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ミシュラン、ソフトバンクと協業でタイヤの空気圧や車両位置などをクラウド管理する物流業界向け「TPMSクラウドサービス」説明会

トラブル発生時に運行管理者やレスキューネットワークにメール通知

2018年4月26日 開催

ミシュランとソフトバンク、TPMS(タイヤプレッシャーモニタリングシステム)を提供しているオレンジ・ジャパンの3社の技術でサービスを展開

 日本ミシュランタイヤは4月26日、ソフトバンクと協業して6月1日から提供を開始する物流業界向けの新しいタイヤ管理システム「ミシュランTPMSクラウドサービス」に関する説明会を都内で開催した。

 タイヤメーカーとしての実用化は日本初となるこの新サービスでは、オレンジ・ジャパンが製造・ソリューションシステム提供を行なっている既存のTPMS(タイヤプレッシャーモニタリングシステム)を使い、ゲートウェイの通信端末としてADLINKジャパンの「MXE 110i」を採用。MXE 110iに内蔵するソフトバンクのSIMで通信を行ない、車両のタイヤに設置されたTPMSで計測したタイヤの空気圧と内部温度、MXE 110iが持つGPSセンサーによる位置情報などをクラウドに送信。空気圧や内部温度に異常値が計測された場合はクラウドから車両の運行管理者やドライバーに加え、ミシュランがトラック・バス用タイヤのユーザー向けに提供している「ミシュランレスキューネットワーク」のコールセンター、車両のユーザーと付き合いのあるタイヤ販売店などにトラブル発生を知らせるメールが送信される仕組みとなっている。

 サービスの利用料金は利用する車両や契約条件などによって異なり、参考販売価格は月額通信費用が980円(税別)、車載通信端末(MXE 110i)+TPMS一式の月額リース料(2年リース)は9200円(税別)からとなっている。

日本ミシュランタイヤ株式会社 B2Bタイヤ事業部 執行役員 高橋敬明氏

 説明会では、最初に日本ミシュランタイヤ B2Bタイヤ事業部 執行役員の高橋敬明氏が登壇。高橋氏は日本の運送業界が抱えている問題について解説し、営業用トラックの輸送量(重量ベース)は横ばい状態で就労人数についても大きな増減は見られないものの、この10年で年齢構成の10代~20代の比率が低下。ドライバーの高齢化によって輸送効率が低下し、輸送業界では人手不足感が深刻化していると分析した。

 このような状況下で人材を確保するため、運送会社では「ドライバーが働き続けやすい環境」を整えるため、新規導入するトラックに衝突被害軽減装置や快適性を高めるエアサスペンションなどを装備した車両を選んだり、荷役作業軽減装置となる「ウイングボディ」「パワーゲート」「自動フロア」などを追加。荷主と交渉して過剰なサービスを避けたり、拘束時間を適正化するといった労働時間を管理するソフト面と合わせてドライバーが働きやすい環境作りに取り組んでいると紹介した。

日銀短観の「2017年 雇用人員指数」。「宿泊・飲食サービス」に次いで「運輸・郵便」の「人手不足感」を示す数値が高くなっている
重量ベースでの輸送業界の仕事量は横ばい
就労人数の総数も大きく増減していないが、若手ドライバーの割合が減少している
業界をリードするため、ベテランや女性といったドライバーが働き続けやすい環境作りが求められている

 しかし、このトレンドはトラックの重量増を生み、最大積載量が減少して輸送効率が低下することにつながる。この問題に対するソリューションとしてトラック・バス用ワイドシングルタイヤの「X One」を提案しており、ダブルタイヤを1本のシングルタイヤに置き換えて軽量化するにあたり、ユーザーに安心して利用してもらう施策の1つがTPMSになっているという。

 それまで通常のダブルタイヤを使っているユーザーにシングルタイヤのX Oneを提案すると、「2本のダブルタイヤなら1つがパンクしても走り続けられるが、1本にすると対処できないのが困る」と不安要素として指摘されることがあったが、その点について高橋氏は、X Oneはそもそも強靱なタイヤでトラブルが少なく、万が一の場合も即座に対応して営業運行にすぐ戻れればシングルタイヤのX Oneでも問題ないと強調。そこでこれまではタイヤの空気圧や内部温度がひと目で確認できるTPMSを車両に設置して各ドライバーが自分で手軽に管理できるようにしており、運行中にトラブルが発生した場合は全国に1000カ所以上の拠点があるミシュランレスキューネットワークで対応してきた。

 そして6月からはミシュランTPMSクラウドサービスをスタートして、ドライバーだけでなく運行管理者などもタイヤの状況をリアルタイムにチェックできるようになる。トラブル発生時にはGPS情報も入ったメールが自動配信されて即座に対応でき、トラックを安定して安全に運行できるようになるとアピールした。

エアサスや先進安全デバイスといった各種装備を多数導入すると、車両自体の重量が重くなって1回に運べる荷物が減り、輸送効率が低下する
ミシュランでは車両を軽量化するソリューションとして、1軸あたり約100kgの軽量化となるトラック・バス用ワイドシングルタイヤの「X One」の採用を提案
車両を軽量化するX Oneを安心して導入してもらうため、タイヤの空気圧や内部温度をリアルタイムに監視できるTPMSを以前から提案しており、6月スタートのミシュランTPMSクラウドサービスで安心感をさらに高められると高橋氏は語る

