レビュー

【タイヤレビュー】グッドイヤーのSUV向け新製品「アシュアランス マックスガード SUV」はバランス感覚のいいタイヤだ

グッドイヤーのSUV向け新製品「アシュアランス マックスガード SUV」に乗る機会を得た

 グッドイヤーから発売されたミドルサイズSUV用タイヤの「アシュアランス マックスガード(ASSURANCE MAXGUARD)SUV」を試してみた。

 このタイヤはおよそ10年ほど販売されていた「エフィシェントグリップ(EFFICIENTGRIP)SUV HP01」の事実上後継モデルで、現在のところ15~19インチまでの27サイズをラインアップしている。

グッドイヤーのミドルサイズSUV用タイヤ「アシュアランス マックスガードSUV」

 商品のポジショニングとしてはあくまでもベーシックモデルといった位置付けであり、上にはコンフォート系の「エフィシェントグリップ(EFFICIENTGRIP)2 SUV」、さらに上にはプレミアムスポーツの「イーグル(EAGLE)F1 アシメトリック(ASYMMETRIC)3 SUV」が存在する。

 けれども、ベーシックモデルとはいえコンセプトはなかなか欲張りであり、近年の重量級SUVに対応すること、そして旧製品に対して静粛性をさらに高め、加えてウエット性能も狙っているという。

アシュアランス マックスガードSUVのポジショニング
アシュアランス マックスガードSUVの性能バランスイメージ

 静粛性を達成するために取り組んだことは、トレッド面に角の取れたブロックとノイズ低減のリブを配したことだ。センターリブにも剛性調整のサイプが刻まれるほか、外から2番目のリブには縦溝から発生する気柱管共鳴音の広まりを低減。

 また、そのほかのブロックにもウエットの水膜を切ることを目的としたマルチバインディングエッジを備えているため、ブロック単体の剛性はそれほど高くはないように見受けられる。一方で、重くなりつつある現代のSUVに対応するため、2プライ構造で強力なスチールベルトパッケージも採用している。

角度の付いたブロックでノイズ(エアポンピング音)を低減。リブより幅の狭い溝によって空気の放射を防ぎ、溝の気柱共鳴音の広まりを低減した
シリカを配合した「ActiveGripキャップコンパウンド」を採用し、水の層をより効率的に切るほか、ゴムの優れた物性と粘弾性によって濡れた路面でもしっかりグリップしてくれる

 これらの対策によりトレッドが路面に叩きつけられる際に発生するノイズを大幅に低減。旧製品に対してパターンノイズは27%、ロードノイズは30%も下がっているという。

 それに、こうした細かな溝が多くあるためか、ウエット性能も向上。シリカを配合したActiveGripキャップコンパウンドのおかげもあり、こちらは旧製品に対して6%短く止まれるようになったそうだ。ちなみに低燃費タイヤのグレーディングでは燃費性能がB(5段階中上から4番目)、ウエット性能はb(4段階中上から2番目)となっている。

トヨタ「ハリアー」のハイブリッドモデルで試乗してみた

 そんな「アシュアランス マックスガード SUV」を、トヨタ自動車のハリアー(ハイブリッドモデル)に装着して走り出すと、まず感じるのはステアリングのシャープな応答だった。細かく刻まれたトレッドパターンを見ると、オンロードではどこか頼りなく感じてしまうところがあるが、その印象とは裏腹にキビキビとした反応を見せてくれるのだ。

 乗り心地が若干硬質な印象もあるから、おそらくは高剛性化したというケース剛性がそんな印象をもたらすのだろう。乗り心地は旧製品の柔らかな印象とは異なり、入力を即座に収束するようなタイプ。

まず感じるのはステアリングのシャープな応答だった

 高速道路の継ぎ目や荒れた路面を受けると、いつまでも揺らいでいるようなことはない。たしかにこれならハイブリッドやBEV(バッテリ電気自動車)になって大きく重くなったSUVでもしっかりと受け止めることができるだろう。

 静粛性についてはたしかに穏やかだ。荒れた路面であったとしても、しなやかに収束している感覚がある。今回の試乗では度々モーター走行するシーンがあったのだが、その際にもノイズをさほど感じることなく駆け抜けることが可能。エンジンがかかってしまえば、ほとんどタイヤの存在を気にするようなことはなくなるだろう。

荒れた路面でもしなやかに収束して、静粛性も穏やか

 正直なところ、これといって飛び抜けたところはないのだが、それこそが素晴らしいとも思えた。あくまでもSUV向けのベーシックモデルである「アシュアランス マックスガード SUV」という立ち位置を考えると、これはなかなかバランスしているタイヤだ。

 もちろん、硬質に感じる部分は「エフィシェントグリップ2 SUV」を選べば解消できるだろうし、よりスポーティに走りたいのであれば「イーグルF1 アシメトリック3 SUV」という選択肢がある。だが、そこまで求めないのであれば「アシュアランス マックスガード SUV」は十二分な存在だと感じた。

操縦安定性、ウェットグリップ、静粛性などが、なかなかいい塩梅でバランスしているタイヤだと感じた
サイズラインアップ
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:堤晋一