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ホンダ、自然吸気エンジンに「VTEC」を軽初採用して燃費を27.0km/Lまで高めた新型「N-BOX」
「鏡面バルブ」を世界初採用。N-BOX カスタムは“流れるウインカー”を軽初搭載
2017年8月31日 11:30
- 2017年9月1日 発売
- N-BOX:138万5640円~188万280円
- N-BOX カスタム:169万8840円~208万80円
本田技研工業は、軽トールワゴン「N-BOX」をフルモデルチェンジして9月1日に発売する。価格はN-BOXが138万5640円~188万280円、N-BOX カスタムが169万8840円~208万80円。
N-BOX
タイプ | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|
G・Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,385,640円 |
4WD | 1,516,320円 | |||
G・L Honda SENSING | 2WD(FF) | 1,499,040円 | ||
4WD | 1,629,720円 | |||
G・L ターボ Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | CVT(7スピードモード付き)+パドルシフト | 2WD(FF) | 1,695,600円 |
4WD | 1,826,280円 | |||
G・EX Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,596,240円 |
4WD | 1,726,920円 | |||
G・EX ターボ Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | CVT(7スピードモード付き)+パドルシフト | 2WD(FF) | 1,749,600円 |
4WD | 1,880,280円 |
N-BOX カスタム
タイプ | エンジン | トランスミッション | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|
G・L Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,698,840円 |
4WD | 1,829,520円 | |||
G・L ターボ Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | CVT(7スピードモード付き)+パドルシフト | 2WD(FF) | 1,895,400円 |
4WD | 2,026,080円 | |||
G・EX Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,752,840円 |
4WD | 1,883,520円 | |||
G・EX ターボ Honda SENSING | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | CVT(7スピードモード付き)+パドルシフト | 2WD(FF) | 1,949,400円 |
4WD | 2,080,080円 |
N-BOXは、2011年12月に初代モデルが発売されたホンダの軽乗用車「Nシリーズ」の第1弾。シリーズの車名に共通して使われるNは、「NEW」「NEXT」「NIPPON」「NORIMONO」のそれぞれの頭文字であるほか、このNシリーズが1966年にホンダ初の量産軽乗用車として発表された「N360」にルーツを持つことを表現している。
ホンダの軽乗用車事業全体の刷新を期して発売された初代N-BOX(発売当時の車名はN BOX)は、2012年7月に「N-BOX+」、2014年12月に「N-BOX スラッシュ」といったシリーズモデルの展開を受けつつ、2012年度、2013年度、2015年度、2016年度の軽自動車車名別販売台数ランキングで年間トップを獲得。発売からこの4月までにシリーズ累計107万台以上を販売する大ヒット車種となっている。
