオ、フィアット、ジープ、アバルトの4ブランドを展開しているFCA ジャパン。4ブランドからリリースされている車種は実に15モデルにも上り、多様化するオーナーの要望に応じて適切な車種を選択することができる。車種ラインアップの多様性が多くの支持を得ていることに加えて、2016年からスタートしたブランド訴求力を高めるための新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)を採用した店舗展開を軸とする「正規販売ネットワーク充実化プロジェクト」を積極的に推進するなど、多くの改革を行なっている。
各ブランドの価値を再構築することや改革にともない、FCA ジャパンの販売台数は右肩上がりとなっていて、2017年の年間販売台数は2万1938台を数えた。輸入車メーカーの対前年比が平均で3.7%増だったが、FCA ジャパンはその約2倍となる7.3%の増加となった。前年に対して販売台数が増加したのは、直近の8年間で7回ということで、年を追うごとにユーザーからの支持を高めていることが分かる。
販売台数を押し上げているのは、フィアット「500」やジープ「レネゲード」といったエントリーモデルが充実したことも要因の1つに挙げられるが、ブランディングの確立や車種ラインアップの多様性が認知されたこともあるはずだ。
そのブランドイメージの牽引役となっているのが、アルファ ロメオ「4C スパイダー」とアバルト「124 スパイダー」の2台のオープンモデルではないだろうか。アルファ ロメオのプレミアム性を保ちつつ、1930年代~1940年代に生産された「8C」や「6C」といった代表的なスポーツモデルをオマージュした4C スパイダー。そして124 スパイダーも、1960年代に登場したオリジナルの124 スパイダーを現代の最新技術によって蘇らせたモデルで、どちらも長い距離を乗れば乗るほど開発陣が訴えたいことが身体に伝わってくる。
そこで、アルファ ロメオとアバルトのブランドを体現している2台のモデルに乗って春霞に包まれた伊豆方面へショートトリップしに出掛けてみた。通常、FCA ジャパンではブランドごとの価値観を作り上げているので、ブランド間でのコラボレーションを行なうことはないのだが、2017年7月のフィアット「500X」とアバルト「595 コンペティツィオーネ」、12月のアルファ ロメオ「ジュリア」とジープ「コンパス」の記事のように、特別企画としてブランドミックスを展開している。
フィアット&アバルトの併売体制から1年。ワインディングを含む約10kmの試乗が楽しめる新CI採用第1号店「フィアット/アバルト札幌東」
アルファ ロメオ「ジュリア」とジープ「コンパス」で雪の美瑛を中心に、北海道520km走破
https://car.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1099224.html
第3弾となる今回のオープンスポーツ企画では、2017年からアバルト 124 スパイダーを駆り全日本ジムカーナ選手権に参戦し、2017年シーズンは見事に17回目となるシリーズチャンピオンを獲得した山野哲也選手に登場してもらい、2台のオープンスポーツが持つ多様性と魅力について語ってもらった。
4C スパイダーは最新のテクノロジーを取り入れたレースカー
――山野さんはアルファ ロメオ 4Cは乗ったことがあるそうですが、4C スパイダーは初めてと聞きました。4Cはイタリア モデナのマセラティ工場で熟練した技術者が組み上げていく、クラフトマンシップに富んだモデルです。
山野選手:そうですよね。4C スパイダーのドアを開けると、まず「普通のクルマではない」ということが分かります。スポーティな乗用車でも床にはカーペットが敷かれていて、さまざまな箇所がプラスチックで覆われています。しかし、4C スパイダーはカーボンのシェルが見え、アルミパーツも多く目に付きます。まるで最新のテクノロジーを取り入れたレースカーが街中を走っているようです。
――実際にシートに座ってみていかがでしたか?
山野選手:ペダル類の作り込みに驚きますね。本格的なレーシングカーに乗ったことあるドライバーならペダルの剛性感や、どこに支点があるかということが気になるのです。4C スパイダーのペダル類はレーシングカーそのもので、「ペダルを踏んでくれ」と言わんばかりの配置や剛性を誇っています。この4C スパイダーは2ペダルで、アクセルとブレーキがすべてオルガン式のアルミ製、そして金属のボルトで留まっています。
一番驚いたのはブレーキペダルの向きと大きさですね。まずペダルの向きですが、通常のクルマはブレーキペダルに対して斜め上から踏みつけてブレーキを効かせます。しかし、4C スパイダーのブレーキペダルは、かかとを床に付けた状態で上方向に押していくイメージです。ブレーキを踏んでいないときのペダルの角度は、垂直よりもドライバー側に倒れています。フルブレーキングした時点で、ペダルは垂直になるように設計されているはずです。とても理に適った形状で、サーキットでフルブレーキングした際には身体に前方向の強いGが掛かります。そのときはブレーキペダルを踏みながらも身体を支える必要があり、フルブレーキング時の身体を支えるという足の役割とペダル形状がリンクしています。まさにレーシングカーの考え方を取り入れていますね。
また、ペダルの幅も足の裏とピッタリと合っていました。加えてフットレストもアルミの削り出しで作っているようで、ボックス形状をしています。ドライバーが強く踏み込んでもビクともしない剛性感を持っています。
――アクセルとブレーキペダル、フットレストだけを見るとまるでGT3マシンのレーシングカーのようですね。他にシートに座って感じたことはありますか?
