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ホンダ、“次世代ファミリーカーの新機軸”を目指した新型「N-BOX」発表会

「N-BOX以降の新型モデルでホンダ センシングを標準装備化」と寺谷執行役員

2017年8月31日 開催

8月31日に行なわれた新型「N-BOX」発表会のフォトセッション

 本田技研工業は8月31日、同日に発表し、9月1日から販売を開始する新型軽トールワゴン「N-BOX」の発表会を都内で開催した。

 初のモデルチェンジによって2代目となる新しいN-BOXは、2011年12月に初代モデルを発売。ラゲッジフロアを後方に向けて傾斜させて自転車などの載せ降ろしを便利にした「N-BOX+」、チョップトップスタイルによってアメリカンテイストを強調した「N-BOX スラッシュ」などの派生車種を生み出しつつ、2012年度、2013年度、2015年度、2016年度の4回に渡り「軽自動車車名別販売台数ランキング」の年間トップを獲得。発売からこの4月までにシリーズ累計107万台以上を販売する大ヒット車種となっている。

 2代目N-BOXでは初代と同じく、ボディタイプに標準のN-BOXと独自の内外装で存在感を高めたN-BOX カスタムの2種類を設定。価格はN-BOXが138万5640円~188万280円、N-BOX カスタムが169万8840円~208万80円となる。このほかのグレードラインアップや製品概要などについては、関連記事の「ホンダ、自然吸気エンジンに『VTEC』を軽初採用して燃費を27.0km/Lまで高めた新型『N-BOX』」「写真で見る ホンダ「N-BOX」(2017年フルモデルチェンジ)」などを参照していただきたい。

新型N-BOX
新しいN-BOXに新色として設定された「モーニングミストブルー・メタリック」
写真は「プレミアムイエロー・パールII×ホワイト」。新型N-BOXではモノトーン10色のほか、ルーフがホワイトやブラウンになる2トーンカラー4色を用意する
新しいN-BOX カスタムに新色として設定された「プレミアムグラマラスブロンズ・パール」
写真は「ブリリアントスポーティブルー・メタリック×ブラック」。新型N-BOX カスタムではモノトーン7色のほか、ルーフがブラック、シルバー、レッドになる2トーンカラー5色を用意する
新型N-BOXでは全車でフルLEDヘッドライトを標準装備。丸形ヘッドライトのN-BOX(左)はプロジェクタータイプ、水平基調のヘッドライトを採用するN-BOX カスタム(右)は9灯式のマルチリフレクタータイプを備える
N-BOXで標準装備する155/65 R14タイヤ+スチールホイール+フルホイールキャップ
N-BOX カスタムのターボエンジン搭載車で標準装備する165/55 R15タイヤ+15インチアルミホイール
直列3気筒DOHC 0.66リッターの自然吸気エンジンは最高出力43kW(58PS)/7300rpm、最大トルク65Nm(6.6kgm)/4800rpmを発生
直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジンは最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104Nm(10.6kgm)/2600rpmを発生
N-BOX カスタムでは“流れるウインカー”とも呼ばれる「シーケンシャルターンシグナルランプ」を軽乗用車として初採用した(5秒)

N-BOX以降に発売するすべての新型モデルでホンダ センシングを標準装備化

本田技研工業株式会社 執行役員 日本本部長 寺谷公良氏

 発表会では最初に、本田技研工業 執行役員 日本本部長の寺谷公良氏が登壇。寺谷氏は「“すべての人に、生活の可能性が広がる喜びを提供したい”。私たちホンダは、この思いを原点に新しいことにチャレンジし続けてきました。その思いはこれからも決して変わることなく、日本のみなさまによいものをお届けすることが私たちの使命だと考えております。本日発表させていただく新型N-BOXは、まさにこの思いを具現化した商品の1つであります」と語り、ホンダの基本姿勢を紹介。

 また、「6年前に『ニッポンに新しいのりものを提供したい』との思いから発売したN-BOXを皮切りに、Nシリーズがスタートしました。既存の軽自動車の枠を超えてあらゆるニーズにお応えすることで、ニッポンに新たな価値を提案してまいりました。おかげさまでN-BOXのシリーズは累計販売台数が112万台を突破し、大変多くのお客さまのご支持を頂戴しております。2代目となりますN-BOXでは『豊かな生活を実現するクルマとはなにか』という原点に立ち返り、とことん突き詰めてあらゆる領域で大幅に進化を遂げました」と述べて新しいN-BOXが持つ魅力を紹介した。

