東京オートサロン 2017

【東京オートサロン 2017】ダンロップ、SHINOBIテクノロジー&サイレントコアで静粛性や乗り心地を高めた新低燃費タイヤ「LE MANS V(ル・マン ファイブ)」発表会

「格段に向上した快適性能を実感いただける仕上がり」と西専務執行役員

2017年1月13日~15日 開催

東京オートサロン 2017の会場で発表された低燃費タイヤ「LE MANS V(ル・マン ファイブ)」

 ダンロップ(住友ゴム工業)は1月13日、幕張メッセで開催されている「東京オートサロン 2017」でプレスカンファレンスを実施し、新開発の振動低減技術を採用した低燃費タイヤ「LE MANS V(ル・マン ファイブ)」を発表した。トレッドやサイドウォールの形状を最適化し、タイヤ内部に特殊なスポンジを配置することで走行時の乗り心地と静粛性を高めるとともに、耐偏摩耗性能を27%向上させた。価格はオープンプライスで、2月から順次発売する。

さらなる乗り心地のよさと静粛性を達成した6年ぶりの新モデル

 プレスカンファレンスで登壇した同社 執行役員の増田氏は、ユーザーが乗用車用夏タイヤに求めるニーズとして「長持ち」と「低燃費」を求める人が大部分であることと、長持ち、低燃費といった経済性を“当たり前性能”として、すべての低燃費タイヤに標準装備していることをアピール。それに加え「乗り心地」「静粛性」についても非常に高いニーズがあることから、「さらなる付加価値として、乗り心地、静粛性といった“快適性能”を誰もが実感できるレベルに向上させるために、新しい技術を駆使して開発した」(増田氏)のが、今回の15代目となるLE MANS Vだと述べた。

 LE MANS Vは、2011年に発売したLE MANS 4以来、6年ぶりとなる後継モデル。タイヤゴムの内部構造を解析し、低燃費と高いウェットグリップおよび耐摩耗性能を実現する「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を採用するとともに、新開発の振動吸収技術「SHINOBIテクノロジー」と、2世代前のLM703(2006年発売)から搭載しているノイズ低減記述「サイレントコア」によって、乗り心地と静粛性を高めた。

住友ゴム工業株式会社 執行役員 タイヤ国内リプレイス営業本部長 増田栄一氏
歴代のル・マンシリーズ。LM703からサイレントコアは搭載されていた
同社の調査によると、長持ちと低燃費だけでなく、乗り心地や静粛性についてもユーザーニーズは大きい

 SHINOBIテクノロジーでは、サイドウォールのクッション効果を大きく取り、凹凸や段差など路面からの衝撃を吸収するプロファイルとした。トレッド面における左右方向のブロック数を増加させて路面からの衝撃を分散し、さらに接地形状を丸くしてトレッド面中央部から徐々に全体が接地していくような構造とすることで、振動をより一層低減した。

 タイヤ内部に貼り付けられた特殊吸音スポンジによる「サイレントコア」は、大きな空洞になっているタイヤ内部での空気振動を吸収し、それによって発生していたノイズの低減に効果を発揮する。スポンジは、高温かつ強い遠心力にさらされるタイヤの特性を踏まえた素材、形状としており、路面のギャップ乗り越え時の内部圧力変動が従来と比べ低減されていることもシミュレーションで示された。

SHINOBIテクノロジーでは、主にサイドウォール(プロファイル)とトレッドに工夫が施されている
サイドウォールをバネで表すと、LE MANS Vではより高さのあるバネになった
接地形状を丸くすることで全体が一度に接地することがなくなり、ノイズを低減
トレッドパターンも見直し、衝撃を分散・吸収するよう設計した

 以上の変更により、LE MANS 4と比較して突起乗り越え時の上下軸力が10%低減したほか、ロードノイズは36.9%、パターンノイズは32.4%それぞれ低下。左右非対称のトレッドパターンとして外側のブロックでより剛性を高めたことで、耐偏摩耗性能も27%向上させた。サイズ違いなどでラインアップする61モデルのうち、すべてでタイヤラベリング制度の転がり抵抗性能は「AA」を達成。うち51サイズのウェットグリップ性能が「b」、10サイズが同「c」となっている。

サイレントコア搭載タイヤはすでに販売数1000万本に達する勢い
サイレントコアによって内部の空気の圧力変化が抑えられている
サイレントコアでは主に250Hz付近のノイズが明確に抑えられる
新技術の解説に立った住友ゴム工業株式会社 代表取締役 専務執行役員 西実氏。「“実感できる快適性能をあなたに”というコンセプトのとおり、格段に向上した快適性能を実感いただける仕上がりになった」と胸を張った
ブースに展示されていたLE MANS V
サイドウォールには「SILENT CORE」の表記も
サイレントコアの特殊吸音スポンジが間近で見られるカットモデルが展示
スポンジ自体も触れるようになっていた
空気振動の低減効果を体感するデモ
サイレントコア搭載タイヤと非搭載タイヤのそれぞれ内部にスピーカーを置き、音楽再生。タイヤの輪に頭を入れてみると、サイレントコア搭載タイヤの響きの少なさを実感できる

日沼諭史

日沼諭史 1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。2009年から参戦したオートバイジムカーナでは2年目にA級昇格し、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオンを獲得。所有車両はマツダCX-3とスズキ隼。