ニュース

トヨタ・モビリティ基金、交通事故の削減に向けて先進技術や車両データを活用した「ジコゼロ大作戦」開始

2021年7月15日 発表

インフラ協調型危険回避システム【ITSスマートポール(SP)】のイメージ

道路環境整備や市民への啓発などを実施

 トヨタ・モビリティ基金(TMF)は7月15日、豊田市、トヨタ自動車、豊田都市交通研究所とともに“豊田市つながる社会実証推進協議会”の取り組みとして、交通死亡事故の削減を目指す官民連携事業「ジコゼロ大作戦」を開始したことを発表した。

 豊田市は、交通事故発生件数が年々減少傾向にあるものの、2020年および2019年は交通事故死者数が名古屋市を除く愛知県下で最多(最下位)という課題に直面。今回の取り組みでは、クルマとインフラの通信技術を利用した安全運転支援の仕組みや、車両データを活用した道路環境整備・市民への啓発などを行なう。

 本事業を通じて豊田市における死亡事故削減を実現するとともに、他地域でも応用可能な「官民連携による交通安全の取り組みモデル」を構築し、愛知県をはじめとした全国にその成果を展開していくとしている。

ジコゼロ大作戦概要

実施期間:令和3年7月30日~令和4年3月31日
主な取り組み:
・インフラ協調型危険回避システム【ITSスマートポール(SP)】
 支柱や電柱などに設置したカメラやセンサーでクルマの接近を感知。衝突危険があるクルマや歩行者に対して注意喚起を行ない、事故を未然に回避するシステム。豊田市内の出会い頭事故の危険がある交差点に設置予定。

・住民ヒヤリハットデータベース
 小学生および保護者から身近な危険箇所の情報を収集し、その結果をデータベース化して公開。児童・住民に日頃からの注意を促す。また、交通事故の発生データなどと組み合わせることで危険度を算定し、対策地点の優先順位付けや対策の早期実施に役立てる。

・ドライブレコーダー情報を活用した高齢者安全運転診断サービス
 高齢者の自家用車に設置したドライブレコーダーデータを活用し、運転者の挙動を把握・分析したうえで、安全運転のアドバイスを提供。また、高齢者の生活環境や交通事故に関するデータと合わせて分析することで、高齢者の事故防止につなげる。

映像解析などにより運転の見直しにつながる各種アドバイスを提供

・車両プローブデータの活用
 走行車両から取得したプローブデータや事故・ヒヤリハットデータなどの分析・活用により、危険箇所の特定、原因分析による効果的な対策の実施と効果検証を行なう。

急減速を始めとするクルマの挙動データからの危険度分析のイメージ図
一時停止場所の対策効果検証のイメージ図

 交通安全の実現には、ドライバーや歩行者という「人」に対する啓発活動、安全な「クルマ」の開発、信号設置や道路整備など「交通環境整備」の三要素が一体となった取り組みが重要となる。そこでTMFは啓発ツールの充実や関係機関と連携した「人」への啓発活動に加え、既存技術を組み合わせ、新たな技術や視点の導入を通じ「交通事故死傷者ゼロ社会」の実現に向けた取り組みの推進を目指している。

 トヨタは2014年8月、トヨタ・モビリティ基金(TMF)を設立。TMFは誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向け、幅広いプロジェクトを通じて世界中の移動課題の解決に取り組んでいて、今後もトヨタグループが事業活動を通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協働を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進めながら、人々が心豊かに暮らせる社会の実現に向けて貢献していきたいとしている。