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トヨタ、渋谷ヒカリエで14代目の新型「クラウン」発表会を開催
豊田社長は「クラウンはトヨタRe BORNを象徴するクルマ」と表現
(2012/12/26 00:33)
トヨタ自動車は、同社の代表的車種「クラウン(CROWN)」をフルモデルチェンジし、発売日の12月25日に渋谷ヒカリエ(東京京都渋谷区渋谷)で記者発表会を行った。
なお、新型クラウンの詳しいスペックや車両価格などは関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121225_580110.html)でご確認いただきたい。
縮小する日本市場を活性化させて日本のもの作りを守りたい
1955年に発売され、今回のモデルチェンジで14代目を数えるという日本を代表する車種だけに、発表会には有名人などのゲスト出演はなく、豊田章男社長や先々代モデルの開発主査を務めた加藤光久副社長、新型クラウンの開発メンバーなどが次々と登壇して解説を行うという、熱のこもった内容となった。
冒頭で挨拶した豊田社長は、クラウンが持つ長い歴史とその中で培われてきたチャレンジスピリットについて紹介。トヨタ初の主査として初代クラウンの開発を指揮した中村健也主査が、大口顧客であったタクシー業界から反対されながらも、当時の最新技術である前輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなどの採用に挑んだエピソードや、クラウンが北米市場に輸出されるトヨタ車第1号となったことでグローバリゼーションへの挑戦がスタートしたことなどを挙げ、「いいと思うことは周囲から反対されてもやる。常に世界に挑戦する気概を持ち、新しい技術にチャレンジする。そんな中村さんの信念は、クラウンスピリットとして今でもトヨタの開発担当者の心に生き続けています」と語った。
しかし、時が流れた現代では、6重苦と呼ばれる厳しい経営環境と若者のクルマ離れなどによって日本の自動車市場は縮小し、これからもクルマが憧れの存在であり続けるには、トヨタとクラウンが生まれ変わる必要があると解説。新時代に向けたクラウンでは、クルマの乗り替えに理由を見い出せないユーザーに、理屈ではなく欲しいと思わせるデザイン、1度乗ったらずっと運転していたいと思わせる走りといった魅力に徹底してこだわり開発したと説明。
最後に豊田社長は、「新型クラウンはライバルに勝つためではなく、日本市場の復活と日本のもの作り死守をかけて戦います。日本のクラウンここにあり! 第14代目として歴史に名を刻むにふさわしい、新しいクラウンが誕生しました」と、新型クラウンの発売に向けた意気込みを口にした。
具体的な技術解説では、トヨタデザイン部の藤吉正一氏から、大きく変貌を遂げたエクステリアデザインについて解説があった。
まず、「歴史を語れるクルマであるクラウンは、ブランドイメージが定着していてイメージチェンジが難しいクルマでもあります」としながら、新たな時代のクラウンにふさわしい個性、走りのよさを感じさせるスタイルといったテーマで開発に取り組んだと紹介。セダンプロポーションで基本ラインの構築にこだわり、さらにロイヤルとアスリートにそれぞれの個性を持たせるため、細部に加えて象徴的な顔作りに挑戦していると言う。また、「新型クラウンを見て、驚きや心地よい違和感を抱いてもらえたら、デザインとしては大成功」とデザインの狙いを表現した。
走行性能について解説を行ったのは、第1車両実験部の坂井生知氏。14代目クラウンを開発するにあたり、「これまでに受け継いできた基本骨格や電子プラットフォームを使う上で、ボディーやサスペンションなどの土台はしっかりさせないといけない。しかし、すべての部分で剛であればいい、硬ければいいというクルマで本当にいいのか? クラウンというクルマの味を出せるのか?」と考えたと言う。車両全体をカチカチに硬くしたクルマは乗り心地がわるいだけでなく、扱いやすさの面でもギクシャクして、人間の感性に合わなくなってしまう。
そこで、新型クラウンでは剛にするだけでは達成できない“いなしの概念”を新しいアイディアとして取り入れたと言う。この採用により、ときには外部からの力を受け止めながらソフトに逃がすシャシー性能を実現。乗り心地や操縦安定性など多岐にわたり、ドライバーから後部座席に座る人まで快適なクルマを実現したとアピールしている。