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ビーウィズの静けさの“質”を追求する「調音施工」、新純正交換型スピーカーキット「プラチナボイス」でMINIの車内空間はどう変わる?

ビーウィズ独自の走行音静粛化プログラム「調音施工」と、純正交換型プレミアムスピーカーキットでMINIクロスオーバーの車内空間がどう変わるか、試してみた

調音施工とともに音響をレベルアップ

 乗れば乗るほどに愛着が湧いてきて、もはや手放すことが想像つかないほどになじんでいる、愛車の「MINIクロスオーバー」。以前はあまりデコラティブなインテリアが好きではなかったのに、MINIのインテリアはスイッチ1つとっても理にかなっていて使いやすく、ビンテージ感があるところも気に入っている。初めて娘が酔ってしまったほどのドタバタとした乗り心地も、ランフラットタイヤをやめたら多少は落ち着きが出てきて、ようやく娘も納得してくれた。

 ところが今でも、できればなんとかしたい、と思っているのがディーゼルエンジンのうるさい音と、そっけなく響くオーディオの音。とくにトンネルの中や高速道路を走っているときは、ゴーゴーと遠慮なく入ってくるエンジン音と、低音も高音もバラバラなオーディオの音が混ざり合い、とんでもないノイズになっている。きっと、知らず知らずのうちに疲労感の原因にもなっているのではないだろうか。

 そんな悩みを持っていたときに知ったのが、ハイエンドカーオーディオの専門メーカーとして定評のあるビーウィズが提供している、「調音施工」というプログラム。クルマという特殊な環境下での音を知り尽くしたプロだからこそ、的確に施すことができる「ロードノイズ」と「エンジンルームからの透過音」に絞った、独自の走行音静粛化プログラムとなっている。音を完全に消すのではなく、人の感覚に働きかける静けさの“質”を追求することで、耳に心地よい音が届く空間を作り出すというイメージだろうか。

 そして、調音施工をしたうえで純正スピーカーとサヨナラし、純正交換型プレミアムスピーカーキット「BEWITH Platinum Voice for MINI」を迎え入れ、オーディオの音そのもののレベルアップを図るというのがおすすめらしい。確かにそれはかなり魅力的だが、愛車を何日も預けなければならないのは困る……と思っていたら、両方の施工をしても日帰りでOKとのこと! それならばと飛びついた。

「調音施工」プログラムで用いるADVANS調音シート。設計厚9mmのAD-8CS(超静音特厚タイプ)と、設計厚7mmのAD-6CS(静音型厚口タイプ)の2モデルを用意し、施工する車種や施工箇所に応じて2種類の厚みのシートを使い分けることで、より高い施工効果をより多くの車種に提供可能とした
「BEWITH Platinum Voice」で販売する純正交換型スピーカーは、これまで主にアフターマーケット向け商品として販売してきた「(旧)BE-FIT AM」と、プジョー/シトロエン向けディーラーオプションとして展開してきた「(旧)BEWITH Platinum Voice」といった2系列のシリーズを1つに統合し、7月11日に発売。新製品ではメルセデス・ベンツ専用モデル6機種、BMW専用モデル4機種、MINI専用モデル2機種、プジョー/シトロエン専用モデル6機種の計18機種用をラインアップ

調音施工は多様なノイズに一度で最大限の効果を発揮

 伺ったのは、千葉県の木更津プレミアムアウトレットの目の前にある「フォーカル プラグ&プレイ本店」。愛車を預けて、アウトレットでのんびりと買い物や食事を楽しんでいる間に作業が完了するのがいいところでもある。今回は軽くカウンセリングを受けたあと、さっそく調音施工の作業がスタート。私はその様子を見守らせてもらうことにした。

 まず取りかかったのは、タイヤを外してホイールハウス内側についているインナーフェンダーを外すこと。見れば、バラバラと小石や泥などがフロアに落ちている。普段は洗車時にもなかなか掃除が行き届かないところだけに、けっこう汚れているのだなと驚いた。それを洗浄してきれいにしてから、スタッフの方が慣れた手つきでADVANS調音シートを貼り付けていく。