初のモデルチェンジによって2代目となる新しいN-BOXは、5月25日にオープンした「新型N-BOX先行情報サイト」を通じ、内外装のデザインや先進安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を全グレードで標準装備すること、ホンダ車として初めて「後方誤発進抑制機能」を搭載し、助手席が前後に570mmスライドする新開発の「助手席スーパースライドシート」をラインアップするといった情報がすでに公開されている。また、2代目の開発では「日本の家族のしあわせのために」をグランドコンセプトに採用。初代N-BOXでユーザーのメインとなっていた“子育てママ”の多忙な日々をしっかりサポートできるよう開発に取り組んだという。
外観デザインは、N-BOXは初代モデルのイメージを継承しながら「N-BOXらしさ」「洗練・上質」をキーワードにブラッシュアップ。シンプルでクリーンな面構成で親しみやすさや品格を感じさせつつ、要所にエッジを効かせたセクション(仕切り部)を設定して軽快さや存在感をアピールしている。
N-BOX カスタムは「セレブリティ・スタイル」をテーマにフロントマスクを一新。アッパーグリルのメッキバーをヘッドライト内部まで連続させ、ヘッドライト外周に「3Dイルミネーションポジションランプ」を設定してワイド感を強調。また、軽乗用車で初めての装備である「シーケンシャルターンシグナルランプ」はホンダ車として初採用となった。
このほかに外装では、ボンネットやドアパネル、フロントフェンダー、リアハッチなどにサビに強い亜鉛メッキ鋼板を採用。ルーフサイドの溶接では樹脂製ルーフモールの装着が不要となるレーザーブレーズ溶接をホンダの軽乗用車として初めて用いて上質感を際立たせている。
ボディカラーは、N-BOXに“透明感のあるブルーからオパールゴールドがやさしく浮かび上がる”という「モーニングミストブルー・メタリック」、N-BOX カスタムに“高級感が漂うダークブロンズから、ルージュブロンズやグリーンブロンズに絶妙に変化する”という「プレミアムグラマラスブロンズ・パール」をそれぞれ新色として設定。全体でN-BOXにモノトーン10色、2トーンカラー4色の14種類を設定。N-BOX カスタムにモノトーン7色、2トーンカラー5色の12種類を設定する。
N-BOXシリーズは初代モデルから車内空間の広さが高く評価されていたが、2代目の開発でもエンジンルームのさらなるコンパクト化やリアハッチの薄型化などを追求。
フロントシートとリアシートの乗員間距離であるタンデムディスタンスが25mm増え、リアシートを最も下げたときの荷室前後長も25mm拡大。リアシートを前倒しにした場合の荷室高も25~55mm拡大したほか、テールゲート開口部の地上高を75mm引き下げ。ラゲッジスペース容量を拡大したほか荷物の載せ降ろしを容易にしている。
シート仕様は初代モデルと同じ「ベンチシート仕様」に加え、グレード名に“EX”が入るモデルではセパレートシートを備え、助手席が前後に570mmロングスライドする「スーパースライドシート仕様」を設定。このスライドを実現する長いレールをフロアに設置するため、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」の燃料タンクを改良。助手席下になるタンク左側を70mm薄型化したほか、4WD車ではプロペラシャフトを回避する「鞍型燃料タンク」を採用。さらに車両前方に備えるエアコンユニットも新設計し、車両中央部分に集中配置できるようにして助手席のレッグスペースを拡大した。
また、フロントシートを分割してセンターウォークスルーができるようになり、これまではリアシートに固定したチャイルドシートに子供を座らせたあと、1回車外に出て運転席や助手席に移動するシーンも出ていたが、スーパースライドシート仕様ではそのままフロントシートに移動して走り出せるようになったこともメリットになっているという。
このほか、後方に傾斜したラゲッジフロアと格納式のアルミスロープ(オプション)を持つ派生モデルのN-BOX+シリーズは2代目N-BOXの発売に伴いベースモデルに統合。スロープの展開方法などを大幅に簡略化した「スロープ仕様」として2018年春に追加予定となっている。
インテリアは、N-BOXでは「HAPPY&MODERN」をキーワードに、明るめの内装色を使ったくつろぎの空間を表現。N-BOX カスタムでは外観デザインと同じ「セレブリティ・スタイル」をテーマに、ブラックを内装色の基調としつつ、助手席前方やドアトリム、ステアリングなどの加飾に光の当たり方によって色味を変化させるブロンズパネルを設置。精悍さのなかに妖艶さを内在させる大人の世界観を演出している。
