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ホンダ、「次世代Honda SENSING 360」搭載車に乗ってみた 2023年中に搭載車を国内発売予定
2022年12月1日 00:00
- 2022年12月1日 発表
本田技研工業は12月1日、「Honda SENSING 360」と「Honda SENSING Elite」の次世代技術を発表した。Honda SENSING 360では事故リスクを減らし、よりドライバー負荷を減らすものとなるなど進化し、2024年よりグローバルで搭載車が登場する予定。それに合わせてテストコースでの取材会が開催され、次世代技術の説明とともに実際に体験することもできた。
“Next Concept”とした次世代技術などで2030年に事故死者半減、2050年にはゼロへ
今回発表された技術は、現在の全方位安全運転支援システムのHonda SENSING 360と、自動運転レベル3に対応するHonda SENSING Eliteのそれぞれをより進化させたものとなる。どちらも発表や搭載車の発売からあまり時間が経っていない技術ではあるが、早くも次世代技術の発表となった。
ホンダは2030年に全世界でホンダの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者半減を目指すことも発表しているが、これは2030年までに全世界において二輪検知機能付 Honda SENSINGの四輪車全機種への適用を目指し、先進国においてはHonda SENSING 360を四輪車全機種へ適用してさらに機能進化を続けることで実現しようとしている。
さらにその先、2050年には全世界でホンダの二輪車、四輪車が関与する交通事故の死者をゼロにすることも目指している。ここで示すホンダの二輪車と四輪車とは2050年に販売されている新型車ではなく、新興国を含め2050年の時点で市場に現存するすべてのホンダ車を示している。
ホンダの2050年交通事故死者ゼロは「野心的な目標」とするが、そこに至るベースとしてホンダの創業者2名の「人名尊重」「積極安全」という安全への想いを紹介。さらに、その体制としてHonda SENSING 360とHonda SENSING EliteといったADASの機能進化に加えて、1人ひとりに合わせた知能化運転支援技術や、交通参加者と共存する安全・安心ネットワーク技術も備えていくとした。
交通事故ゼロ社会実現と自由な移動の喜びを提供
2050年までの目標の実現へ向けたロードマップとして、Honda SENSING 360は現在の自動運転レベル3に対応したHonda SENSING Eliteの技術を活用し、現在の「安全と事故回避」から運転支援を拡大し「運転負担軽減」へと進めていく。
全方位安全運転支援システムの次世代となるHonda SENSING 360 Next Conceptでは、新たに高精度地図を搭載してその情報を活用するとともに、ドライバーの異常などを検知するドライバーモニターを搭載することがハードウェア的な大きな違いとなる。
その上で実現できることは「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」「ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能」「ドライバー異常時対応システム」「降車時車両接近警報」「ドライバーの状態と前方リスクを検知 回避支援を行なう技術」の5つ。
市販車では中国向けCR-Vへの搭載を皮切りとし、2023年中に日本でも搭載車を発売予定、さらに2024年からグローバルで順次適用を開始する。
Honda SENSING Eliteについてはホンダ独自のAI技術を活用した認知・理解技術により、これまでの高速道路だけだった自動運転を、一般道も含めて自宅から目的地までシームレスな移動を支援する機能を開発していくことが次世代となる。
一般道を含めた運転支援となると、走路理解による運転支援が重要になってくるためAI技術が不可欠となるが、AIについては道のシーンを取り込み、対応力を常に最新へと向上させていくとしている。
ドライバーの異常時対応でクルマを停止
Honda SENSINGの次世代技術の発表では、Honda SENSING 360 Next Conceptの試作車の試乗も行なわれた。
ドライバー異常時対応システムでは、ドライバー異常時を想定してテストドライバーが首を前に下げたところ動作を開始。まずは警報音とディスプレイ表示で注意を促すが、それでも反応がない場合はハザードを点滅しながらホーンを鳴らし減速して停車した。