山野選手:メーター類がすべてデジタルになっているのですが、デザインや演出にもこだわっていますね。例えば、金属でできているメーターや指針を模すために光と影を利用しながら奥行き感を出しているように思います。トリップメーターの数字の動きというところもアナログっぽさを残していて、最新のデジタル式ながらも従来のメーターの雰囲気を残しています。もちろん機能性に関しては、的確に情報を掴めるようになっています。
Alfa Romeo D.N.A.でD(Dynamic)を選ぶとメーター表示がブースト計に変わり、バックライトのカラーも刺激的な赤になります。4C スパイダーのデジタルメーターは、ピクサー映画の演出に通じるところがありますね。
――では、実際に走らせてみてパワートレーンの印象はいかがでしたか?
山野選手:エンジンを始動すると、まずは前回乗車時に設定したモードがセレクトされるのですが、DNAのA(All weather)は、アクセルを踏み込むと「自然吸気エンジンだったかな?」と思わせるようなスムーズな加速をします。トランスミッションはAlfa TCT(6速乾式デュアルクラッチオートマチック)で、ギヤチェンジの際に響く独特の排気音がシフトチェンジを楽しくさせます。
N(Natural)モードやAモードでも十分に速くスポーツカーとしての性能を体感できますが、D(Dynamic)モードは刺激的ですね。3000rpm手前あたりからターボの過給圧が最大の1.5kg/cm2を示していて、エンジンレスポンスも鋭くなります。レブリミットの1000rpm手前くらいでシフトアップしないとオーバーレブしそうなほど、俊敏にエンジンが回ります。シフトアップ後のトラクションというか、クルマを押し出そうというパワーとトルクもかなりのものですね。
Aモードでは静かに快適に、Dモードではドライバーをやる気にさせる。そんな違いを4C スパイダーは1台で持っています。
足まわりを含めた動きこそ124 スパイダーの魅力
――もう1台の124 スパイダーは全日本ジムカーナでも相棒として使っていますし、プライベートでもお持ちですよね。
山野選手:今回、東京から伊豆まで乗ってみて改めて感じたことは、身近でそれほど高くない価格で、これほど気持ちのよいスポーツカーが手に入るというのが素晴らしいですね。私が競技車両のベースとするときにはスタイリングの格好よさも選ぶポイントになります。やはり競技車両は美しくて格好よくないといけません。そういう意味で、124 スパイダーのリアから見たときのロー&ワイドなフォルムが好きです。
――今回は、エキゾーストパッケージが付いたATモデルを用意しましたが、MTとは違ったよさがありますよね。
山野選手:ATなので、発進時や低速走行時でも気兼ねなく走れます。それとATと124 スパイダーのターボエンジンとの相性のよさも感じました。1.4リッターエンジンでターボ過給を行なっているので、どうしても全回転域で過給が素早く掛かるわけではありません。MTだと低回転域では多少のタイムラグがあってから加速します。
それに対してATモデルの場合はトルクコンバーターが付いているので、低速域のぎくしゃく感を抑制できています。常にブーストが掛かった状態のような印象を受け、スムーズにドライブすることができます。サーキットや競技などのシチュエーションでは、MTモデルの方が優れている面もありますが、普段使いならATモデルをお勧めしたいですね。
――124 スパイダーは乗っていて、バランスなど全体を通して凄く気持ちがよいですよね。山野さんが最も気に入っているところはどこですか?
山野選手:足まわりを含めた動きですね。本当に気持ちがよいと思っています。よいクルマは足が動いて、ボディがねじれないというか揺れないと思われがちです。ですが、路面の凹凸を確実に掴んでいるとボディは多少揺れるはずなのです。そういう意味で、124 スパイダーは気持ちのよい揺れが残っていて、しっかりと足が動いているのを感じます。タイヤが路面を掴んでいる印象やグリップ力が手に取るように分かるのです。この124 スパイダーの動きこそ、ジムカーナで使わせてもらっている理由であり、街中での気持ちよさにも通じています。
ブランドのけん引役となっている2台のオープンスポーツだが、その生い立ちや作り込み、美点は異なっているようだ。ハードなスポーツ走行を前提に作り上げられている4C スパイダーに対して、124 スパイダーのATモデルは気兼ねなく街乗りすることもでき、いざ走り込めば最高の気持ちよさが味わえ、競技でも実績を残していることから素性の素晴らしさも実証されている。
このように、どちらもオープンスポーツとドライバーを高揚させてくれるという共通点はあるが、目的によって選択するモデルは変わってくるはずだ。
撮影協力:
芦ノ湖スカイライン
http://www.ashinoko-skyline.co.jp/
道路使用許可:大仁警察署 第4-49号