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写真で見る トヨタ「ヤリスクロス」(プロトタイプ)
2020年7月23日 12:00
トヨタ自動車「ヤリスクロス」は都市型コンパクトSUV。2019年に発表されたコンパクトカー「ヤリス」の資質を受け継ぎつつ、ブランドの一員に加わることになるモデルだ。なお、今回紹介するのはプロトタイプで、価格をはじめ装備やグレードによる差異など現時点では未公表となっているほか、市販モデルでは細部に変更が加えられる可能性もある。そのあたりは正式発表をお待ちいただきたい。
ヤリスブランドを冠するモデルだけに、基本的なメカニズムはヤリスを踏襲。プラットフォームは「TNGA(Toyota New Global Architecture)」のコンパクトカー向けとなる「GA-B」を採用する。ボディサイズは4180×1765×1560mm(全長×全幅×全高)と、ヤリスと比べると全高はもちろん全長、全幅ともにひとまわり大型化。ホイールベースも2560mmと10mm延長されている。また、SUVならではのポイントとして最低地上高は170mmを確保。130~160mmだったヤリスよりもアップするとともに、アプローチアングルも17°と砂利道や雪道などでも安心して走行できる数値を獲得している。
大型化したボディもあって、外観もボリュームのあるデザインを採用。通常、この手のバリエーションモデルの場合、ベース車からできる限りパーツを流用するのが一般的だが、開発陣によれば「ヤリスと同じ(外装)パーツはコーナーセンサーぐらい」とのこと。それもあってヤリスブランドの一員でありながら、ヤリスとの明確な差別化が実現しているわけだ。
一方、内装に関してはヤリス譲りの仕上がり。インパネまわりはほぼ同様の造形ながら、中央から下を専用デザインとすることでSUVらしさを表現。また、サイドブレーキが手動式から電動式に変更されており、センターコンソールも大きく形状が変わっている。
パワートレーンはハイブリッドとガソリンの2タイプ。ハイブリッド車は1.5リッター直列3気筒エンジンを核としたTHS-II、ガソリンエンジン車は1.5リッター直列3気筒エンジンを搭載する。詳細スペックはどちらも現時点では非公表となっているものの、ベースのヤリスと大きく変わることはないはずだ。
注目したいのは4WDシステムで、ハイブリッド車には「E-Four」、ガソリンエンジン車には「ダイナミックコントロール4WD」を採用。E-Fourは「プリウス」譲りのシステムとなるが、悪路など滑りやすい路面で効果を発揮する「TRAIL」モード、雪道でスムーズな発進をサポートする「スノーモード」を搭載。ダイナミックコントロール4WDは「RAV4」譲りのシステムで、「ノーマル」「マッド/サンド」「ロック/ダート」と3つのモード選択が可能な「マルチテレインセレクト」が用意される。また、滑りやすい下り坂などで利用できる「ダウンヒルアシストコントロール」も搭載している。
目立たない部分ではあるものの、ブレーキもヤリスより強化されている。標準ホイールサイズが16インチとなったことで、フロントのブレーキローター径を1インチアップしたほか、リアもドラムからディスクへ。走行シーンを選ばない安定したブレーキ性能を手に入れている。
先進安全装備はミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を搭載。クルマや自転車、歩行者との衝突回避をサポートするプリクラッシュセーフティはもちろん、車線の中央維持をサポートするレーントレーシングアシストなどを装備。さらに、ヤリスからの進化点としてレーダークルーズコントロールが全車速追従機能付となったほか、横風に対応した車両安定化システム「S-VSC」をトヨタ車として初搭載しているのも見逃せないポイントとなる。
現時点で判明しているグレードはハイブリッド車が「HYBRID Z」「HYBRID G」、ガソリンエンジン車が「Z」「G」の各2タイプ。ヤリスではベーシックグレードとして設定される「X」が用意されるか否かは不明となっている。