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日産、「ジャパンモビリティショー2023」説明会 複数のEVコンセプトカー出展を予告

2023年10月3日 発表

ジャパンモビリティショー2023で公開されるクロスオーバーEV「ニッサン ハイパーアーバン」

10月10日、17日、19日に新EVコンセプトカーの登場予告

 日産自動車は10月3日、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市岡津古久)において「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)の出展概要を発表するとともに、同センター内に新設されたデザインプレゼンテーションホールを公開した。

 日産はジャパンモビリティショーで複数のEV(電気自動車)のコンセプトカーと新たな取り組みを発表するとしており、今回発表されたEVコンセプトカーの第1弾モデル「ニッサン ハイパーアーバン」を皮切りに10月10日、17日、19日に新たなEVコンセプトカーを公開すると予告した。

日産テクニカルセンター

 また、EVコンセプトカーシリーズに加え、日産の創立90周年を記念した「リーフ」「サクラ」「エクストレイル」「セレナ」「キックス」「ノート オーラ」の特別仕様車を出展。この特別仕様車ではフロントグリルやドアミラーにカッパー色のアクセントを施し、専用のアルミホイールやシート素材などを採用することで90周年の特別感を演出しているという。

ジャパンモビリティショーの出展概要について説明したグローバルマーケティング ブランドマーチャンダイジング担当常務のアリソン・ウィザースプーン氏
ハイパーアーバンの紹介はグローバルデザイン本部シニアデザインダイレクターのジオバーニ・アローバ氏から行なわれた

 ハイパーアーバンについて説明を行なったグローバルデザイン本部シニアデザインダイレクターのジオバーニ・アローバ氏によると、ハイパーアーバンは郊外に住むプロフェッショナルで、環境、持続可能性を優先し、そして生き生きと洗練した方法で自己表現をしたい人たちがターゲットのクロスオーバーEV。

 エクステリアでは時間帯や光の陰影で表情を変えるというライムイエローのボディカラーを基調とし、ヘッドライトからリアコンビネーションランプまでボディサイドを前後に突き抜けるようなブラックのラインをあしらい、そのラインと交差するようにリアフェンダーへと落ちていくハイライトとの組み合わせによって存在感を際立たせた。

 インテリアは都市での生活空間に溶け込むようにデザインされ、万華鏡から着想を得た三角形で構成されたインストルメントパネルやディスプレイに映し出されるHMI(Human Machine Interface)は、オーナーの気分によって演出を変更できるようにした。また、フロントシートのアレンジを変更することで、ソファに座っているかのようなプライベート空間を実現するとしており、実用的でありながらリラックスできる、くつろぎの室内空間に仕上げている。

 また、ソフトウェアを常に最新の状態にアップデートし、必要に応じてハードウェアであるクルマのパーツなどを一新することを可能にしており、より長く、より愛着を持って乗り続けることができるという。例えば、インテリア全体の雰囲気をリフレッシュしたいときには、最新のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)にアップデートしたり、好みにあわせてインストルメントパネルを交換したりすることも可能とした。

 加えてバッテリに蓄えた電力を自宅やオフィスなどに給電できるV2X(Vehicle-to-Everything)機能を搭載。V2Xを行なう際には日産独自の制御コンセプト「Intelligent Charging Management System」が、クルマへの充電や建物への給電をAIによって自律的にコントロールし、電力を効率的にマネジメントするという。

ハイパーアーバン

24K LEDスクリーンやフルカラー天井スクリーンからなる新デザインプレゼンテーションホール

日産テクニカルセンター内に新設されたデザインプレゼンテーションホール

 また、今回公開されたデザインプレゼンテーションホールは、4K×6枚からなる約40mの24K LEDスクリーン、フルカラー天井スクリーン、リモート照明技術、7.1ch音響システムなどを備え、世界中のユーザーが実際にクルマを使用するさまざまな環境を高い精度で再現することを可能にした。日産では同ホールを中心にデザインプロセスのデジタル化をより一層推進し、デザインの質や検討の幅をさらに向上させることで、多様なニーズを満たす商品をよりタイムリーに開発することを目指している。

 従来、クルマのデザイン開発ではデザインの検証を行なうために複数のモデルを製作してきたが、製作期間の長さとコストの課題が伴うため、製作可能なモデルのバリエーション数は限られる。そこで、日産のデザイン部門では5年以上前からVRを活用するなど、デザインプロセスのデジタル化を推進してきた。

 同ホールで投影するコンテンツの製作にはゲーミングエンジンを使うことで、時間による光の変化、天候や自然の要素もリアルタイムに高い臨場感と没入感で再現することができ、デジタル上で製作したモデルをさまざまな市場環境に合わせて検証、確認することが可能になっている。

デザインプレゼンテーションホールについて説明を行なう専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイサ氏

 デザインを決定するプロセスでは、複数のデジタルモデルを実物大で24K LEDスクリーン上に並べ、デザインやカラーの微妙な違いを精度高く再現し比較することができ、モデルの位置やアングルをリアルタイムに素早く切り替えることができるため、より迅速な意思決定が可能になった。実際、デザインプレゼンテーションホールを導入してから35%ほど作業効率が上がったという。

 また、同ホールはオンラインでアクセスできるため、デザインを生み出す場所や時間の制約がない新しいクリエーティブハブにもなる。世界中のデザイナーがリアルタイムでアイデアの共有ができる、インクルーシブでインタラクティブ、柔軟でクリエイティブな環境を実現し、より創造的で魅力的なデザイン開発を目指していく。

実車のアリアを交えながらデザインプレゼンテーションホールについて説明
オンラインでアクセスできることから世界中のデザイナーがリアルタイムでアイデアの共有ができる
車両のデザインのみならず販売店のデザインも行なっているという