減速や停車の際は車線内にとどまるようにステアリング制御も行なわれたが、現在のところ新たなリスクを生む可能性があるため路端に寄せるなどの制御はない。また、緊急通報センターへの接続も設定できる。このシステムはエンジン車にも適用できるため、停止後、救助に入った人にエンジンを切るような表示も行なうという。
テストでは首を下げたままにして停止までさせたが、途中でドライバーが復帰すればキャンセルされ、減速、停止までは行なわない。
注意力低下時の回避支援
ドライバーが注意力低下したり、漫然運転時に歩行者、自転車、路肩停車中のクルマなどに衝突の可能性がある場合には、減速して注意喚起しながら車線をはみ出さないようにステアリング支援をする。
回避方法は2つあり、車線内の十分な回避スペースがある場合は車線内で減速しながら衝突回避のステアリング操作を支援する。また、車線内に回避スペースがないなど、ドライバーによる緊急回避の車線変更のステアリング操作があった場合でも、変更先の車線からはみ出さないようにステアリング制御を行なう。
実際に走行していて先行車が停車している場合など、別の車線に避けたときでもステアリング制御が行なわれ、さらなる車線のはみ出しを抑えてくれた。
ハンズオフ機能をLiDARなしで実現、車線変更も自ら行なう
高速道路では手放しで運転できるハンズオフの機能も、Honda SENSING 360 Next Conceptでは、Honda SENSING Eliteで搭載されるLiDARなしに実現する。車線維持の機能はすでにレーンキーピングアシストシステムとして搭載が一般的になっているが、「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」と「ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能」は手放し運転が認められる機能となる。
「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」では、単に車線内を一定速度や先行車に追従した速度で走るだけでなく、カーブにかかれば曲率に合わせて安全な速度まで減速、スムーズなコーナリングのあとで直線になれば、もとの設定速度まで加速する。
なお、コーナリングでの車線内のどこを走るかはドライバーの癖でさまざまだが、Honda SENSING 360 Next Conceptではわずかにインコース寄りを走行するといった一般的な運転に合わせたもの。減速は少し“減速しすぎ?”とも感じられたが、それは安全を優先した速度を採用しているため。コーナリングのハンドルさばきも道路の曲率に合わせて一定となったスムーズなもので、不快な点は一切なかった。
次に追い越し機能だが、追い越しの機能をONにした状態で遅い先行車に追いつくと、システムが追い越しができるかどうか判断。自ら車線変更や追い越しなどの支援を行なう。実際に乗ってみると、ドライバーがステアリングから手を離し、足もペダルを踏んでいない状態で先行車に追いつくと、車線変更のためのウインカーが出て、そのまま車線変更をして加速、もとの車線に戻るまでをシステムが支援する。さらに、カーナビで目的地を設定している場合には、ジャンクションやインターチェンジに備えた車線変更も行なってくれる。
試乗では右後方からさらに速度の速いクルマが来ることも再現されたが、そのクルマが追い抜いていくまで車線変更を待ち、追い抜きを確認するとすぐに車線変更が行なわれた。
“Next Concept”では、そのほかにもたくさんの進化があった
Honda SENSING 360の“Next Concept”では、そのほかにも全方位のセンサーを利用して接近するクルマや自転車を検知する降車時車両接近警報もある。
また、自動運転にも対応するHonda SENSING Elite Next Conceptでは、自宅から目的地までの支援として、一般道運転支援や自動駐車支援も含まれる。特に2020年代後半にはオートバレーパーキングの技術確立も目指すとしている。
現在も実現している自動運転レベル3対応の「トラフィックジャムパイロット」では、ジャンクションでの合流および分流に対応。合流は前後のクルマの運転に合わせるなど自動運転では難しい部分としているが、高度な認識・理解技術と交通環境・ルール理解によって、2020年代後半を目途に「高速道路本線全域 レベル3」の技術確立を目指すとしている。
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