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高速道路初の水素ステーションが足柄SA(下り)にオープン 大型車に対応する「イワタニ水素ステーション 足柄SA」開所式に「FCEVクラウンセダン」も登場

2023年9月15日 開催

高速道路初の水素ステーション「イワタニ水素ステーション 足柄 SA」

大型車も短時間で水素を充填可能な水素ステーション

 岩谷産業は9月15日、高速道路初の水素ステーション「イワタニ水素ステーション 足柄SA」の開所式を開催した。乗用車のFCEV(燃料電池車)のほか、商用車の大型トラックFCEVの利用も想定した水素ステーションとのことで、開所式の会場では、トヨタ自動車の「FCEVクラウンセダン」やトヨタと日野自動車が共同開発した大型トラックのFCEVも披露された。

 東名高速道路 足柄サービスエリア(下り)に新設された水素ステーション「イワタニ水素ステーション 足柄SA」は、水素の供給能力として平均300Nm 3 /h、充填圧力は82MPa(メガパスカル)と、大型トラックにも短時間で充填できる充填設備を用意したことが特徴。充填時間は、乗用車を満タンにするのに必要な5kgの水素で約3分、大型トラックに必要な30kg〜40kgの水素で約15分〜20分で充填できる仕様。

 敷地面積約1000m 2 に設置された水素ステーションは、乗用車で約300台分という水素を液化水素で貯蔵(オフサイト型)、乗用車用と大型車用に2口(2か所)の充填口を用意する。現時点での水素の販売価格は税込みで1kgあたり1210円と、乗用車を満タンにする場合、約5kgの水素が必要で約6000円となる。営業時間は8時~20時で、有人によりスタッフが充填サービスを実施する。

発表前の「FCEVクラウンセダン」
トヨタと日野が共同開発した大型FCトラック
大型車にも対応した充填設備
乗用車で約300台分の水素を液体水素で貯蔵する「イワタニ水素ステーション 足柄SA」

高速道路や物流拠点など、FCトラックの利用者に利便性の高い場所を中心に今後も大型水素ステーションを整備へ

開所式で行なわれたテープカット

 同日開催された開所式では、主催者の岩谷産業 代表取締役会長兼 CEO 牧野明次氏のほか、来賓として、経済産業省 資源エネルギー庁 次長 松山泰浩氏、国土交通省 道路局 審議官 長谷川朋弘氏、日本水素ステーションネットワーク合同会社 代表社員職務執行者 吉田耕平氏らが出席した。

経済産業省 資源エネルギー庁 次長 松山泰浩氏
国土交通省 道路局 審議官 長谷川朋弘氏
日本水素ステーションネットワーク合同会社 代表社員職務執行者 吉田耕平氏

 主催者を代表してあいさつをした岩谷産業の牧野氏は「本年6月、政府より水素基本戦略が6年ぶりに改定され、今後15年間に官民合わせまして15兆円の投資を行ない、水素利活用の拡大と、産業競争力強化に向けた力強い方針が示されました。この戦略の中では、これまでの乗用車に加え、FCトラックや、あるいはFCバスなどの商用車に対する支援を拡大させていくとされておりまして、今後さらなる水素需要の拡大が見込まれております。そのため、水素ステーションにつきましても、トラックなどの商用車に対応すべく大規模化が進められることになります」と政府の方針を紹介。

岩谷産業 代表取締役会長兼 CEO 牧野明次氏

 大型車にも対応した水素ステーションを設置することについて、牧野氏は「当ステーションにつきましては、当社にとっては54か所目の水素ステーションになりますが、これまでのステーションに比べますと、水素の貯蔵量を増加させるとともに、大量の水素を短時間で充填できる設備を導入することで、大型商用車の利用にも対応しようということになりました」と説明。

 また、牧野氏は「FCトラックにつきましては、経済産業省さまが設置されておりますモビリティ水素官民協議会において、2030年までに1万7000台の普及見通しが示されております。トヨタ自動車さまをはじめといたしまして、これを中心に取り組みを大きく加速しているわけでございます。本日につきましては、トヨタ自動車さまのご協力によりまして、FCトラックを展示させていただいておりますが、当社といたしましては、このステーションを足がかりといたしまして、高速道路や物流拠点など、FCトラックの利用者にとって利便性の高い場所を中心にして、今後も大型水素ステーションの整備に取り組んでまいりたいと考えております」との意気込みが語られた。