このほかに内装では、横方向に広がるメーターパネルをステアリングの上側から見るスタイルの「アウトホイールメーター」を導入。メーター左側には4.2インチ大型カラー液晶を使うマルチインフォメーション・ディスプレイを全車標準装備する。運転席の前方にあるAピラーは初代モデルから約27mm細くして視界を広げる「極細フロントピラー」を採用。部材に1180MPa級の超高張力鋼板を使い、形状や組み付け方法などを最適化して、初代の82mmから新型では55mmにシェイプアップしている。
自然吸気エンジンに「VTEC」採用。燃費の最高値は27.0km/Lに向上
エンジンは骨格部分からの再設計を実施して、従来の「S07A」型から「S07B」型に進化。これまでと同じく自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類を用意し、自然吸気エンジンには「VTEC」、ターボエンジンには「電動ウェイストゲート」をそれぞれ軽乗用車で初めて採用したことが大きなトピックとなる。
これにより、自然吸気エンジンでは従来から採用している「VTC」と組み合わせて吸排気の効率を大きく高め、低速から高速まで軽快な加速性能を発揮しつつ燃費性能も向上させている。また、ターボエンジンではエンジンからの排出ガスの一部がターボタービンに流入しないよう迂回させるウェイストゲートを電動アクチュエーターで制御し、ターボによる過給圧を適切に調整してエンジンレスポンスを向上させ、低燃費化にも貢献する。
また、エンジンのボア×ストロークを従来の64.0×68.2mmから60.0×77.6mmに変更。ボアの小径化で燃焼室の表面積が縮小され、冷却損失が抑えられることに加え、点火プラグと燃焼室末端の距離が近くなって耐ノッキング性能が向上する。さらにピストンを高速化してシリンダー内部のタンブル流(縦渦)が強まり、急速燃焼が実現されるという。
このほか、吸排気ポートの形状に合わせた独自形状の燃焼室を新開発。タンブル流をスムーズ化したほか、ピストンヘッドに半球状の凹みを設定し、タンブル流をキープしながら混合気を点火プラグ近くに集中。安定した急速燃焼を実現している。吸排気のバルブには傘裏面を鏡のように平滑化した「鏡面バルブ」を世界初採用。燃焼室内に取り込んだフレッシュエアが高熱化したバルブと接触する面積を減らし、フレッシュエアが温まりにくいようにして耐ノッキング性能を向上させ、レギュラーガソリン仕様でありながら、自然吸気エンジンでは12.0の高圧縮比を手に入れた。
全車で利用するトルクコンバーター付CVTでは、新たに「2系統吐出オイルポンプシステム」を導入。これまでのCVTではプーリー系で使う高い油圧と潤滑系で使う低い油圧を1つのオイルポンプで供給しており、走行状況によっては必要以上にオイルを供給するロスが発生していた。これを高油圧向けのメインローター、低油圧向けのサブローターに分離することで、走行状況に応じた油圧が最適に供給できるようになり仕事量の軽減を図り、燃費向上を実現している。
また、金属ベルトを挟むプーリーをφ150mmからφ160mmに大径化して受圧面積を拡大。より低い油圧でプーリーが作動できるようにしたほか、プーリーの表面性状の改良、摩擦係数の高いCVTオイルの採用などによってオイルポンプの仕事量が約33%低減されている。
このほかにも車両重量の軽量化などが行なわれ、JC08モード燃費は2WD車で25.0km/L~27.0km/L(初代モデルは22.0km/L~25.6km/L)、4WD車で23.0km/L~25.4km/L(初代モデルは20.8km/L~23.6km/L)に向上している。
外観デザインは初代モデルのイメージを踏襲しているN-BOXだが、プラットフォームは約9割の構成部品で見直しを行なって一新。高張力鋼板の積極的な導入によって780MPa級以上の高張力鋼板の使用率を従来の約15%から約47%に高め、従来は使っていなかった1180MPa級の超高張力鋼板をサイドパネルなど全体の11.7%に使用。とくに凹凸が大きく加工が難しいセンターピラーのアウターパネルに1180MPa級の超高張力鋼板を使用するのはこれが初めてになるという。
また、フロア構造に衝突エネルギーを効率よく分散・吸収する「トラス構造フロントフレーム」を使い、車両前方側からの衝撃をフロアクロスメンバーやサイドシルフレームで受け止める。
前面衝突のエネルギーはエンジンの後退量を増やすことでも吸収し、さらにフロントドアにもエネルギーを伝えてキャビンの変形を抑制する「ドアロードパス構造」を特許技術として導入している。側面衝突時に対してはサイドフレームとフロアクロスメンバーの断面形状や強度の最適化に加え、衝突エネルギーを衝突していない側面のサイドフレームにも伝達して吸収。後方からの衝突エネルギーはビードを設けたリアフレームを安定的に圧壊させて吸収する方式としている。
