トピック

大画面有機ELカーナビ「ストラーダ」がジムニーオーナーに選ばれる理由とは? 開発者が語る7つのこだわり抜いたポイント

パナソニックのカーナビ「ストラーダ」が軽自動車のコクピットを大幅にグレードアップしてくれる

20年の歴史とともに進化し続けてきた「ストラーダ」

 フローティング構造をいち早く取り入れることで、限られたスペースでも最大10V型という大画面化を可能にしたパナソニックのカーナビゲーションシステム「ストラーダ」。フラグシップの「F1X PREMIUM10」は、スイング機構による首振りとフレキシブルな角度・位置調整も可能で、国産車500車種以上に取り付け可能な適合車種の幅広さも特徴だ。

 そんなストラーダを近年、コンパクトながら高い走破性を誇るスズキ「ジムニー」に取り付けるオーナーが増えているという。軽自動車であっても大画面ナビのニーズは高いようだが、選ばれる理由は「地図がよく見える」ということだけではなさそうだ。

軽自動車でありながらSUV&クロスカントリーなスタイルと高い走破性が特徴のジムニー。カスタマイズを楽しむユーザーも多い
軽自動車のインテリアにもフィットする10V型のストラーダ。コンパクトな室内だけに大画面の存在感は大きい

 ストラーダが誕生して20年、長い歴史のなかで受け継がれてきた大画面だけにとどまらない機能や性能、ユーザーの使いやすさを考えた細かやな気配りが人気の秘密なのかもしれない。他のカーナビとはどう違うのか? 開発・設計に携わったパナソニックオートモーティブシステムズ 村田秀覚氏の話を交えながら改めてそのこだわりに迫ってみたい。

業界唯一、有機ELディスプレイの画質へのこだわり

ストラーダのラインアップ。10V型でBlue-rayディスクにも対応するフラグシップモデル「CN-F1X10BGD」
10V型有機ELを採用するDVDモデル「CN-F1X10GD」
9V型高精細HD液晶を搭載した「CN-F1D9GD」
7V型高精細HD液晶の「CN-HE02WD」

 ストラーダの最新フラグシップは「F1X PREMIUM10」と呼ばれるモデル。10V型の大画面に業界で唯一(※)となる有機ELディスプレイを採用し、従来の液晶にはない画質の美しさが特徴となっている。村田氏が1つ目のこだわりと話すのは、この有機ELディスプレイに表示する画像の絵作りの部分だ。

※市販向けAV一体型カーナビとして。2024年1月現在。パナソニック オートモティブ調べ。

パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 インフォテインメントシステムズ事業部 村田秀覚氏

 同氏によると、有機ELは「本当の“白”を出せる一方で“黒”を際立たせることもでき、くっきりとしたコントラストが得られる」など、鮮やかな発色やコントラストが特徴の1つ。ただ、そういった有機ELの素の性能に頼るだけでは、地図以外にDVD/Blu-rayや地デジのようなエンタメ映像も扱うストラーダにおいて必ずしも常に最適な画質になるとは限らない。「たとえば動画に合わせた絵作りで地図を表示すると、色合いがギラギラし過ぎて見にくくなってしまう」のだという。

 そのため同社では、人物、風景、果物などさまざまな被写体が含まれる数十パターンのサンプル映像をもとに、Blu-ray再生や地デジ受信といった各モードごとにそれぞれの特性に合わせて適した色合いを再現できるよう画質調整している。パナソニックといえばテレビ製品のビエラで知られるが、その開発で長年培ってきた絵作りのノウハウも取り入れているのだとか。

大画面で美しい有機ELディスプレイを採用

 地図についても昼用と夜用それぞれに「道路強調」「ハイコントラスト」など見栄えの異なる4種類、計8種類の画面モードが用意されており、しかも2Dと3Dの表示切り替えもあるため、これらについても1つ1つ画質パラメーターを調整。道路や文字など細かな情報が詰め込まれている地図だが、それらの情報がどのモードでも見やすくなるような配色の工夫、画質カスタマイズが徹底的に施されているのだ。

