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シャープ、プラズマクラスターイオンがドライバーの運転能力を向上 ベトナムでの検証で実証

2024年10月10日 発表

シャープのプラズマクラスターイオン発生機「IG-MX15」

停止距離短縮・滑らかなハンドリング・眠気抑制に効果あり

 シャープは10月10日、プラズマクラスター技術の実車運転中のヒトへの運転能力向上効果について検証を実施した結果、ヒトに対してプラズマクラスターイオンを照射することで、実車運転時において運転能力が向上することを世界で初めて実証たと発表した。

 シャープは、2023年に実施したドライビングシミュレーターを用いた研究により、プラズマクラスター技術で手動/自動運転時の運転能力向上効果(停止距離短縮・滑らかなハンドリング・眠気抑制)を実証している。

 今回は、運転支援研究が専門のハイパーデジタルツイン CEO 伊東敏夫博士(元 芝浦工業大学教授)監修のもと、ドライブレコーダーのGセンサーを用いて実車運転中のヒトへの運転能力向上効果について検証を実施。交通量が多く運転に高い集中力が必要と考えられるベトナム ホーチミン市内において、現地ライドシェア会社の運転手50名に対し、プラズマクラスターイオンを照射することによる実車運転中における運転能力の向上効果を検証した。

 その結果、84%の運転手の急ブレーキ・急ハンドルなどの急動作が減少するとともに、運転手1人当たりの急動作が1日平均約37%減少したことを確認。また、運転手を対象としたアンケート結果から、運転手の約21%で眠気が抑制され、通常より覚醒した状態で運転できたことや、約22%の運転手が通常よりも高い集中力を維持できたと実感していることも確認された。

 今回、実車運転中においても、運転能力向上効果を客観的な評価と、運転手による主観的な評価の両面で確認することができたとして、死亡事故につながりやすいとされる漫然(ぼんやり)運転を、プラズマクラスター技術により抑止できる可能性を示せた今回の研究結果は、大きな意義があると考えられるとした。

 プラズマクラスター技術は、自然界に存在するものと同じ正イオンと負イオンを利用した空気浄化技術で、シャープは20年以上にわたって高い安全性とさまざまな効果を確認してきた。引き続きヒトへの効果やそのメカニズムについて検証を進め、効果の信頼性向上に取り組むとともに、プラズマクラスター技術の新たな分野への応用の可能性について追究していくとしている。

プラズマクラスターイオンによる実車運転中の運転能力向上効果検証の試験概要

試験実施者:シャープ ベトナム現地販売会社、監修 伊東敏夫博士(株式会社ハイパーデジタルツインCEO/元 芝浦工業大学教授)
走行場所:ベトナム ホーチミン市内一般道路
被験者:ベトナムライドシェア会社運転手50名
試験装置:プラズマクラスター技術搭載試験装置
試験条件:
a.プラズマクラスターイオンなし(送風のみ)
b.プラズマクラスターイオンあり
プラズマクラスターイオン濃度:被験者位置約10万個/cm 3 以上

試験方法

 試験装置を搭載したうえで、各運転手に通常通りの業務遂行を依頼。プラズマクラスターイオンなし(送風のみ)の条件で2週間走行後、プラズマクラスターイオンありの条件で2週間走行し、それぞれの条件で走行した期間中に取得したドライブレコーダー(ユピテル製「SN-ST1800c」)のデータおよびアンケートから、運転能力を比較評価した。アンケート内容は、「運転中の車内の空気感」「運転中の操作性」「運転中の気分」「運転中の眠気」「運転中の集中力」の5項目に関して5段階で回答。アンケートは各条件における走行期間中の中間と最後の2回ずつ、計4回実施された。

 なお、各条件の間には、試験装置のない状態で走行するリセット期間を1週間設けたほか、運転手にはプラズマクラスターイオンの有無は伝えない単盲検試験で実施された。

試験の流れ

結果

・客観指標(Gセンサーの動作回数)による評価結果
 送風のみと比較して、プラズマクラスターイオンありのケースにおいて「全体の84%の運転手において、実車運転中の急動作が減少」「運転手1人あたりの実車運転中の急動作が、1日平均約37%減少」を確認した。

客観指標(Gセンサーの動作回数)による評価結果

・主観指標(運転手に対するアンケート)による評価結果
 送風のみと比較して、プラズマクラスターイオンありの際にすべてのアンケート項目において良好な結果を示した。特に「実車運転中、約21%の運転手が眠気の抑制と意識の覚醒を実感」「実車運転中、約22%の運転手が集中力の維持や向上を実感」に関して大きな変化を確認した。

主観指標(運転手に対するアンケート)による評価結果