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トヨタRCカークラブ 鈴木浩二氏、トライ!!トヨタRCスクールは「550万人の仲間を一人でも多くという思いで開催」
2023年5月14日 07:55
RCカーフェスティバルで実施されたトライ!!トヨタRCスクール
第61回静岡ホビーショーと併催されている「RCカーフェスティバルinホビーのまち静岡」では、5月13日に「トライ!!トヨタRCスクール」を実施した。このトヨタRCスクールは、静岡ホビーショーで展示されたばかりのタミヤのRCオンロードカー「1/10RC トヨタ ガズー レーシング WRT/GR ヤリス ラリー1 ハイブリッド(TT-02シャーシ)」を組み立てることができるほか、実際に特設コースを走行するまでをトヨタRCカークラブやタミヤスタッフがサポートしてくれる。
参加資格は、小学3年生以上~18歳以下(保護者同伴)、または女性(年齢制限なし)で、1万8500円の有料参加とはなっているものの、6月10日発売の1/10RC ヤリス(1万3200円)をいち早く組み立てて手に入れられるほか、プロポ、走行用バッテリと充電器、プロポ用アルカリ電池4本も付属する。初めてRCカーを購入したい人にとっては最適な構成になっている。
実際に現場をのぞいてみると、大勢の親子連れ&取材のトヨタイムズ組が参加しており、朝からインストラクターのガイドに従って組み立てを進めていた。RCカーの組み立てを一度でも行なって人なら分かると思うが、サスペンションの動作など、クルマの基本的な形をRCカーは知ることができる。TT-02シャーシは、シャフトドライブの4WDであるため実車の4WDシステムにも近く、1つのモーターで4つのタイヤがなぜ動くのかも体感しやすい。
そして、それがGRヤリスであれば4WDレーシングカーということで実車との連続性もあり、素直にクルマの構造を学べるだろう。
ただ組み立て現場では、何かを学ぶというよりも親子で相談しながら楽しくクルマを組み立てるという雰囲気であふれており、もの作りの現場感が強いものだった。説明書に従って適切な部品を探し、適切なネジを探し、それらをドライバーで締めてつなげていく。文字で書くと簡単な作業にも思えるが、初めてのネジ締め作業は難しくも新鮮なものだ。さらにそれが思ったとおりに動作するのであれば、うれしさは倍増するに違いない。トライ!!トヨタRCスクールは、子供たちに感動を与える場になっていた。
自動車業界で働く550万人を増やしたい
このトライ!!トヨタRCスクールを主催するTRC(トヨタRCカークラブ) 会長 鈴木浩二氏にイベントの開催意図を聞いたところ、「本来はクルマ好きを増やしていこうというものでした」と語り、未来のクルマファンを育てていくためのものとして何度か行なってきたものと教えてくれた。
つまり、将来のクルマユーザーを増やしていくためのものとしてTRCで取り組んできたが、近年は方向性を変更しているという。鈴木会長は、「今は550万人の仲間を一人でも多くという思いで開催しています」と、将来一緒に働いてくれる仲間を作りたいという思いが強いという。
自工会(日本自動車工業会)では「クルマを走らせる550万人」と打ち出しているように、自動車業界で働く550万人の人たちへのエールを送っている。ただ、その550万人も1年たつごとにリタイヤする人たちは出ており、それ以上に就職したいと思う人がいなければ減っていってしまう。
自動車産業は日本で最大の産業ではあるものの、日本は少子高齢化が進む国であるため、何もしなければ産業としての規模が縮んで行く。さらに、100年に一度という大変革の時期でもあり、大きく伸びるチャンスでもあるが、すでに大きいだけに先行きが細ってしまう可能性もある。
それだけに、鈴木氏は「一人でも多くの人にクルマ好きになってもらい、550万人を増やしていきたい」と語る。子供のころから、構造を含めてクルマを理解してもらうことで、将来、自動車業界で働くきっかけになってほしいという。
そのため、今回のRCカーフェスティバルやトライ!!トヨタRCスクールでは、従来にはなかった実車との連続性が重視されている。フジツボ(藤壺技研工業)、キャロッセ、ワーク、ブリッド、サードが小中高生向け体験コンテンツを用意したり、神奈川工科大学が技術展示を行なったりしているのは、子供たちが実車に触れる機会を増やしたかったからと語る。
さらに、トライ!!トヨタRCスクールではRCカーの組み立て完成後に模擬レースを実施して、上位者には賞品を用意。フジツボのマフラーを使ったグッズがプレゼントされるほか、富士24時間、SUPER GT、スーパーフォーミュラのピットツアーも用意。RCカーを組み立てたら、今度は実車のピットを見学できるというものだ。RCカーをきっかけに、本物のクルマに触れてもらい、それが将来の自動車産業の発展につながればとのこと。「どれだけできるか分かりませんが」と鈴木氏は語るが、子供のときにそれだけのインパクトがあれば、クルマの理解は進むに違いない。
何よりも自分の手で作ったものが、思い通りにコースを走るまでの過程は大きな体験であり、子供たちが楽しそうに走らせている姿が印象的だった。