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【鈴鹿8耐 2019】カワサキワークスの10号車「Kawasaki Racing Team」が暫定優勝
残り1分30秒前後の10号車転倒、赤旗で劇的な幕切れ
2019年7月29日 00:16
- 2019年7月28日 決勝
鈴鹿サーキットで7月28日、「2018-2019 FIM世界耐久選手権 最終戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久レース 第42回大会」の決勝レースが行なわれ、川崎重工業のワークスチーム10号車「Kawasaki Racing Team」が暫定優勝を果たした。
当初の暫定結果では21号車「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」が優勝となっていたが、レギュレーションおよびレースディレクションの判断により、赤旗中断の1周前の時点での状態を最終結果として採用した。川崎重工業のマシンが鈴鹿8耐で優勝するのは1993年以来26年ぶりとなる。
これに伴い、2位が21号車「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」に、3位が本田技研工業のワークスチーム33号車「Red Bull Honda」となった。また、FIM世界耐久選手権の年間シリーズチャンピオンは11号車「TEAM SRC KAWASAKI FRANCE」が獲得した。
終盤までトップ3の激しいトップ争い
5時間経過時にほとんどテールトゥノーズ状態だった10号車Kawasaki Racing Team、33号車Red Bull Honda、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMの3台。周回遅れの渋滞に捕まった10号車が抜きあぐねているところを、後方から33号車と21号車がうまくかわして順位が入れ替わる。
再びトップに立った33号車Red Bull Hondaが、他2台とのピットインの時差を活かしてリードを広げようとするも、ピットアウト直後、タイヤを温めている間に10号車Kawasaki Racing Team、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMに次々に抜かれ、離されていく。
ただ、これまでペースを作り切れていなかった33号車Red Bull Hondaのステファン・ブラドル選手が、ここへきて2分7秒台を安定的に叩き出し、再び差を縮め始める。一足早くピットインした10号車Kawasaki Racing Teamを尻目に、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMをオーバーテイクし、高橋巧選手にバトンタッチ、10号車の後ろ、およそ12秒差の2番手で復帰した。さらに10秒後方からは21号車が追う。
トップとの差を1周あたり1秒近く縮める驚異的な追い上げを見せる33号車Red Bull Honda。残り1時間余りのところでついに10号車Kawasaki Racing Teamを捉え、周回遅れに詰まってわずかに減速した隙を逃さず、きわどいタイミングでかわすことに成功。スパートをかけるかのように、一気に引き離しにかかる。
最終スティント、33号車Red Bull Hondaは高橋選手のまま続行
残り46分、197周目に3番手を走る10号車Kawasaki Racing Teamのジョナサン・レイ選手が2分6秒911を記録し、この日のファステストを塗り変えると、33号車Red Bull Hondaはピットインして給油とタイヤ交換を行なうもライダーは変えず、高橋選手のままダブルスティントで勝負に出る。21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMも同じタイミングでピットインし、中須賀選手がアレックス・ロウズ選手に最後のバトンを渡す。
最終スティント、トップでコースに復帰したのは33号車Red Bull Honda。約4秒差で10号車、その後約18秒差で21号車が追いかけるが、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMはペースが上がらない。10号車Kawasaki Racing Teamはさらにファステストを更新しながら急速に33号車に迫り、201周目の1コーナーでオーバーテイクを果たす。
その後10号車Kawasaki Racing Teamは2番手の33号車Red Bull Hondaに10秒以上のギャップを作り、このままチェッカーまで差を広げ続けるかと思った残り26分、とうとうコースの一部で雨粒が落ち始める。一時トップから35秒以上の差ができていた21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMだが、他車が雨でペースを落とすなか、それをものともせずドライと遜色ないタイムで追いすがる。
レース終了残り1分30秒でカワサキ10号車のジョナサン・レイ選手が転倒。赤旗中断で劇的な幕切れ
残り17分、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMが33号車Red Bull Hondaを明らかに次元の異なるペースであっさり追い抜くと、さらに20秒以上先を走る10号車Kawasaki Racing Teamの追跡を開始。しかしながら、奮闘もむなしく15秒差まで追い上げたところでトップの10号車はファイナルラップへ突入。これで勝負あったかと思われたレース終了間際の1分30秒頃、レッドフラッグが振られるのとほぼ同時に10号車が転倒するまさかのアクシデントが発生する。
最後の最後に起こった大どんでん返しで、赤旗時点で2番手を走行していた21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMを暫定優勝として表彰式が行なわれた。2019年の鈴鹿8耐は、想像だにしない劇的とも言える幕切れとなった。
ところがその後、他チームによる抗議を受け、レースディレクションが再審議。レギュレーションに則って改めて慎重に検証した結果、赤旗が振られた最終ラップの1周前のフィニッシュライン通過時の結果を採用することとし、これによってその時にトップを走っていた10号車が優勝と判断された。
したがって、2位は21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAM、3位は33号車Red Bull Hondaとなった。ただし、28日深夜現在も暫定結果のため、今後の車検結果や他チームからの抗議により、再びリザルトについて審議・変更される可能性はある。
また、年間ランク上位3チームがいずれも優勝の可能性を残していたシリーズチャンピオンシップも、意外な結末で決着がついた。2号車Suzuki Endurance Racing Teamがシリーズチャンピオンシップで逆転優勝できるポジションで走っていたところ、レース終了残り5分で突如白煙を上げマシンをストップ。これにより、レースでは12位に入った11号車TEAM SRC KAWASAKI FRANCEが首位を守り、年間チャンピオンを獲得した。
鈴鹿8耐 上位10チームの暫定リザルト
順位:チーム(選手、車両、タイヤ)
1位:10号車Kawasaki Racing Team(ジョナサン・レイ/レオン・ハスラム/トプラック・ラズガットリオグル選手、Kawasaki ZX-10RR、BS)
2位:21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAM(中須賀克行/アレックス・ローズ/マイケル・ファン・デル・マーク選手、YAMAHA YZF-R1、BS)
3位:33号車Red Bull Honda(高橋巧/清成龍一/ステファン・ブラドル選手、Honda CBR1000RR SP2、BS)
4位:1号車F.C.C. TSR Honda France(ジョシュ・フック/フレディ・フォレイ/マイク・デ・ミリオ選手、Honda CBR1000RR SP2、BS)
5位:12号車YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING(加賀山就臣/渡辺一樹/シルバン・ギュントーリ選手、SUZUKI GSX−R1000、BS)
6位:7号車YART-YAMAHA(ブロック・パークス/マービン・フリッツ/ニッコロ・カネパ選手、YAMAHA YZF-R1、BS)
7位:634号車MuSASHi RT HARC-PRO. Honda(水野涼/ドミニク・エガーター/チャビ・フォレス選手、Honda CBR1000RR SP2、BS)
8位:95号車S-PULSE DREAM RACING・IAI(生形秀之/トミー・ブライドウェル/ブラッドリー・レイ選手、SUZUKI GSX−R1000、BS)
9位:19号車KYB MORIWAKI RACING(高橋裕紀/小山知良/トロイ・ハーフォス選手、Honda CBR1000RR SP2、PI)
10位:72号車Honda Dream RT 桜井ホンダ(濱原颯道/伊藤真一/作本輝介選手、Honda CBR1000RR SP2、BS)