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インフィニティ、3列シートの新型SUV「QX60」日本初公開 デザイン・ダイレクターが実車を解説

2021年6月24日 開催

新型「QX60」メディアブリーフィングで解説を行なったインフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏(左)とインフィニティ 商品戦略・企画部 部長 エリック・リゴー氏(右)

 インフィニティ(日産自動車)は6月24日、米国で6月23日10時(日本時間:6月24日2時)に世界初公開した3列シートの新型SUV「QX60」を日本で初公開するメディアブリーフィングを日産グローバル本社(神奈川県横浜市)で開催した。

 QX60は2013年に北米市場でデビューした3列シートSUV。2022年モデルとしてフルモデルチェンジする新しいQX60では、V型6気筒3.5リッターエンジンと新開発の9速ATをパワートレーンに採用。外観では折り紙の複雑な折り方をデザインに取り込んだフロントグリルで日本の伝統を表現し、高いクラフトマンシップによって生み出されたインテリアとの組み合わせでラグジュアリーテイストを演出している。

 このほか、新型QX60についての詳細は、関連記事「インフィニティ、新型SUV「QX60」を公開 今秋から北米で販売スタート」を参照していただきたい。

 なお、新型QX60は日産グローバル本社ギャラリー内にある「インフィニティラウンジ」で同日から一般公開が開始され、同ギャラリー内で2021年末まで展示予定となっている。

新型「QX60」
ボディカラーは「ウォームタイタニウム」
タイヤはブリヂストン製の「ALENZA Sport A/S」。タイヤサイズは前後255/50R20 105H
All-New 2022 INFINITI QX60 Walkaround(5分48秒)
「QX55」と同じく日本の折り紙にインスパイアされたメッシュグリルを採用。SUV的な力強さを演出するため、ホイールベースを拡大して前後のオーバーハングを切り詰めてスタンスのよさを表現したほか、前後のバンパー下部にガードパネル風のメタル調パーツを施した
リアバンパー中央に牽引用のトレーラーヒッチを装備。右側のコネクターで車両のブレーキ情報を牽引車両に伝達する
ヘッドライトとリアコンビネーションランプに「デジタルピアノキー」と呼ぶデザインエッセンスを採用
ヘッドライト下辺のクロームパーツに「キモノパターン」を設定して日本のDNAを表現
V型6気筒3.5リッターエンジンは295HPを発生。CVTに変えて新たに採用された9速ATにより、力強い加速や最大6000ポンドまでの牽引を可能とする

QX60は世界累計40万台以上を販売した重要なモデル

インフィニティ 商品戦略・企画部 部長 エリック・リゴー氏

 メディアブリーフィングでは最初に、インフィニティ 商品戦略・企画部 部長 エリック・リゴー氏がコメント。リゴー氏は「自分たちの予想を超える世界累計40万台以上を販売した従来モデルはインフィニティにとって非常に重要なモデルであり、モデルチェンジに際しては開発陣に大きなプレッシャーがあった。新しいモデルの開発においては、外観でさらに頑強で力強いイメージを表現しつつ、QX60が持つ高い機能性も向上させることが求められた」と説明。

 新たに採用した9速ATはユーザーからの強い要望を受けて実現に至った技術で、7人乗車で大柄なボディを力強く加速させるほか、北米向けモデルで採用されているトーイング用のトレーラーヒッチを利用すると、6000ポンドまでの牽引が可能とのこと。

 このほかにリゴー氏は、QX60は高い実用性を備えたラグジュアリーカーであり、3列目シートに人が座れる状態でも十分に広いラゲッジスペースを用意していることも特筆すべき点だとアピール。また、シートは簡単にアレンジ可能で、2列目、3列目を格納すると必要に大きなラゲッジスペースを生み出せるほか、54.1Lのアンダーフロアストレージも用意していると述べた。

インフィニティにとって非常に重要なQX60のモデルチェンジは大きなプレッシャーだったと語るリゴー氏
ラゲッジスペースのユーティリティについて解説するリゴー氏
新型QX60のラゲッジスペース
定員乗車状態でも十分に広いとリゴー氏がアピールするラゲッジスペース。3列目シートのシートバックは10段階でリクライニング可能
3列目シートのシートバックは6:4分割可倒で前方に倒れ、ほぼフラットなラゲッジスペースを作り出してくれる
アンダーフロアストレージの容量は54.1L。フロアパネルは自由な位置で固定可能だ

インフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏がデザインを解説

インフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏

 また、続いてコメントしたインフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏は、「QX60はプレミアムな3列シートクロスオーバーとして、とくにデザインとクオリティの面で高く評価されていましたが、ユーザーからは『もっとタフさが欲しい』『もっとプロテクションされている感覚を』と、よりSUV的なステータスを求める声が出ていました。これを受けて、新しいモデルではしっかりと踏ん張りの効いたスタンス感、筋肉質な雰囲気を表現しつつ、シンプルだけどエレガントにまとまっているという点を目指しています」とデザインエッセンスを語った。

 外観デザインでは水平基調のベルトラインでボンネットフードを高い位置に配置。これによってフロントノーズが高まり、フロントグリルをサイズアップして、いろいろな角度から見てSUVらしい自信に満ちたスタンスになっているという。

 フロントグリルのメッシュパターンには、「QX55」と同じく日本の折り紙にある短冊状の形状からインスパイアされたものを採用。ヘッドライトに与えた「デジタルピアノキー」と呼ばれるデイライトランニングランプはテクノロジーの象徴であり、3個セットのLEDキューブを並べて形作っている。さらにヘッドライトでは、下辺に配したクロームパーツに「キモノパターン」を設定。着物の前合わせをスリットパターンで表現し、日本のDNAを表現している。

新しいQX60ではユーザーからのリクエストを受け、SUV的なスタンス感、筋肉質な雰囲気を高めたと中村氏
フロント、リア共に水平なラインで安定感を表現している
日産グローバル本社ギャラリー内にある「インフィニティラウンジ」に展示された新型QX60を実際に見ながら2人の担当者から解説が行なわれた

 インテリアでは「Aピラー to Aピラー」と呼称する薄く横長なイメージのインパネデザインを採用。キャビン全体の広さ感を演出し、ドライバーズシートでは腰下部分の囲まれ感でプロテクションされた安心感を与えるようにしている。また、インパネ上下を光輝ブラックパネルのベンチレーションパネルで分割することにより、インパネの薄いテイストを強調しつつ、横流れの形状によってドライバーセントリックを表現している。

 デザインテーマは「QX55」と共通のもので、ドライビングや各種操作に必要なスイッチ類をセンターコンソールの光輝ブラックパネル内に分かりやすいようクラスタリング。エアコンの操作パネルは電源OFF状態ではブラックアウトしてクリーンな見た目とした一方、触れたときに振動するハプティック機能を使って使いやすいよう工夫している。なお、インフィニティモデルでのハプティック機能採用は今回が初めてになるとのこと。

 センターコンソール上部にある12.3インチの高解像度タッチスクリーンやデジタルメーターパネルでは3Dグラフィックの精度を高め、バーチャルな深さ感によって奥行きを表現しており、デジタルメーターパネルは多彩な車両インフォメーションを大きく表示する「アドバンストモード」、2眼式メーターをイメージした「クラシックモード」の2種類を用意して切り替え可能としている。

 インパネやシート表皮に施されたキルティング加工は、水面に描かれた複数の波紋が重なるシーンをイメージしたデザインを採用。シート表皮にはセミアリニンを使い、フロントシートはパーフォレーション加工によるベンチレーション機能も備えている。

インパネのレザーにまでステッチを施してラグジュアリーテイストを表現
左右に連続する光輝ブラックパネルでインパネの薄さ感を強調している
レザーステアリングにパドルシフトを設定。右側のステアリングスポークにプロパイロットの操作スイッチをレイアウトする。システムとしては「スカイライン」に搭載する「プロパイロット 2.0」と同じだが、北米仕様ではシングルレーン対応になるとのこと
デジタルメーターパネルは多彩な車両インフォメーションを大きく表示する「アドバンストモード」、2眼式メーターをイメージした「クラシックモード」の2種類を用意
ヘッドアップディスプレイも装備している
センターコンソールの12.3インチ高解像度タッチスクリーン。言語設定は英語、フランス語、スペイン語が用意されていた
2列目シートにセパレートタイプのキャプテンシートを採用する7人乗り。1列目と2列目のシート形状や構成をできるだけそろえ、どちらに座っても近い感覚になるようにしている
2列目シート側面に新設された格納ボタン。電磁スイッチとスプリングなどの組み合わせにより、子供でも自分で3列目シートに座れるようにした
インフィニティモデルとして初めてハプティック機能を採用したエアコン操作パネル。北米仕様モデルらしい華氏での温度設定をダイヤル内に表示する
9速ATのシフトセレクター左側にドライブモードセレクターをレイアウト。カップホルダーの前方に、ワイヤレス充電規格「Qi」に対応するスマートフォン置き場も用意する
1列目シートのセンターアームレスト後方にエアコンの操作パネル、各種充電ポートを設定。USBポートはタイプA、タイプCを各1個用意
ガラスサンルーフも装備