 このなかで寺谷氏は、新型N-BOXが「軽量化による軽快な走り」「多彩なシートアレンジによる使い勝手の向上」「先進安全運転支援システムのホンダ センシングをホンダの軽乗用車として初めて全車に標準装備」といった魅力を持つことを紹介。このホンダ センシングの標準装備化について寺谷氏は「このN-BOXより、今後発売するすべての新型モデルで標準装備化を進めてまいります」とコメントしている。

「日本で暮らす人の、豊かな生活のために。」が開発テーマ
「軽量化による軽快な走り」「多彩なシートアレンジによる使い勝手の向上」「ホンダ センシングの全車標準装備」が新型N-BOXのアピールポイント
発売からの6年弱でシリーズ累計で112万台以上を販売
発売日の時点で2万5000台を受注。これは歴代ホンダ車で2番目の記録になるという
株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター N-BOX開発責任者 白土清成氏

 商品解説は、新型N-BOXの開発責任者(LPL)を務めた本田技術研究所の白土清成氏が実施。

 新しいN-BOXからスタートする“Nシリーズの第2世代”では、初代モデルが提供した「ホンダらしいよいクルマ」という新しい価値からさらに1歩踏み込み、ユーザーに「よい暮らし」を提供したいと考え、シリーズコンセプトを「N for Life」と定義。このコンセプトに従い、「ユーティリティ」「快適」「安心」「スタイル」「ドライブ」の5ジャンルで価値を提供し、ユーザーの生活を豊かにすることを目指したという。

 また、N-BOXを購入しているメインユーザーはファミリー層であり、家族を幸せにするためには中心的存在となる“ママユーザー”の日々の生活を楽にして、喜ばれることが重要であると分析。このために家族の繋がりをより深め、安全をより確実にして、安心して運転できるクルマとしてN-BOXを開発。白土氏は“次世代ファミリーカーの新機軸”を目指したと述べ、実現に向けて採り入れた数々の技術について説明した。

開発に向けた市場調査で、メインユーザーの中心となる“ママユーザー”の生活をサポートすることが重要であると分析
グランドコンセプトは「日本の家族のしあわせのために」
「N for Life」が新しいシリーズコンセプト
初代でも採用した「フロントベンチシート仕様」に加え、助手席が前後に570mmスライドすつ「助手席スーパースライド仕様」をラインアップ。さらに2018年には介護などの利用を視野に入れた「スロープ仕様」を追加予定。白土氏は「来年の早い時期には上市したい」と語る
新型N-BOXの数値的パッケージ
助手席スーパースライド仕様を実現するため、センタータンクレイアウトの燃料タンクを新設計。助手席側を70mm薄型化し、エアコンユニットも形状を最適化した
助手席スーパースライド仕様は独自のシートアレンジが可能になる
エクステリアデザインの開発キーワード
全車フルLEDヘッドライトとLEDリアコンビネーションランプを採用
N-BOX内装デザインテーマは「HAPPY&MODERN」
N-BOX カスタムは「CELEBRITY Style」が内外装のデザインコンセプト
N-BOX カスタム専用の灯体デザインでシャープな雰囲気を演出
「こだわりを感じる 高質でタフなディープリッチ空間」を目指したインテリア
多彩なボディカラーラインアップもN-BOXの魅力
エンジンマウントの最適化で騒音の発生を低減し、さらにキャビンの遮音&防音システムを追求
2WD(FF)車ではリアスタビライザーを標準装備して安定感の高い走行性能を実現
「後方誤発進抑制機能」をホンダ車として初めて採用。ホンダ センシングを全車に標準装備する
軽自動車初となる「サブフレーム脱落構造」「フロントフレームトラス構造」などを採用し、パッシブセーフティ性能も磨き上げた
自然吸気エンジンに、ホンダの軽自動車として初めて「VTEC」を搭載
CVTに「2系統吐出オイルポンプシステム」を導入し、ロスを低減して燃費向上を図っている
加速性能を向上させてリニアリティを高めた
商品力を高めるため70kg分の装備が追加されたが、全体で150kgの軽量化が実施され、初代モデルから約80kg軽くなった
センターピラーのアウターパネルに1180MPa級の超高張力鋼板を使用するなど、高張力鋼板の使用率を従来の約15%から約47%に引き上げた
新型N-BOXで“次世代ファミリーカーの新機軸”を目指したと白土氏は解説
リアシートは左右分割で前後スライドやシートバックのリクライニング、前方側のダイブダウンなどが可能。リアハッチの薄型化などによって荷室容量が増加している
リアバンパーの左右に超音波センサーを新設。これにより、「後方誤発進抑制機能」で車両後方の障害物などが確認できるようになった
新型N-BOXのホワイトボディ。センターピラーで赤く塗装されている部分に1180MPa級の超高張力鋼板が使われている
N-BOX G・Honda SENSINGのインパネ
フロントベンチシート仕様のインテリア
助手席スーパースライド仕様の助手席を最大限まで前進させたシーン
本田技研工業株式会社 執行役員 日本本部営業企画部長 鈴木麻子氏

