レビュー
【タイヤミニレビュー】ブリヂストン「レグノ GR-X III」をいち早く体験 快適性に加えスポーティな性格も持ったコンフォートタイヤに
2024年2月2日 07:10
これまでのレグノより10%ほど軽くなったGR-X III
「REGNO(レグノ)」といえば静粛性というブリヂストン・コンフォートタイヤのトップブランドだ。1980年代に登場し時代のニーズに合わせた展開をしてきたが、新しい「REGNO GR-X III(レグノ ジーアール クロススリー)」はBEV(バッテリ電気自動車)のような重量級にも対応できる、さらに静粛性を追求したタイヤだ。
もう1つ画期的なことは新しい技術コンセプトで作られた乗用車用初のリプレイスタイヤであることだ。モジュラー化することで開発時間とコストを下げ、高付加価値タイヤにも汎用タイヤにも応用できる生産技術であるBCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture)と、ブリヂストンの商品開発基盤技術である「ENLITEN(エンライトン)」によって目標としたタイヤ性能を早く正確に作り上げることが可能となった。環境性能に貢献する技術としては余分な部材を使わない軽量化も可能となった。サイズにもよるが、これまでのレグノより10%ほど軽いという。
レグノユーザーは快適性はもちろんだが、シッカリした走行性能を重視するユーザーも多数存在する。さらにサステナビリティも重要視されるのが世の中の流れだ。GR-X IIIは今の時代にそって誕生したモデルとなる。基本的には欧州、米国でOE装着が多い「TURANZA(トランザ)」に似た性格を持っている。
よりスポーティな性格も持ったコンフォートタイヤに進化
そのGR-X IIIの発表会の会場では後席での体験試乗をすることができた。20分ほどで皇居のまわりを走る一般道だが、試乗車は静粛性の高いBEVのBMW「i4」を選択した。タイヤはフロント:245/40R19、リア:255/40R19を装着する。
発表会場から最初に遭遇したのは微低速での段差乗り越しだ。タイヤのトレッド面の張りは感じるが、タイヤ全体でショックをうまく吸収して重量級のi4でも十分な剛性が感じられるのがファーストインプレッション。
またBEVは内燃機の音や振動がない分、風切り音とかロードノイズが入りやすい。クルマにとっては遮音性が問われ、タイヤにとってはパターンノイズやロードノイズが耳に届きやすい。後席はCピラーを伝わる音が入りやすく、タイヤが発する音を聞くには好都合ともいえる。皇居を周回するコースではタイヤのパターンノイズは静粛性のレグノを謳うだけあってゴー音はほとんど聞こえない。ストレートパターンの特徴が良く表れている。
説明ではパターンノイズ抑制の消音機能を持つ斜めサイプを配置し、共鳴音を減少させていると言われる。確かに微妙な音まで消されているのは溝の深さ方向も3D構造で形成されているからだろう。タイヤノイズでよく言われる気柱管共鳴音の低減効果もあると言われる。一見、ストレートグルーブのみが目を引くが、サイプの微妙な形状にノウハウが詰め込まれている。
一方、ロードノイズでは制音性の高いコンパウンドを採用し、タイヤが路面をたたく振動を抑え、合わせてタイヤケーシングも新開発で共振による音の発生を抑えている。BMWは車体側での遮音もしっかりしているが、ロードノイズは不可避的に出るので後席の耳元ではある程度の音圧を感じるが、レベルは良く、後席からの会話が乱されることはなさそうだ。
乗り心地は荒れた路面でのタイヤの当たりは強めだと感じたが、上下動はそれほど大きくなく、パッセンジャーに不快感はない。逆に路面のインフォメーションがしっかり伝わってくるところが好ましい。新開発のタイヤケーシングでスッキリとした乗り味となっている。
ハンドリングは実際にステアリングを握ってからレポ―トしたいが、後席からドライバーのハンドル操作を見ていると応答遅れが少なく、合わせてヨー収束もしっかりしているように感じられた。静粛性の高さと合わせて快適な20分ほどのドライブだった。
従来の「GR-X II」と比較すると乗り心地や音に優れているだけではなく、よりスポーティな性格も持ったコンフォートタイヤに進化して、ブリヂストンらしいバランスの良い新しいレグノの誕生を感じさせた。