このほか、ドア開口部にローラー状の電極を使って連続的に溶接する「シーム溶接」を軽乗用車で初採用。フロアクロスメンバーなどの骨格接合には高粘度接着剤を溶接と併用して剛性向上を図った。これらのほかにも内外装、電装部品、パワートレーンなどで軽量化を推し進め、全体で150kgの軽量化を達成。この状態からホンダ センシング関連や「前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグ」といった安全装備、「ナビ装着用スペシャルパッケージETC車載器」やキャビンの静粛性を高める防音材や遮音材の追加、走りを安定させるフロントスタビライザーなど、さまざまな装備を追加する商品力強化で70kg分が重量増となり、最終的に約80kgの軽量化を果たすことになっている。
サスペンション形式はフロントが全車マクファーソンストラット式、リアは2WD車がH型トーションビーム式、4WD車がド・ディオン式で初代から変更はないが、ダンパーに路面の荒れなどによる細かな上下動を効率よく吸収し、コーナーではボディのロールを適切にコントロールする高性能ダンパーを全車で採用。フロントサスペンションはダンパーロッドをφ18mmからφ20mmに太くして中空化を実施。ナックルやスタビライザーリンクもスチールからアルミに変更して軽量化を図り、ばね下重量を軽減してタイヤの路面追従性を向上させた。
また、2WD車のリアサスペンションでは、ボディ側で保持するコンプライアンスブッシュをφ58mmからφ65mmにサイズアップして振動の吸収を高めたほか、リアスタビライザーを標準装備。スタビライザーの追加でロール剛性を高めた一方でメインスプリングのバネレートを低下。安定感のある走行性能と快適な乗り心地を両立させている。
このほかブレーキを自動制御してドライバーのステアリング操作をアシストする「アジャイルハンドリングアシスト」を全車に標準装備。ステアリング操作の初期段階でイン側のフロントタイヤに軽くブレーキを効かせて旋回力を高めるほか、ステアリングを戻して直進状態にする際にはアウト側のフロントタイヤにブレーキを効かせて収束性を向上させる。また、ブレーキには軽乗用車で初めて「ハイドロリック・ブレーキ・ブースト」を全車標準装備。車両の状態とブレーキ操作をモニタリングしてドライバーが求める制動力を推定。必要に応じてVSAがブレーキ油圧を補ってドライバーの操作に忠実な制動力を発生する。
新たに全車で標準装備することになった先進安全運転支援システムのホンダ センシングでは、ホンダ車として初めて「後方誤発進抑制機能」を追加。また、7月に発売された新型「グレイス」でホンダ車初搭載となった「オートハイビーム」も採用し、「CMBS(衝突軽減ブレーキ)」「歩行者事故低減ステアリング」「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」など10種類の先進機能を備えている。
主要諸元(抜粋)
モデル | N BOX G Honda SENSING(FF) | N BOX カスタム G・EX ターボ Honda SENSING(4WD) |
---|---|---|
全長×全幅×全高[mm] | 3,395×1,475×1,790 | 3,395×1,475×1,815 |
ホイールベース[mm] | 2,520 | |
前/後トレッド[mm] | 1,305/1,305 | 1,295/1,295 |
重量[kg] | 890 | 1,020 |
エンジン | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 43(58)/7,300 | 47(64)/6,000 |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 65(6.6)/4,800 | 104(10.6)2,600 |
トランスミッション | CVT | CVT(7スピードモード付き)+パドルシフト |
JC08モード燃費[km/L] | 27.0 | 23.0 |
使用燃料 | 無鉛レギュラー | |
前/後サスペンション | マクファーソン式/車軸式 | マクファーソン式/ド・ディオン式 |
前/後ブレーキ | 油圧式ディスク/油圧式リーディング・トレーリング | 油圧式ベンチレーテッドディスク/油圧式リーディング・トレーリング |
タイヤ | 155/65 R14 75S | 165/55 R15 75V |