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アルファ ロメオ「ジュリア」とジープ「コンパス」で雪の美瑛を中心に、北海道520km走破
生い立ちの異なるブランドでも共通した走りの楽しさと安心感を堪能
2017年12月29日 00:00
「フィアット」「アバルト」「アルファ ロメオ」「ジープ」などさまざまなブランドを展開しているFCA ジャパン。それぞれのブランドは、ターゲット層や価格帯、指向性が異なる。そのため、販売しているディーラーを独立店舗(フィアットとアバルトは併売)へと移行させる正規販売ネットワーク充実化プロジェクトを推進している最中だ。
ディーラー網の拡充と合わせて、FCA ジャパンは魅力ある商品の導入も積極的に行なってきた。2017年は、2月にアルファ ロメオの全ラインアップをマイナーチェンジし、同時期にアバルト「595」のラインアップも刷新している。フィアット、ジープなどの限定モデルも続々とリリースされ、10月にはアルファ ロメオのニューモデルとなる「ジュリア」を導入。12月にはジープからコンパクトSUVの「コンパス」が発売された。
アルファ ロメオのフラグシップサルーンとなるジュリアは、2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤーで、2016年11月1日~2017年10月31日に発表、または発売された乗用車の中から厳選された10台となる「10ベストカー」に選出されている。FCA ジャパンでは、過去6年に渡ってアルファ ロメオ、フィアット、アバルト、ジープのブランドから10ベストカーを受賞していて、それだけ商品力のあるモデルが毎年生み出されていることになる。
前述のように、FCA ジャパンではブランドごとの店舗展開やPRの方法を取り入れていることから、通常はブランドを越えた車種を合わせて紹介することはない。だが、7月に掲載された記事では、フィアットの「500X」とアバルト「595 コンペティツィオーネ」の2台を借り出して夏の北海道をロングドライブし、安定性の高いスモールSUVとソリッドなコンパクトスポーツの魅力を堪能した。
その第2弾として、FCA ジャパンの最新モデルとなるアルファ ロメオ ジュリアとジープ コンパスの2台を、ステージは同じ北海道だが、今度は冬の雪道で魅力を探っていこうというのが試乗のテーマとなる。
2017年10月14日に発売されたアルファ ロメオのフラグシップサルーンとなるジュリアは、エントリーグレードとなる「ジュリア」からV型6気筒 ツインターボを搭載するハイエンドの「クアドリフォリオ」まで4つのグレード展開で、今回は唯一の4WDモデルとなる「ヴェローチェ」が用意された。「ジュリア」とラグジュアリーグレードの「スーパー」「ヴェローチェ」は、同じ直列4気筒 2.0リッターツインスクロールターボのアルミ製エンジンを搭載するが、ヴェローチェは最高出力が280PS/5250rpm、最大トルクが400Nm/2250rpmと、ほかのモデル(最高出力200PS/4500rpm、最大トルク330Nm/1750rpm)よりも出力を上げている。組み合わせているトランスミッションは8速ATで、駆動システムは新型の「Q4 AWDシステム」を採用している。
一方のシープ コンパスは、2017年12月2日に発売されたばかりの最新モデル。グレード展開は、エントリーモデルとなる「スポーツ」、充実した装備の「ロンジチュード」、9速ATに4WDシステムを採用した「リミテッド」の3タイプ。エンジンは3タイプとも直列4気筒 2.4リッターエンジンが搭載されていて、最高出力は175PS/6400rpmで、最大トルクは229Nm/3900rpmとなる。試乗車となったのは、こちらも唯一の4WDモデルとなる「リミテッド」だった。
2台の車両を新千歳空港で受け取り、まずは150kmほど離れた旭川を目指す。空港に降りたときから外気温はマイナスで、空港周辺の道路こそ除雪されているが、それでも除雪された雪が道路脇に積まれていて、12月の北海道として積雪量は多いとのことだった。
