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メルセデス・ベンツ、SUVスタイルの新型EV「EQC」発表会

EQC購入者に普通充電器「充電用ウォールユニット」無償提供

2019年7月4日 開催

EQC発表会では上野社長と武豊さんのトークセッションも行なわれた

 メルセデス・ベンツ日本は7月4日、EV(電気自動車)の新型SUV「EQC」を発表。同日に東京 六本木にあるブランド発信拠点「Mercedes me Tokyo」で記者発表会を開催した。

 ブランニューモデルのEQCは、日本におけるメルセデス・ベンツ初のEVであり、EV固有の先進的なデザインを採用する初のモデル。価格は通常ラインアップモデルの「EQC 400 4MATIC」が1080万円、EQCのデビューを記念する55台限定の特別仕様車「EQC Edition 1886」が1200万円。7月18日11時から「Mercedes-Benz Online Store(メルセデス・ベンツ オンラインストア)」で特別仕様車 EQC Edition 1886のWeb商談予約を先着順で受け付ける。納車は、特別仕様車 EQC Edition 1886は10月以降、EQC 400 4MATICが2020年春を予定している

 このほか、EQCの詳細については関連記事「メルセデス・ベンツ、日本初導入のEV『EQC』。ツインモーター採用の4WDで航続距離は400km」を参照していただきたい。

2020年春にデリバリーを予定する「EQC 400 4MATIC」(1080万円)
通常はエンジンがレイアウトされるボンネット下。樹脂製のカバーを外すと、中にインバーターやフロントモーターなどが配置されている。低い位置に集中配置して運動性を高めている
ラゲッジスペースの容量は約500L。リアシートが3分割可倒で前倒し可能となっており、フロア下も収納スペースとなっている

EQCはブレーメン工場で「GLC クーペ」などと混流生産

ダイムラーAG EQC開発責任者 ミヒャエル・ケルツ氏

 発表会では、EQCの開発責任者を務めたダイムラーAGのミヒャエル・ケルツ氏が登壇し、ニューモデルであるEQCの開発プロセスや技術概要について解説した。

 EQCに至る開発では、まず、2009年に「MRA1(Mercedes Rear wheel drive Architecture)」が、電動化も視野に入れたモデルとして登場。このタイミングではまだEVがそれほど一般的ではなかったことから、検討はされたものの具体的な開発は始まっていなかったという。これが2014年になって同じプラットフォームを利用しつつ、電動パワートレーンを備える「EVA1(Electric Vehicle Architecture)」に発展。2015年4月に製品化に向けて取締役会で最終的に決断。約4年間の開発期間を経て市場投入されることになった。

 最初の試作車は2017年6月に生み出され、この3月に独 ブレーメンの工場で量産車の生産がスタート。ブレーメンの工場でEQCは、すでに市場導入されている「GLC クーペ」といったほかのモデルと同一のラインで生産。EQCでは全体の85%に既存パーツと異なるまったく新しいパーツを採用しているが、工場ではフレキシブルな生産体制が用意されており、EQC専用となるのはフロア下に駆動用のバッテリーを組み付ける工程だけになっているという。

EQCは2009年に生み出された「MRA1(Mercedes Rear wheel drive Architecture)」が基礎となっている
最初の試作車から2年間の歳月を経て、量産車の生産がスタート
ブレーメン工場では「GLC クーペ」などのモデルと同一のラインでEQCを生産。黄色いアームを使うバッテリーをフロア下に組み付ける工程だけが専用になるとのこと
EQCのスペックブック

 また、ケルツ氏はEQCに与えられたさまざまな技術を紹介し、まったく新しいEVながら、これまでのメルセデス・ベンツモデルで実現してきた走行性能や安全性をしっかりと確保しており、中でも航続距離と運動性能をとくに重要な要素と位置付けて開発を行なったと説明。2つのモーター総合で最大トルク765Nm(最高出力は408PS)を発生し、動力性能として、0-60km/h加速を2.5秒、0-100km/h加速を5.1秒で実現し、最高速は180km/hに制限していると紹介した。また、WLTCモードでの1充電航続距離は400kmで、一般的な“遅すぎない”運転では350km~360km、冬期でも260kmは十分に走行可能だと述べた。

