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ホンダ、2026年3月期第1四半期決算は営業利益49.6%減の2442億円 通期見通しは営業利益7000億円へ上方修正
2025年8月6日 19:37
- 2025年8月6日 開催
本田技研工業は8月6日、2026年3月期 第1四半期(2025年4月1日~6月30日)の決算説明会をYouTube LIVEでオンライン配信した。
第1四半期の連結売上収益は前年同期(5兆4048億5800万円)から1.2%減となる5兆3402億6800万円、営業利益は前年同期(4847億500万円)から49.6%減の2441億7000万円、営業利益率は4.6%、税引前利益は前年同期(5594億7400万円)から47.7%減の2923億3400万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期(3946億6000万円)から50.2%減の1966億7000万円となった。
また、グループ販売台数は、4輪車が前年同期(86万9000台)から3万台減の83万9000台、2輪車が前年同期(506万2000台)から8万1000台増の514万3000台、パワープロダクツ事業が前年同期(82万2000台)から6000台増の82万8000台という結果になっている。
関税影響の精査が進み、為替レートを5円円安に変更して通期見通しを上方修正
決算説明会では最初に、本田技研工業 取締役 執行役常務 藤村英司氏から決算内容の概要について説明された。
第1四半期決算の営業利益が2441億7000万円となった要因としては、2輪事業でブラジルやベトナムでの販売台数が増加し、2輪事業として四半期過去最高の営業利益1890億円を達成。一方、4輪事業では、北米で販売が堅調に推移しつつ、米国での関税影響やBEV(バッテリ電気自動車)に関連する一過性費用を計上したことで、296億円の営業赤字になったことを紹介。
また、2026年3月期の通期見通しでは期初公表の数値から上方修正。売上収益を8000億円増の21兆1000億円、営業利益を2000億円増の7000億円、当期利益を1700億円増の4200億円とした。この理由については、関税影響の精査が進んだことでグロス影響を4500億円に変更し、為替前提で対米ドルの為替レートを135円から140円と5円円安に変更したことを大きな要因として挙げている。
藤村常務は「関税を含む政策変更など先行きは不透明な状況は続くものの、収益体質の改善によりさらなる収益拡大を目指していきます」と述べた。
「EV一過性費用」と「関税影響」を除外した営業利益は前年同水準
決算内容の詳細については本田技研工業 執行職 経理財務統括部長 川口正雄氏が解説。グループ販売台数では、3万台減の83万9000台となった4輪車については、中国を中心としたアジア市場での販売減を要因として紹介。一方で8万1000台増の514万3000台の2輪車販売は、ブラジルを中心としたその他地域での好調が販売に寄与しているという。パワープロダクツ事業は北米、アジアで販売減となったものの、欧州での販売増が上まわって6000台増の82万8000台となっている。
49.6%減の2441億7000万円となった営業利益の増減要因では、北米市場での4輪販売が堅調に推移して販売増となった「販売影響」で1091億円、価格改定の効果などで「売価/コスト影響」で685億円のそれぞれ増益要因となったが、「諸経費」で694億円、「研究開発費」で246億円、「為替影響」で861億円の減益が発生。
このほかに、米国で販売しているBEVに関する損失引当とラインアップ変更に伴うBEVモデルの開発資産の除却を含む「EV一過性費用」で1134億円、米国を中心とした「関税影響」で1246億円が減益要因となっているが、この2項目を除外した場合の営業利益は4822億円と前年同水準になるとの試算も紹介された。
グループ販売台数の通期見通しでは期初発表の数値を維持して、4輪事業で362万台、2輪事業で2130万台、パワープロダクツ事業で367万台を計画している。
ハイブリッドカーで「3電部品」をいかに現地化していくかがポイント
説明会後半に行なわれた質疑応答では、米国で実施されている関税の事業に対する影響について問われたことに対して藤村常務が回答。
「日米合意で関税が25%から15%になったことは、われわれの事業としてはポジティブな影響がありますし、お客さまや、われわれには米国を含む外国人の株主も多いので引き下げられたことはポジティブで、アンクリアだったところがクリアになった点も非常によかったと考えます。関係者の皆さまに心から敬意を表したいと思います。一方で、短期的には適用の時期や遡及の有無といった詳細に関して不明な点も多く、日米間で早く決定して開示いただけるよう政府に対しても要望を伝えているところです」。
「前は(自動車に対する関税が)2.5%だったところが15%になるところに関しては、大きなスタンスとしてはホンダだけではなく、ほかのOEMさんも同様だと思いますが、グローバルでの自由貿易や競争といったものが自由に行なわれることが各国の自動車産業の競争力を育んでいって、ひいては各国のお客さまによい商品をお届けできるということで地域社会のためにもなるという考え方に変わりはありませんし、そのようになってほしいと思いますが、一方でこれがニューノーマルになっていくことも、ある程度想定した考え方をしていかなければならないかなと思っています」。
「ご存じのとおり、われわれが米国販売する車両は60~70%ほど米国の国内で生産しており、現地生産率は高いわけです。もともと“需要のあるところで生産する”ということで進めてきています。前回決算で三部(社長)も申し上げていますが、米国では今は2交代で働いてもらっているところを3交代にするなど、米国工場の稼働率をより高めていくような形で、投資を大きくかけずに生産量を上げていくというところは引き続いてやっていこうと思っていますし、そのためには当然ながらサプライヤーさまも追従していただけなければなりません。そこはサプライヤーさまとも協議しながら慎重にやっていくところです」。
「これから米国においてポイントになっていくのは、ハイブリッドに関して基幹部品を日本から運んでいく部分が大きいので、こうしたところで、われわれが『3電部品』と呼んでいるモーター、バッテリ、PCU(パワーコントロールユニット)をいかに現地化していくかというところがポイントになるかなというところで、いろいろと議論、検討を進めているところになります」とコメントしている。











