イベントレポート 東京オートサロン 2020

ルノー、日本に計51台導入のニュル最速量産FF車「メガーヌ R.S. トロフィー R」タイムアタック車両を展示

47台先着順のトロフィー Rは689万円、4台抽選の‘カーボン・セラミックパック’は949万円

2020年1月10日~12日 開催

入場料:特別入場券3500円、大人一般入場券2500円、中・高校生一般入場券1800円(全日とも保護者同伴に限り小学生以下無料)

日本に計51台限定で導入される「メガーヌ R.S. トロフィー R」

 幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した「東京オートサロン 2020」(1月10日~12日)。ルノー・ジャポンは「メガーヌ R.S. トロフィー R」を発表。同時に販売方法についても公開した。

サーキットのラップタイム短縮が使命

 メガーヌ R.S. トロフィー Rは、「メガーヌ R.S. トロフィー」をベースにエンジンパワーに頼ることなく、サーキットのラップタイムを短縮することを目指し、徹底した軽量化とサスペンションをはじめとするシャシー性能の向上、そして空力性能の大幅な向上を果たしたモデルだ。

 同時に、より高いレベルのドライビングスキルを持つエキスパートドライバーに向けて、軽量カーボンホイールや強力な制動力を持つカーボン・セラミックフロントブレーキディスクといった専用装備を搭載した‘カーボン・セラミックパック’も同時に発売する。

 メガーヌ R.S. トロフィー Rは、世界で500台限定で生産され、そのうちの30台がカーボン・セラミックパック仕様だ。そのうち日本ではメガーヌ R.S. トロフィー Rが47台、メガーヌ R.S. トロフィー R ‘カーボン・セラミックパック’が4台販売される。

 価格はトロフィー Rが689万円で販売方法は購入申し込み受け付け順、‘カーボン・セラミックパック’が949万円で抽選となる。申し込み期間は1月10日11時~19日23時59分で、ルノー・ジャポンオフィシャルWebサイト内の専用申込ページ、およびルノー正規販売店で行なわれ、抽選結果は1月22日以降に購入申込者への連絡となる。

メガーヌ R.S. トロフィー R
トロフィーR専用シャシーの採用に加えて徹底的な軽量化を行ない、ベースモデルとなるメガーヌ R.S. トロフィー(MT車)に対して130kgもの重量を削減
19インチ鍛造アロイホイールやメガーヌ R.S. トロフィーR 専用デカールなどを装着
メガーヌ R.S. トロフィーR ‘カーボン・セラミックパック’で採用されるカーボンホイールも展示
インテリアはリアシートを省いていることが大きな特徴。サベルト製モノコックレーシングシート、トロフィーR専用アルカンターラステアリングなどを装着する
最高出力220kW(300PS)/6000rpm、最大トルク400Nm(40.8kgfm)/3200rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボエンジンを搭載。トランスミッションは6速MTのみの設定

すべてはラップタイム短縮のために

 このトロフィー Rの特徴は大きく3つ。1つは軽量化だ。そのためにリアシートを取り払うとともに、カーボンパーツを多用。ニュルブルクリンクでのラップタイム短縮のための軽量化に力を注いでいる。次にシャシーだ。メガーヌ R.S.トロフィーでは4輪操舵システム「4コントロール」を装備しているが、このクルマは軽量化のためにそのシステムを取り払った。そのシステムを外してまで軽量化を徹底的に追及しているのだ。さらに、6速AT(6速EDC)よりもユニットの重量が軽量であることから、6速MTのみを組み合わせた。それらに合わせてシャシーのセットアップもやり直している。最後は空力だ。大きなカーボンのディフューザーがリアに取り付けられており、フロア下の空気の流れも改善している。

 これらの結果、2019年4月5日、ニュルブルクリンクサーキットの量産FF車最速となる7分40秒100を記録し、鈴鹿サーキットでも2分25秒4を叩き出した。ちなみに、前モデルは2分28秒台であったという。東京オートサロン 2020のルノーブースに展示してある車両は、ニュルブルクリンクタイムアタック車両である。

乗りこなせるかとクルマが語りかけてくる

 このクルマは鈴鹿サーキットでもテストをして仕上げられたクルマで、その時にアドバイザーとして参加したレーシングドライバーの谷口信輝選手が発表会に登壇し、その印象を語った。

レーシングドライバーの谷口信輝選手

 まず、ルノー・スポールの印象について、「(メガーヌ R.S.を試乗したときに)めちゃくちゃいいクルマで、これを仕上げた責任者、あるいはテストドライバーは天才。乗っていて楽しいクルマだ」とその印象を述べ、谷口選手のいいクルマとは、「自分とクルマがリンクすること。自分の感覚とマッチして、自分が期待したとおりに反応するクルマがいいクルマで楽しいクルマ。パワーがなければ刺激がなく退屈なのでそれも必要」と定義。そしてこのトロフィー Rは「その期待の少し上をいくクルマ」とし、「このくらいで曲がるだろうというところで、もう少し無理をするとさらに反応してくれるので、このクルマの高いポテンシャルが秘められている」とコメント。「乗っていて高揚してくる」と述べた。

 また、4コントロールを取り払ったことについて、「このシステムを搭載したメガーヌ R.S.を筑波サーキットで試乗したときに、めちゃくちゃ曲がって最高に楽しかったが、タイムアタック専用車と言ってもいいトロフィー Rはそれを外し軽さを選んだ。その結果、リアの限界性能は多少ナーバスなところが表れた。誰でもこのクルマに乗れば速く走れるということではなく、腕の差が出るだろう」とその特徴を説明。そして「乗り手に“お前、乗りこなせるのか?”と語りかけてくるクルマはなかなかないと感心した」とその印象を語った。

内田俊一

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー 25 バカラと同じくルノー 10。

Photo:内田千鶴子