レビュー
【タイヤレビュー】トーヨータイヤの新プレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport 2」をドライ&ウェット路面で試す
2023年4月14日 09:15
欧州車との相性も良い
プレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport 2」のレビューに続き、TOYO TIRE(トーヨータイヤ)の新しいプレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport 2(プロクセス スポーツツー)」について紹介しよう。
フラグシップタイヤであるPROXESシリーズは、1991年に日米欧で発表、1993年にはポルシェの承認マークも得て技術の高さを証明している。その後も進化を続けて同社のプレミアムタイヤとしてサイズを拡大し、国内メーカーの上級車種にも採用実績が多くある。
まず周回路でアウディ A4に履かせた従来モデルの「PROXES Sport」を試乗する。タイヤサイズは225/45R18。縦溝を主としてカット溝を入れたオーソドックスなパターンだ。高速では少し突き上げ感があるがダンピングも強めで、スポーツタイヤらしく収束は早い。
細かい凹凸では少しざらつく感触があるが、高速域でのハンドル応答性や追従性、追い切り性などもプレミアムスポーツらしい仕上がりだ。TOYO TIREの製品らしくバランスの取れた性格は誰でもなじみやすい。
新しいPROXES Sport 2は、軽いスラロームを行なった時のハンドル追従性が向上して応答遅れが少ない。しなやかなフィーリングでセンターフィールを鈍く設定しており欧州車との相性も良い。
ハンドルに力が入るか、入らないかの微妙なところから手応えを感じつつ、タイヤはジワリとコーナリングパワーを出していく。タイヤプロファイルの変更や構造でタイヤ剛性が上がっているがゴムとの相性が良くしなやかに感じる。
低速での乗り心地はあたりが強めだが、速度を上げていくとピタリとフラットな味付けになる。速度レンジの高いクルマに合わせられた作り込みだと感じた。
興味深いのはトレッド面のOUT側とIN側でコンパウンドを変えていることだ。シリカを使っているのは同じだが、OUT側はポリマーも凝縮して使ったいわゆる硬いゴムで、IN側はシリカを分散させた柔軟なゴムでウェットとコーナリングでの剛性をバランスさせている。合わせてシリカ効果で転がり抵抗も小さくなり、燃費向上に役立っている。
ウェット路面での安心感はかなり違う
一方、ウェットハンドリング路ではFRのBMW 3シリーズを使用した。タイヤサイズは225/45R18になる。従来のPROXES Sportもウェットでの癖がなく。FRの3シリーズではもう少しリアが流れるかと想像していたが、予想以上に素直な反応はさすがにフラグシップタイヤと改めて感心した。
新しいPROXES Sport 2で特に制動時の安定性と制動力に違いを感じたのは、タイヤの接地面積と新しいコンパウンドの相乗効果だ。また、プロファイルが変わりコーナーやブレーキでのタイヤ変形が小さくなったことも大きいようだ。ブレーキではPROXES Sportではぎりぎりで滑りそうだったものがPROXES Sport 2だと少し余裕をもって制動する。次の周でさらに奥で強く踏むとさすがにスリップしそうになるが、回復するのが早く、安心感はかなり違う。
またターンインでは応答性が早く、旋回中のグリップ変化も少ない。PROXES Sportでは少し修正舵を使うことがあったが、PROXES Sport 2ではほとんどなく、ウェットでの姿勢安定性が高いことが確認できた。
PROXES Sport 2への進化は落ち着いたスポーツタイヤを求めるユーザーに歓迎されるだけでなく、その性格は欧州車への適合もよさそうだ。サイズは60扁平から35扁平までのハイスピードレンジに合わせたレンジで23サイズが用意されている。