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NVIDIA、ボルボの新型ポールスターが自動運転プラットフォーム「Hyperion」採用と発表 ヴァレオやZFがHyperionのスケーリングパートナーに
2022年1月5日 16:23
- 2022年1月4日(現地時間) 発表
自動運転車向けプラットフォーム「Hyperion 8」をボルボなどが採用
NVIDIAは米国ラスベガスで開催されているCESにおいてデジタルカンファレンスを開催。その中で同社の自動運転車向けプラットフォームである「Hyperion 8(ハイペリオン エイト)」がボルボのバッテリEVである新型ポールスター(Polestar 3)に採用されることを発表した。また、この自動運転車向けプラットフォームを、Desay、Flex、Quanta、ヴァレオ、ZFといったティア1サプライヤーがスケーリングパートナーとなって供給していくことも明らかにした。
NVIDIAのデジタルカンファレンスは大きく分けてゲーミングのパートと、自動運転のパートで構成されていた。自動運転のパートに関しては、同社VPであり自動車部門のGMであるAli Kani氏が説明。NVIDIAが構築した自動運転ソリューションを紹介した。
Kani氏によると、NVIDIAの自動運転は機械学習を行なう3つのパイプラインから構成されているという。1つ目はAIベースのリアルタイムソフトウェアスタックで、2つ目はクラウド上のDGXサーバーによるAIモデルのトレーニング、そして3つ目はそれらによるシミュレーションモデルの構築だとしている。これにより、AI学習のループを形成しており、さまざまな機能を向上。それらは、OTA(Over The Air)によって、たとえばNVIDIAのシステムを採用しているメルセデス・ベンツの車両などに取り込まれていくという。
メルセデス・ベンツはNVIDIAのOrinを採用し、次世代車両に搭載していくことをすでに発表しているが、NVIDIA自身も自動運転プラットフォームであるHyperion(ハイペリオン)を進化。現在では8世代目にあたるハイペリオン8を発表している。
このハイペリオン8では、2基のOrinを搭載し冗長性を向上。全周を監視するために12台のカメラ、9個のレーダー、12個のソナー、前面1つのLiDAR、3台の車内検知カメラで構成されている。これらで自動運転プラットフォームを実現し、2基のOrinを搭載することから機能安全にも対応。1台のコンピュータが壊れても、もう1台のコンピュータで自動運転を続け、安全なところまで移動可能だとしている。
NVIDIAはDesay、Flex、Quanta、ヴァレオ、ZFといったティア1サプライヤーがスケーリングパートナーとなったことをCESのタイミングで伝えるとともに、電気自動車のようなNEV(New Energy Vehicle)に供給していくことを発表。ボルボのバッテリEVである新型ポールスター3など、多くのOEMに採用されたことも明らかにした。
また、自動運転トラックを開発するTuSimpleもNVIDIAのOrinを採用したことも発表。TuSimpleはOrinを使って、自動運転プラットフォームを開発していくという。
DRIVE ChauffeurやDRIVE Conciergeを提供
Kani氏は、そのほかNVIDIAが自動運転車開発に向けて提供できるものを説明。自動運転車の開発においては、自動運転用のAIをどう学習していくかが大切になるが、そのためのデータが数多く必要となる。一般的な道路状況に加え、区分けの難しい道路状況が必要となり、そのようなデータをラベル分けして数多く準備することは非常に手間のかかる作業となる。
NVIDIAでは、このような困難な状況のデータを合成して作り出すことができる「DRIVE Sim リプリケーター」を用意。DRIVE Sim リプリケーターによって道路状況データを作り出し、学習データとして用いることができる。
NVIDIAは、自動運転車向けプラットフォームであるハイペリオン8において、自動運転を行なうDRIVE Chauffeur(ショーファー)以外に、そのAIアーキテクチャを活かしてDRIVE Concierge(コンシェルジェ)も提供。これは、NVIDIA Omniverse Avatarがリアルタイムに対話型AIを提供するもので、メールを解釈して要点を伝えてくれたり、レストランの予約を対話型で行なえるというもの。ホテルのコンシェルジェのように、運転者の意図を予測して、さまざまなサービスを提供していくことが可能になる。
NVIDIAは、これら自動運転車に必要なサービスをプラットフォームとしてNEV OEM提供していくことで、自動運転車の開発促進を図っていくことになる。新興の自動車メーカーであれば、NVIDIAのプラットフォームを利用することで自動運転車開発をゼロから行なわなくてもよいし、多くの自動車メーカーにとってもAI開発の軽減を行なえるのが魅力となる。