「従業員の方の労働環境を考えることもこれからの時流」と尾根山氏

日本ミシュランタイヤ株式会社 B2Bタイヤ事業部 マーケティング部 B2Bエンドユーザーマーケティングマネージャー 尾根山純一氏

 続いて日本ミシュランタイヤ B2Bタイヤ事業部 マーケティング部 B2Bエンドユーザーマーケティングマネージャーの尾根山純一氏がサービス概要について解説。最初に尾根山氏は「どのようにすればミシュランタイヤを使うユーザーが安全に走行できるか」を考えることが自身の命題となっており、タイヤで一番重要なのは、販売した後に空気圧をどのように管理するかであり、この点に着目した新しいサービスがミシュランTPMSクラウドサービスになると語った。

ミシュランTPMSクラウドサービスの構成図
ミシュランTPMSクラウドサービスの参考価格
ミシュランTPMSクラウドサービスの導入メリット

 ミシュランが提案するトラック・バス用ワイドシングルタイヤのX Oneをユーザーに安心して使ってもらうさらなるサービスとして展開されるミシュランTPMSクラウドサービスは、「シンプルな情報」「手ごろな通信費」「高い信頼性」の3点をポイントにしており、トラックの機械的な扱いに不慣れな新人や女性ドライバーにも安心して走ってもらえるようにするほか、万が一のトラブル発生時には運行管理者も状況をすぐに共有できるよう開発しているという。開発は2016年の春からスタートし、実際に車両を使ったテストは2016年夏から行なわれてきた。

 トラブル発生時の通知はメールで送られ、実際のトラブル状況の確認にはインターネットブラウザ(ミシュランではSafariを推奨)が利用される。これにより、インターネットに接続してブラウザを扱える端末なら、PCやスマートフォン、タブレットなどユーザーの都合に合わせてサービスを利用できる。通知のメールはトラックの運行管理者やドライバー、ミシュランレスキューネットワークのコールセンターに加え、希望した場合はユーザーと付き合いのあるミシュランのタイヤ販売店にメール配信することも可能。この情報共有によって新しいタイヤの用意やレスキュー車両の手配などが円滑に進められるようになる。

 また、これまではタイヤがタイヤがバーストするといった大きな変化が起きたときに他のタイヤのチェックが見落とされ、1回サービスを受けてタイヤを交換した後に、ほかのタイヤがバーストして2度手間になってしまうケースもあったというが、ミシュランTPMSクラウドサービスではセンサーを設置した全タイヤの状況を常に把握できるので、トラブルが起きたタイヤ以外に対しても予防的な対処ができることもメリットになるという。

サービスを開発した背景とコンセプト
2016年夏に行なった実車でのテストで空気圧と温度の情報を取得することに成功し、商業化に向けて本格的な活動がスタートした
通信するデータ量を抑え、ユーザーが使いやすいよう空気圧、温度、位置情報の3点にデータを集約
ミシュランTPMSクラウドサービスの構成パーツ
2017年夏からは運輸会社数社に協力してもらい、本番環境に向けたテストも行なった
サービスの利用イメージ。トラブル発生のアラート情報がクラウドに送られると、登録先にアラートメールを送信
SafariなどのブラウザでユーザーIDとパスワードを入力し、専用Webサイトにアクセスする
ミシュランTPMSクラウドサービスの基本画面。タイヤの空気圧と内部温度をグラフ表示
位置情報はGoogle マップで確認できる

 解説内では事前テストに参加した運送会社の経営者の感想などもビデオで紹介され、尾根山氏はこの中で「安心・安全」というキーワードが出てきたことに着目。「これまで運送会社では、荷物を時間どおりに確実に届けることにフォーカスしてきました。それ自体は現在も変わらない命題なのですが、従業員の方の労働環境を考えることもこれからの時流になるのかなと思います。そこでわれわれミシュランタイヤは、安全で非常に経済的なタイヤをご提供することに加えて、タイヤというのは空気圧が適正でなければ100%の性能を発揮できません。そのためにもTPMSクラウドサービスを使い、タイヤも長持ちしますし、運送会社さまが安全に運行できるようになります。そういったところをメッセージとしてお伝えしたいと思っております」とコメント。

 また、5月10日~12日に神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催される「ジャパントラックショー 2018」にブースを出展して、最新型のTPMSを装着したミシュランTPMSクラウドサービスのデモカーを展示するので、興味がある人は会場に足を運んでぜひ体験してほしいとアピールした。

TPMSで異常を検知した場合、メール配信に加えて車内の警告ランプも点灯
センサーで検知した異常の実例。黄色いラインの温度はほぼ一定だが、青い空気圧のラインが急激に0になっている
ミシュランTPMSクラウドサービスによってタイヤの状況を可視化すると、トラブルの発生前に対処できるようになる
ミシュランレスキューネットワークで2017年に発生したトラブルの金額別トップ10。トップは200万円以上の出費となっているほか、対応する間に荷物の輸送が遅れることで荷主の信頼を失うことも大きな損失になる
ミシュランTPMSクラウドサービスのターゲットユーザー
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で5月10日~12日に開催される「ジャパントラックショー 2018」にミシュランブースを出展。デモカーでミシュランTPMSクラウドサービスについて体感できるとのこと