 このようなスペックを備えるEQCの開発でポイントとなったのは「最適な人材」だとケルツ氏は語り、これまでに「Bクラス」「スマート」といったモデルのEV化に携わった開発者のほか、ベースとなった「GLC」の開発者、スポーティドライブに長けた開発者などを集めて開発チームを結成したという。

 こうして作り上げた試作車でテストとチューニングを繰り返し、製品としてのパフォーマンスを高め、“メルセデスらしさ”を磨き上げることが開発で重要だと説明。1例としてEVが苦手とする雪山でのテストシーンをムービーで紹介した。

ムービーで紹介された雪山でのEQCのテストシーン
テストで明らかになったバッテリー関連の課題と解決策
“メルセデスらしい”NVH性能をさまざまな施策で実現
前後にモーターを配置する2モーター方式と高度なトルク配分などにより、スポーティでありながら安定感の高い走行性能を手に入れている
巡航走行などの低負荷時にはフロントモーターだけで走行し、高いパフォーマンスが必要になった場合にリアモーターを利用。ドライブモードで「スポーツ」を選択すると、リアタイヤ中心のトルク配分になるという
ヒートポンプを採用する空調システムを備え、走り出す前の充電中に車内を暖めたり冷やしたりすることで、走行時のバッテリー効率を高める

 走行に必要な電気の充電では、グローバルで販売されるEQCは4つの充電システムに対応。日本市場では「チャデモ方式」の急速充電が利用でき、日本全国に公共充電スポットが1万3455か所あり、約2万1000基の充電器を利用可能。「日本はインフラ整備の観点から非常にいい状態にある」とコメント。また、家庭用に新世代の「充電用ウォールユニット」を開発。標準化された「タイプ1」の充電プラグを備えており、これに対応する他ブランドのEVなどにも充電可能であるとした。

 このほかにケルツ氏は、EV固有の先進的なデザインが与えられたEQCにより、EQブランドの新しいデザイン言語が確立され、フロントから見た時も、リアから見た時も、このEQというブランドがどんなものであるのか分かってもらえるようになっていると紹介。このクルマがクリーンでシームレスなデザインとなっており、これは少しチャレンジングだったと語った。また、インテリアでもインパネやドアトリムに「これまで使ったことのないような素材」を新たに用いてモダンなアプローチを行なっていると紹介している。

EQCは4つの充電システムに対応
「チャデモ方式」の急速充電に対応し、全国にある公共充電スポットを利用できる
チャデモの充電器は高出力な50kWタイプが増えている
最大6.0kW(30A)の出力に対応する「充電用ウォールユニット」も用意する
最新の先進運転支援システムも多数採用
充電用ウォールユニットの充電デモも行なわれた
リアバンパー右側に普通充電ポートを設置
充電用ウォールユニットはオーバル形状の「Home」とスクエア形状の「Basic」(写真)の2種類が用意されている
2つの充電ポートのリッドを開けた状態
リアフェンダーにチャデモ充電ポートを配置
リアバンパーに普通充電ポートを配置

ブランド・アンバサダーに就任した武豊さんと上野社長のトークセッションも

メルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏

 発表会の冒頭では、会場の一角でアンベールされたEQCをメルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏が運転してそのまま登壇する演出が行なわれた。

 EQCから姿を現わした上野社長は、EQCが日本におけるメルセデス・ベンツ初のEVであると語り、このモデルが2016年10月に行なわれたパリモーターショーでダイムラーが発表した中長期戦略「CASE」で、電動化を推進する包括ブランドとして挙げられた「EQ」の1台になると解説。「エレクトリック インテリジェンス」を意味するEQでは、純粋なEV以外にもFCV(燃料電池車)やPHEV(プラグインハイブリッドカー)、電動化に伴う新技術、インフラストラクチャー、関連サービスなどを包括しているという。

 今後についてはガソリンエンジンなどの内燃機関も大切に技術開発しつつ、CASEで掲げられている電動化をさらに加速させていくと紹介。具体的には2022年までにダイムラー本社としてEVを10モデル以上発表する計画で、2030年までにEQブランドの販売比率を50%以上にすると宣言しているという。これに呼応して、日本でもEQブランドモデルを順次導入していく予定とのこと。

EVのEQCを運転し、上野社長が登壇した
中長期戦略「CASE」で推進されている電動化のブランドが「EQ」。EQCは日本におけるメルセデス・ベンツ初のEVとなっている
EQCでは最新のインフォテイメントシステム「MBUX」などを採用

