イベントレポート

トヨタ、バッテリEV「FT-Se」「FT-3e」世界初公開 佐藤恒治社長「クルマ屋の力で今までのクルマとはまったく違う景色が広がっていく」

一般公開日:2023年10月28日~11月5日

入場料:1500円~4000円

トヨタ自動車のブーステーマは「クルマの未来を変えていこう-Find Your Future」

 トヨタ自動車は10月25日、「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)において同社取締役社長 佐藤恒治氏によるプレスブリーフィングを実施した。本記事ではブリーフィング内容中心でお届けし、コンセプトカーを含めたクルマの詳細は別記事で紹介する予定となっている。

 佐藤氏はまず、モビリティには「人の数だけ多様な価値観、多様なニーズがあります」と述べるとともに、「未来は誰かに決められるものではなく、みんなで作っていくもの」と前置き。トヨタブースのコンセプトはそれにあわせ「Find Your Future」とし、「あなたの未来がきっとトヨタのクルマの中にあると思う」と述べた。

トヨタ自動車株式会社 取締役社長 佐藤恒治氏

 そして、その中から3つのモビリティで描く未来を紹介。まずは「バッテリEVと暮らす未来」で、その特長を「環境に優しいだけではなく、電気エネルギーならではの運転の楽しさも、走りの味もあって多様な体験価値も実現できる」と説明。そんな中で目指したのがクルマ屋らしいバッテリEV。それはクルマづくりの原理原則に立ち返って、航続距離などの基本性能はもちろん、バッテリEVでしかできない価値を実現していくことだ。

 例えば今までにない低重心と広い空間を両立するのであれば、基本コンポーネントを徹底的に小型化、軽量化し、それを最適なパッケージングにつなげていく「クルマ屋の力」が必要であり、それによりデザインも、走りも、すべてが大きく変わり、今までのクルマとはまったく違う景色が広がっていくとした。

 こうした技術により「スポーツカーからSUV、ピックアップ、スモールバンまで素性のよい、多様なラインアップを生み出すことができる」とし、まずそれを体現するのがレクサスブランドが2026年に市場導入を目指すコンセプトモデル「LF-ZC」であり、トヨタやGRのクルマも変わるとして、スポーツタイプのコンセプトモデル「FT-Se」、SUVタイプのコンセプトモデル「FT-3e」を紹介した。

スポーツタイプのコンセプトモデル「FT-Se」
SUVタイプのコンセプトモデル「FT-3e」
バッテリEVには新ソフトウェアプラットフォームとして「アリーン」を搭載。さまざまなアプリでクルマの価値を高めていくことが可能だという

 また、クルマで運びたいもの、やりたいことは人それぞれだが、「そのすべてに寄り添い、お応えしていきたい」「トヨタらしく良品廉価なクルマでソリューションを届けしたい」として、アジア向けのピックアップトラックタイプのコンセプトモデル「IMV 0(IMV ゼロ)」を紹介。このクルマはユーザーのニーズ次第で自由自在にカタチを変えていくとして、荷台をカスタマイズすることで「野菜の直売所」「コーヒーショップ」「バー」などになると説明した。

 そして「人と社会をつなぐモビリティ」として、「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」を紹介。カヨイバコは同社が生産現場で部品などを詰め込んで運搬する入れ物のことで、このクルマが社会インフラやサービス事業者と常につながることで、いつでも、どこでも、仕事や暮らしを便利に、楽しくしていく役割を担うことから名付けたとコメント。大きすぎず小さすぎず、その不思議なサイズ感でいろいろなシーンにフィットすることから、「車いすで乗り降りできる地域の足になったり、リモートワークの拠点になったり、移動型のお店になったり、もっともっと社会とあなたの暮らしをつないでいきます」「社会の中でモビリティの価値をみんなで育てていく。それがカヨイバコで目指している未来です」と述べた。

ピックアップトラックタイプのコンセプトモデル「IMV 0」
農作物販売車
木材運搬車にも
ビジネス利用のイメージ
プライベート利用のイメージ

 最後にこの3台のモビリティの共通点として、「未来のモビリティは私たちのライフスタイルに応じて、その価値を拡張していくこと」だと説明。「私たちトヨタの使命は、世界中のお客さまの暮らしにとことん寄り添って、多様なモビリティの選択肢をお届けし続けていくこと。それこそが、トヨタが目指すべきマルチパスウェイの未来だと考えています。改めて、未来はみんなで作っていくものだと思います。未来をもっとよくしたい。その意志と情熱をもってみんなで行動していけば、必ず景色は変わっていきます。笑顔あふれる未来の社会。その真ん中にはモビリティが居続けてほしい。その想いで多くの仲間とともに、もっともっと挑戦してまいります」と締めくくった。

安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。