 このADVANS調音シートはBEWITHが調音施工のために専用設計した制振・遮音シートで、半連続気泡構造の吸音層をベースとして、厚手のアルミ遮音層と超強粘着仕様の制振層の3層を一体化したもの。柔らかさと耐久性を両立し、多様なノイズに一度で最大限の効果を発揮できるように作られている。ホイールハウス周辺では、反響音や振動音が出やすいところとそうでないところがあるというが、BEWITHでは車種ごとにそのノウハウを持っているというのがさすがだ。

 厚みの異なる2種類のシートがあり、幅広い車種に対応しているが、すべての車種に施工できるわけではなく、インナーフェンダーがない車種や全体を覆っていない車種などは本来の効果が得にくくなってしまう。公式サイトでは調音施工の効果が十分に得られることを確認した車種がリスト化されているので、対応車種かどうかはチェックしたいところだ。

まずはホイールハウス内側にあるインナーフェンダーを外し、糊がしっかりと着くように洗浄。この洗浄とともにインナーフェンダーを外した際、フロアに小石や泥などが落ちていることが確認でき(写真右)、普段の洗車ではなかなか手が届かない箇所がきれいになるというのもうれしいポイントの1つ
音が侵入しないよう、すき間なくADVANS調音シートを車体側とインナーフェンダーに貼り付けていく

 そして、このホイールハウス周辺への施工がロードノイズ低減に効果的な「基本プログラム」となっており、エンジンルームからの透過音、BEV(バッテリ電気自動車)ならではのラゲッジルームからの透過音に効果的な「オプションプログラム」も選択可能。バランスの取れた調音を求める場合にはどちらも施工するのがおすすめだが、エンジン音を聞きたい場合にはエンジンルームには手を入れず、マフラーの音を聞きたい場合にはエンジンの音を抑えてあげるなど、好みに応じて最適な調音施工をしてくれるのがうれしい。

 今回はディーゼルのエンジン音を少しでも抑えたいので、エンジンルームにも施工してもらうことにした。こちらは空洞になっているところがノイズを伝えやすいため、効果を得やすいポイントを見極めてADVANS調音シートを貼っていく。とはいえ、エンジンルームは高温になることが多く、やりすぎると熱ダレする可能性があるため、ここでもノウハウが必要だ。

MINIクロスオーバーのディーゼルエンジン音を少しでも抑えたいということで、バルクヘッド側にもADVANS調音シートを施工

見た目にも美しいプラチナボイススピーカー

 こうして調音施工が完了し、続いてオーディオの作業に入る。7月に新シリーズとして登場した「BEWITH Platinum Voice for MINI」は2タイプがラインアップされていて、どちらも左右のフロント2ウェイスピーカーを交換する4スピーカー構成。リアスピーカーは純正を使用することでコストを抑えながら、引き締まったハイスピードな中低音と、高解像度で存在感のある高音が魅力の「Pt.F56/4」と、量感のある中低音とナチュラルな高音が特徴の「Pt.F56e/4」がある。今回はリーズナブルな価格帯でも、純正スピーカーからの第一歩として効果を実感しやすいという「Pt.F56e/4」をチョイス。加えて、オプションとしてサブウーファーをBMW/MINI兼用となる「PLUG&PLAY BMWSUB/01」に交換してもらうことにした。

 左右のドアインナーパネルを外すと、純正のスピーカーが顔を出す。取り外したものをBEWITH製と比べてみると、やはり見た目からしてチープ感があるのは否めない。極薄のシルク系新素材を使ったルーセントシルク・ドームトゥイーターに、AM(アルミ-マグネシウム)コーンと大型フェライトマグネットによるウーファーとを組み合わせた「Pt.F56e/4」は、手で持ってみてもズシリとした重厚感があるほか、隠れてしまうのがもったいないほどにデザイン性も高く、まさに機能美と呼ぶにふさわしいたたずまい。また、愛車にはMINIのメーカーオプションとなるharman/kardonでついてくるフロント用トゥイーターがなかったので、今回新規でトゥイーターを追加するのだが、それには2つの方法がある。

写真左が純正のフロントスピーカー、右がBEWITH Platinum Voice for MINI(Pt.F56e/4)のフロントスピーカー
写真左が純正サブウーファー、右がオプションのサブウーファー「PLUG&PLAY BMWSUB/01」