 初のEVであるEQCの日本導入にあたり、購入方法として既存の残価設定型ローンの「ウェルカムプラン」に加え、契約満了時に残価の差額清算が不要な残価保証型の「クローズエンドリース」、クレジットカードによる一括払いなどを新たに用意。ユーザーごとに自分に合う支払い方法が選べるようにしている。さらにEVカーライフをサポートする施策として、提携する充電ステーションを利用して、購入から1年間は無料で充電できる「Mercedes me Charge」、マップデータから得た勾配情報、車両の充電状態、外気温などを総合的に判断して、充電計画も含めたルート案内を行なう「EQ専用テレマティクス」を新たに用意している。

 また、アフターケアで用意する「EQケア」では、登録から5年間、または走行距離10万kmまで一般保証、メンテナンス保証、24時間ツーリングサポートが適用されるほか、搭載している走行用の高電圧バッテリーについては、8年間、または走行距離16万kmまで保証するという。これに加え、EQCの購入者には充電用ウォールユニットが無償提供され、さらに設置費用を軽減するため10万円のサポートも用意する。

契約満了時に残価の差額清算が不要な「クローズエンドリース」、クレジットカードによる一括払いなどを新たに用意
専用カードを使うことで、購入から1年間は提携充電ステーションで無料で充電できる「Mercedes me Charge」が付帯
車両情報やルート上の勾配まで考慮してルート検索する「EQ専用テレマティクス」を採用
「EQケア」では高電圧バッテリーを8年間、または走行距離16万kmまで保証する
家庭用の充電用ウォールユニットを無償提供。さらに設置費用を軽減する10万円のサポートも用意

 上野社長はメルセデス・ベンツ初のEVであるEQCが、ユーザーからも「待ちわびた」との声も高く、大きく期待されていることを受け、そんなユーザーの代表として、騎手の武豊さんが新たにブランド・アンバサダーに就任したことを紹介。ゲストとして武豊さんを紹介し、司会と3人によるトークセッションを行なった。

新たにメルセデス・ベンツのブランド・アンバサダーに就任した武豊さんとトークセッションを実施

 この中で武豊さんは、以前からメルセデス・ベンツ車のオーナーとなっており、初めてオーナーになってキーを手にした時の嬉しさは今でも忘れられない思い出になっているとコメント。運転が好きで仕事場である競馬場まで必ず自分で運転しており、時には自宅のある京都から東京競馬場までロングドライブするというというエピソードも明かした。

 また、武豊さんはクルマで厩舎の近くまで行くこともあるとのことで、上野社長は「EQCならEVで音もなく静かなので、馬たちにいいのではないでしょうか」と語り、これに対して武豊さんも静かな方が馬には優しく、非常に興味があると答えた。

自宅のある京都から東京都府中市の東京競馬場までドライブすることもあると語った武豊さん。EVで走行音が低いEQCについても興味津々という様子だった
ドイツ シュツットガルトにある「メルセデス・ベンツ ミュージアム」の入り口に馬の置物があることを紹介する上野社長。自分たちもモビリティの起源である馬と縁が深いと語り、武豊さんにブランドアンバサダーに就任してもらった理由になっていると語った
EQC
EQCのサイドビュー
ヘッドライトの左右を連続させるライトやヘッドライト内のブルーのラインがフロントマスクの特徴
タイヤサイズはフロントが235/50R20、リアが255/45R20
フロントフェンダー後方に車名エンブレムを装着
ブラック塗装でLEDウインカーを内蔵するドアミラー
リアハッチに「EQC 400」「4MATIC」のバッヂを装着
フロントウィンドウ内部にカメラなどのセンサー類を配置
大型ステップを装備する
EQC 400 4MATICのインパネ
10.25インチのワイドディスプレイ2個を使うメーターパネルを採用
エアコンルーバーがローズゴールドで塗装され、要所にブルーのアンビエントライトを設定
アクセルペダルはオルガン式
EQCのドアトリム
2トーン表皮のシートにもローズゴールドのステッチが施されている
EQブランドの解説パネルとEQC導入に合わせて用意された純正アクセサリー
シュタイフ製のテディベアを使ったスマートフォンの無線充電トレーとキーケース。キーケースは背中に背負ったランドセル状の革ケースにスマートキーを収めるスタイル