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アルプスアルパイン、「デジタルキャビン」を実現する最新技術をCEATEC 2020 オンラインで解説

Eミラー、ゾーンサウンドシステム、統合ECUなど

2020年10月20日~23日 開催

展示テーマエリア:ニューノーマル

アルプスアルパインは開発中の「デジタルキャビン」のデモンストレーションを行なった

 アルプスアルパインは10月20日より開催されている「CEATEC 2020 オンライン」内のコンテンツの1つピックアップウェビナーにて、「Emotion in mobilityを実現するデジタルキャビンのデモ実演」を実施した。

 今回のCEATECでは“Emotion in mobility「移動」を、「感動」へ。”をコンセプトに掲げ、これまでのコクピットを進化させる技術開発を発表。中でもドライバーを始め、すべての乗員の5感に訴える技術により、安心、快適、感動を与えるデジタルキャビンについて、実際のデモ実演を行なった。

説明会はオンラインで行なわれた
アルプスアルパインの開発コンセプト
未来のクルマはソフトウェアが重要になる

 自動運転やEV化など自動車の進化にともない、アルプスアルパインではクルマを形作るシステムも様変わりすることを予想し、現状クルマには200個を超えるコンピュータが搭載されているが、今後はブレード化されて3~4個に集約されると想定。また、特にドライバーに関わる機能の集約は先行して開発が進められていて、次世代コクピットの開発競争が激化しているという。

コンピュータはいずれ統合されると予想される
アルプスアルパインが立ち上げているデジタルキャビン構想

 そこでアルプスアルパインでは、ドライバーだけでなくキャビン全体を開発領域とした「デジタルキャビン構想」を立ち上げている。これはセンサーやスイッチ、ディスプレイやスピーカーなどのハードウェアの技術と、それらをコントロールするソフトウェアの技術を持つ同社ならではの強みだという。

デジタルキャビンのデモンストレーションを実施

スマホをかざすだけでドアが開閉

 アルプスアルパインが構想するデジタルキャビンでは、スマートフォンが鍵となり、かざすことでドアの開閉が可能となる。さらに、運転席は自動的にドライバーの体格に合わせて位置を調整し、センターコンソールは後部席の人でも使える場所に自動的に移動。

 ドライバーの運転準備が整うと、自動的にフロントにある大型ディスプレイが起動し、さまざまな情報が表示されるが、ドライバーの視線移動が最小限になるように配慮された配置となっている。また、ステアリングやシートを振動させることでドライバーだけに警告を送る安全運転サポート機能や、ドライバーのみや搭乗者のみなど、狙った乗員だけに音が聞こえるゾーンサウンドシステムといった機能も搭載する。

大型ディスプレイには、カーナビはもちろん、搭乗者の姿も映し出し、振り返ることなく会話を楽しむことを可能としている
Eミラーは、車体に搭載している複数のカメラの映像を処理することで、実際には車体の影に隠れて見えない部分も可視化する
ウィンカーを作動させるのは、ステアリングに内蔵されたロータリースイッチ。移動したい車線に他の走行車両がいる場合は、振動でドライバーに注意を促す機能を搭載する

 そして完全な自動運転技術が確立した場合、ドライバーは運転することはなく、搭乗者と共にリラックスして移動することが可能となる。乗員はサイドパネルのディスプレイを自由に動かせ、好みの音楽を聴いたり、情報の取得などが可能。さらに天井一面には搭乗者全員が一緒に楽しめる大型ディスプレイも装備。また、映像に合わせたライティングも行なうことで、移動空間を感動する空間へと演出。感動体験をより充実したものにするための付加価値が盛り込まれている。

車体には全部で11個のディスプレイを搭載
天井一面がディスプレイとなっている
映像に合わせて照明もコントロールする
搭乗者の会話の内容を検知して、新たな目的地などを提案することも可能としている

 これらのデジタルキャビンの機能やサービスを可能にしているのが、アルプスアルパインが開発している統合ECU=HPRA(High-Performance Reference Architecture)で、ECU本体をブレード化したことで、グレードの異なる車種でも柔軟に対応。さらに、ソフトウェアの更新により機能の拡張や更新も容易になるという。

アルプスアルパインが開発している統合ECU=HPRA
抜き差し可能なケース(筐体)を使い小型化されるコンピュータ
ソフトウェアを更新するだけで機能の拡張や更新が可能

 なお、アルプスアルパインはデジタルキャビンの他にも、物流遠隔監視システム、ドローンによる道路追従点検システム、タッチレス操作パネルなどを出展している。