 1つは純正部品のhaeman/kardon用トゥイーター取り付けパネルを使って、埋め込み装着をする方法。これなら内装の雰囲気を変えることなくスッキリと取り付けることができる。ただしパネルは自身で用意して持ち込むことが必要だ。

 もう1つは、BEWITH Platinum Voiceに付属するマウントブラケットを使い、ダッシュボードやAピラーの付け根などに装着する方法。今まで何もなかったところにトゥイーターがぽこっと存在することになるが、私はむしろその方が「変えた感」があっていいかなと思い、こちらを選択した。結果は大満足。スタッフの方がとてもきれいに加工して取り付けてくれて、まるで元からそこにあったかのような仕上がりだ。

純正スピーカー(左)からBEWITH Platinum Voiceのスピーカー&トゥイーター(右)に
トゥイーターはBEWITH Platinum Voiceに付属するマウントブラケットを使い、Aピラーの付け根に装着。スピーカーを含め、純正の見た目を大きく変えたくない、でもちゃんとした音を聞きたい人におすすめしたい仕様

 そしてオプションでお願いしたサブウーファーは、なんと前席の床下にあるということで手際よくシートを取り外していく。PLUG&PLAY BMWSUB/01は、初めてネオジムマグネットを採用したメーカーであるBEWITHらしく、強力な磁気回路の効果を予感させる高性能なプレミアム感に満ちたデザイン。こちらも床下に隠してしまうのが惜しいほどだが、あっという間に装着されてシートが元に戻っていた。これで晴れてすべての作業が完了だ。

サブウーファーは前席の床下に。一度インストールしてしまうとかっこいいビジュアルをなかなか見ることができないというのが唯一の難点?

一気に心地いい空間に

 いよいよ試乗して違いを確認するのだが、まずはオーディオはOFFにしたまま、純粋に調音施工の効果のほどを体感してみた。エンジンスタートスイッチを押すと、大きくブルルンッと響いてくる……はずの音と振動が「えっ? こない!」。明らかに音も振動も小さくなっていることに驚き、思わず「いつの間にガソリンエンジンに載せ替えたんですか?」などと口走っていた。もちろんそんなことはしておらず、これがエンジンルームが遠くなったように感じる調音施工の実力だ。

 走り始めると、アクセルを踏み込むにつれて大きくなるはずの音も断然弱まっており、耳に不快な周波数が届かなくなったことを如実に感じる。しかも、路面の段差を乗り越えたときの振動まで抑えられている気がするのにも感心した。音が一点から入ってくるのではなく、室内全体をやさしく満たすように入ってくる感覚で、一気に心地いい空間となったのがとてもうれしい。

調音施工で生まれ変わったMINIクロスオーバー。耳に不快な周波数が届かなくなったことを実感できた

 そしてついに、オーディオをONにするときがきた。スマホをつないで音楽をかけてみると、すごい! 音の1つひとつがまるで生きているようにピチピチしている。それでいて刺激的な音の届きかたがなくなり、耳をなでていくように滑らか。低音は厚みが増し、高音はとても伸びやかで気持ちいい。愛車の中で何度も聞いていた曲なのに、「ここでこんな音がしていたんだ!」と新しい発見があるほど、今まで隠れていた音までしっかりと存在感を表すようになり、別のバージョンを聞いている感覚にさえなったほど。今までは、フロントまわりだけで音が鳴っているように感じていたのが、室内全体に行き届いて一体感が出ていることにもテンションが上がった。

 スタンダードタイプでもここまで違いがはっきりとしているとは、正直なところ期待以上だ。今までは愛車の中で音楽を堪能するという雰囲気ではなかったが、ここまでいい音になると、あれも聞きたいこれも聞きたいと欲張りになっている自分に気づいた。ドライブの楽しみ倍増で、本当にお願いしてよかったと実感したのだった。作業も丁寧で手際がよく、車種ごとのノウハウを熟知しているので、安心して愛車を任せられるのも今回感心したポイント。私のようにMINIの音に不満があるなら、今すぐにでもBEWITHデビューしてみてほしいと全力で推したい。

調音施工で車内に侵入してくる不快な音をカットし、そのうえで音響のバージョンアップをすることで格段に上質な車内空間を作り上げることができた。思わず笑みがこぼれてしまうこの仕様、ぜひ皆さんも体験してみてほしい

Photo:安田 剛