 また、新型N-BOXの宣伝・販売促進の領域で新たに始めた取り組みについて、本田技研工業 執行役員 日本本部営業企画部長の鈴木麻子氏から解説が行なわれた。

 鈴木氏は初代N-BOXで進めてきたプロモーションについて紹介し、この6年間でNシリーズが強力なブランドに成長したとアピール。これを受け、新型N-BOXからスタートする“新しいNシリーズ”では「Nのある豊かな生活」を提案するため、N for Lifeという新しいコミュニケーションフレーズを採用するという。TV-CMなど以外でも幅広く使用され、さらにN for Lifeを表現する日用品「Nグッズ」をホンダの公式サイトにあるオンラインショップで販売する。また、新型N-BOXの展示を中心にN for Lifeの世界観を表現する展示イベント「N for Life スペース」を9月1日から全国7都市で開催予定となっている。

「生活をちょっとよくする」がキーワードの「Nグッズ」。オーガニックな雰囲気のなかに使い勝手を兼ね備える「ボックス型トート」「ワークエプロン」「ベルト付きブランケット」などをラインアップする
新型N-BOXと同時デビューとなったハンディータイプ蓄電機「LiB-AID E500」。価格は7万9920円~8万6400円
株式会社本田技術研究所 パワープロダクツR&Dセンター LiB-AID E500開発責任者 中田泰弘氏

 このほかに発表会では、新型N-BOXと同じく8月31日発表、9月1日発売となるハンディータイプ蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」についての商品説明も実施された。

「N-BOXと同様に、ホンダが提供する豊かな生活を実現するもの」として紹介されたLiB-AID E500について、開発責任者(LPL)を務めた本田技術研究所の中田泰弘氏は、1965年にホンダ初のエンジン式発電機として発売した「E300」以降、「暮らしやレジャーのさまざまなシーンで『少しでも電気があれば』と考える人をサポートするため商品解説を続けてきました」と説明。もっと使いやすい形態を模索するなかで、発電機ではない蓄電機という選択肢が生まれたと語った。

 また、LiB-AID E500は2台を繋げて使ったり、エンジン式発電機と並列運転が可能となっていることからさらに大きな出力にも対応。「これにより、活用の場はさらに広がります。用途はさまざまで、ぜひお客さまご自身で用途を見つけ、暮らしを豊かにするサポーターとしてお使いいただけると嬉しいです」とコメントした。

ホンダの発電機の歴史は半世紀以上前から続いている
開発コンセプトは「いつでも」「どこでも」「気軽に」利用できること
ホンダの発電機で受け継がれる使いやすさの追求をLiB-AID E500でも実施
カラーラインアップは、2015年の東京モーターショー出展時に人気だった上位3色
本体にUPBポートと交流コンセントを各2口設定
独自開発の正弦波インバーターを搭載しており、PCなどの精密機械でも安心して利用できるという
同じLiB-AID E500同士やエンジン式発電機との並列運転も可能
エンジン式発電機とは異なり、屋内での使用も可能で用途が広いことが大きな特徴