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アルファ ロメオ、イタリアンデザインとの関係性を紐解く電子書籍「パッシオーネ」 チーフデザイナーのアレッサンドロ・マッコリーニ氏が解説
2月12日公開
2021年2月12日 09:00
- 2021年2月12日(現地時間) 公開
アルファ ロメオは2月12日(現地時間)、電子書籍「パッシオーネ(Passione:情熱)」を公開した。
今回発表された電子書籍のパッシオーネは、アルファブランドの情熱とイタリアンデザインへの愛情が、過去111年に渡ってどのようにアルファ ロメオ車の歴史となり、影響を与え、また与えられてきたかを探るものという。「私たちはセンセーションや情熱といった、頭より心につながる領域にいる」と語った同社のトップの言葉のように、この書籍によりアルファ ロメオの比類ないデザインの歴史と世界に自動車デザインへの影響がひもとかれるはずだ。
2月9日(現地時間)に開催されたオンライン説明会には、生粋のアルフィスティで、同社のエクステリア担当チーフデザイナーであるアレッサンドロ・マッコリーニ氏が登壇。1968年にイタリア・ミラノに生まれたマッコリーニ氏は、インテリアカーデザイン、ボート業界、製品デザイン分野で腕を磨いた後、1994年にイタリア・アレーゼにあるアルファ ロメオ チェントロスティーレ(デザインスタジオ)にインターンシップとして採用され、以来「147」「156」「159」「8C」などを手がけ、直近ではスポーツカーの「4C」や、スーパーセダンの「ジュリア」、アルファ初のSUV「ステルヴィオ」などを手がけている。
オンライン会見でのマッコリーニ氏はまず、アルファ ロメオの有名なブランドロゴついて語り始め、ミラノ市の紋章である聖ジョルジョの十字とヴィスコンティ家の紋章であるサラセン人を飲み込む蛇を組み合わせた盾のフロントグリルの変遷について細かく解説した。また、本社があるロンバディア州のミラノには、街の中心に歴史的建造物の「ドゥオーモ」があり、その近くにはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があり、あちこちに古い遺跡があったりする一方で、「垂直の森」と呼ばれるアパートをはじめとする最新の建築が立ち並び、近郊のアレーゼにはアルファ ロメオミュージアムもある。そうしたクラシックとモダンが共存する姿は今のアルファ ロメオと同じだとした。
今回の電子書籍 パッシオーネについては、基本コンセプトとして「愛」「エネルギー」「感性」を表現したエモーショナルな内容であるとし、それぞれのクルマが持つ性能については意図的に触れていないという。
例えば有名なダヴィンチのヒトの絵と、1952年に“円盤”と呼ばれたレーシングカー「ディスコ・ヴォランテ」のページでは、ヒトの十字のバランスや筋肉の張りをリサーチしたものがクルマのプロポーションに生かされた例だとした。また、過去のものからインスパイアされたものはクルマだけでなく、ローマのアーチからヒントを得たのが1962年のカステリオーネが製作したランプの「アルゴ」であるという。
さらに今回の書籍では、まもなく登場するアルファ ロメオ初のPHVモデルである新型コンパクトSUV「トナーレ」にも触れており、搭載するトリプルヘッドライトやエアヴェントは「SZ」が採用していたものの現代型であるとし、ヘッドライトからテールランプに繋がるサイドのGTラインと呼ばれるウエストラインは1960年代の「ジュリアGT」から、サイドウィンドウとリアウィンドウのグラフィックは、スーパースポーツカーの「8Cコンペティツィオーネ」を彷彿させるものだとした。
そのほかでは、アルファ ロメオがティーポ33などに採用した深いロッソ(赤)や、滑らかな水面を走るボートと共通したアルファ車のエクステリアライン、1914年に早くも空力を意識して登場した独創的ワンボックスカー「エアロダイナミカ」、同じシャシーを使用しながら全くデザインが異なる1967年の「33ストラダーレ」と1968年のベルトーネによるショーモデル「カラボ」などを紹介。
続いて、ボディ後部をバッサリと切り落としたエアロダイナミクスの考え方である「コーダトロンカ」、1965年の「ジュリア・スプリントGTA」と同じ発想で現代に蘇った「ジュリア・GTA2020」など豊富な内容にふれており、これらを「文化と自動車」という視点に立って見てほしいという。
このタイミングで書籍を出した理由についてマッコリーニ氏は、「過去を見ながら未来を作り出しているチェントロスティーレの日々の仕事の考え方がこの中に詰まっています。eブックの中身については全部知っているけれども、それが頭の中で散らばっているので、もう一度整理したいと思って制作しました。この時期に出すというのは、やっぱり“バレンタイン”に合わせたかったからです」と語ってくれた。