最初にジュリア ヴェローチェのステアリングを握って高速道路を走行。札幌を抜けると晴れ渡っていた空が一気に雲に覆われて、雪が舞い始めた。降り始めた雪は、すぐに高速道路の路面に積もり、アスファルトが見えなくなる。新雪が積もった路面でもヴェローチェのフルタイム4WD「Q4」は、常に安定感を与えてくれる。旭川に近づくと、天候は吹雪となり視界もわるくなった。そんなときでも、4輪がしっかりと路面と接地していて、常時適切な駆動力の配分を行なっている。ドライビングに集中しないといけないシチュエーションでも、気構えることなく安心してクルマに任せて運転ができる。
旭川に到着すると、今度は一般道で近郊の美瑛町を目指した。一般道は除雪こそされているものの、路面は雪で覆われていて圧雪路となる。ここでは、ジュリアに採用されている電子制御の「Alfa DNAドライブモードシステム」を試してみる。エンジンパフォーマンスとステアリングやブレーキを統合制御するDNAは、D「ダイナミック」、N「ナチュラル」、A「アドバンスドエフィシェンシー」の3段階で構成されていて、Dがもっともスポーティな演出となっている。
Dモードをセレクトすると排気サウンドも太くスポーティになり、ドライバーに刺激を与えてくれる。安全性を考慮するためにトラクションコントロールは完全にOFFにならないが、それでもFR譲りの動きで、圧雪路を走行できる。今回の北海道に来る前に、ドライ路面の一般道でも500kmほど走行したのだが、ジュリアの一番の美点は前後バランスの秀逸さだと感じた。理想的な50:50の重量配分で、コーナリング時や加速、ブレーキング時などのGの掛かり方が自然。そして、どのモデルも車重が1500kgを越えるが、重さをまったく感じさせない造りとなっている。
手足のように動くジュリア ヴェローチェから、今度はジープ コンパスに乗り換える。ジープの最上級モデルとなる「グランドチェロキー」と共通性を持つフロントフェイスやルーフラインなど、コンパクトSUVながらも力強さと存在感を持っているのがコンパス。動力性能も上級モデル譲りの性能となっている。4WDシステムは、4つのモードから選択できる「セレクテレインシステム」を採用する。通常の路面での走行ならば「AUTO」モードを選べば、車両側で最適な自動制御を行なうが、雪道や滑りやすい氷上などでは「SNOW」モードが威力を発揮する。SNOWを選択するとデフロック状態となり、低μ路でも走破性が上がることと、オーバーステアが抑制される。例えば、路面の片側が凍っているときなどでもアクセルを踏み込めばスリップすることなく自然と加速していく。今回のような新雪から圧雪、アイスバーンなどが複雑に合わさった状況では、心強い制御モードなのだ。
美瑛町や旭川などで撮影を終えて、往路は高速道路を使った新千歳空港までを、復路は一般道を長めに走り最後は高速に乗るというルートに変更した。コンパスには、完全停止まで行なうACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が採用されている。北海道は町と町との距離が離れていることもあり、自然と移動距離も多くなる。そこで、ACCを使いたくなることもあるだろう。多少の雪が降る中でもACCはしっかりと機能し、先行車がいれば確実に追従してくれる。加速や減速もドライバーのコントロールと変わらない自然なものだった。
また、試乗したコンパスのリミテッドは2.4リッターエンジンに9速ATが組み合わせられている。そのため、高速道路などの低負荷での走行シーンではエンジン回転数が抑えられているため、燃費性能にも優れていることに加えて静粛性も確保できている。長距離を走るときには室内の静粛性が保たれることで、ドライバーや同乗者の疲労も軽減できる。このように、ジープブランドならではの走破性と上質感が組み合わせられたのがコンパスの特徴ともいえる。
そうこうしている間に、最終目的地となる新千歳空港に戻ってきた。新千歳空港から旭川を往復した今回の行程では、合わせて520kmを走行した。試乗したアルファ ロメオ ジュリアとジープ コンパスは、どちらもブランドが体現しようとする運転の楽しさや安心感を、異なるシーンで生み出していて、FCA ジャパンの守備範囲の広さを改めて感じた瞬間だった。
提供:FCA ジャパン株式会社
撮影協力:
北海道美瑛町
http://town.biei.hokkaido.jp/
一般社団法人 美瑛町観光協会
https://www.biei-hokkaido.jp/ja/
道路使用許可:旭川東警察署 第5162号