昼モード4種類と夜モード4種類、合わせて計8種類あり、それぞれで配色を工夫している
道路強調(昼モード)
クラシック(昼モード)
ハイコントラスト(昼モード)
さらに3D表示も備える。どのモードも見やすさにこだわって画質調整している

映像の見栄えと操作性を両立させる低反射フィルムへのこだわり

 ディスプレイまわりでもう1つ、「時間をかけて選び抜いた」と村田氏が話すのが、表面に貼られたフィルム。この部品は太陽光などの映り込みを抑えるとともに、画面タッチ時の操作性にも大きく関わってくる部分だ。

ディスプレイに貼られている低反射フィルムも何種類もの素材から選び抜いたという

 そうしたことからF1Xでは、何度も検証を繰り返して複数メーカーの20種類以上ある素材のなかから選定した「AGAR(低反射)フィルム」を採用した。「光沢のあるフィルムだと映像の見栄えはよくなるが、指が滑りにくくなって操作性が低下してしまう。反対にざらざらしたフィルムは滑りがよくなり操作性が向上するが映像は見にくくなる」とし、「これらの相反する性能をバランスよく満足するもの」として現在のフィルムを選択したとのこと。

 有機ELディスプレイの内部構造において「空気層を完全になくした」ことによる映り込みの少なさもあるが、そのうえで低反射フィルムも併用することで、「光を直接当てても白く見えたりしない」ほどの低反射を実現している。

ディスプレイとAGARフィルムの仕組み(※)

 また、さまざまな検証の結果、光の映り込みによるちらつきによって、画面を見ていると車酔いを感じやすいことが分かっており、低反射フィルムはその防止にもなる。後述する画面の物理的な揺れに対策するだけでなく視覚的な「揺れ」も抑えることで実用時の快適性を高める、といったこだわりもこの有機ELディスプレイには詰まっているのだ。

焼き付きせずに長く使えるディスプレイの品質と耐久性へのこだわり

 ところで有機ELといえば、同じ映像を長時間表示し続けた場合に「焼き付き」が起きやすく、それによって残像のようなものが常に見えてしまう問題があることで知られている。映像に変化の少ないカーナビで使うのは不安に思う人もいるかもしれないが、ストラーダでは当然ながら、そこに対してもきちんと対応済みだ。

有機ELの弱点である「焼き付き」にもしっかり対策している、と自信を見せる村田氏

 村田氏によれば、映像が変化していないように見えても、ピクセル単位のユーザーが気付かないレベルで微妙に映像を動かす基本的なテクニックを用いている。さらには、黒に近い色ほど焼き付きやすい特性を考慮し、ボタンなどの要素をあえて背景透過させて表示する、といったデザイン上の工夫も加えているという。

常に表示位置が決まっているボタンは、透過させることで焼き付きを防いでいる

 ストラーダの有機ELモデルは2020年に初めて発売したが、「耐久性は特に力を入れて評価・検証してきた部分」とのことで、有機ELの寿命の面で心配することもなさそうだ。

柔軟な調整と揺れを抑えた大画面を実現するフローティング構造へのこだわり

 ストラーダの最大の特徴といえば、やはり独自のフローティング構造。ディスプレイ部をコンソールに収めるのではなく、手前に浮かせることで大画面を実現したこの仕組みは、今や他社カーナビも採用する1つのトレンドとなっている。しかしながら同じフローティング構造でも、ストラーダには他社が真似しにくい技術的アドバンテージがある、と村田氏は語る。

 フローティング構造のカーナビにおいては、とにかく「振動」が一番の大敵だ。なぜなら、振動によって画面が細かく揺れると視認しにくくなり違和感につながるうえ、車酔いもしやすくなってしまうから。アームなどで手前側に突き出している分、クルマの振動を拾ってしまいやすく、それに対抗するためにはヒンジの可動部分を減らし、頑丈に固定すればいい。

左右には15度の首振りが可能なスイング機構を備える
上下スライド機構も完備

 対してストラーダは、左右方向の首振りが可能なスイング機構を備えたうえで、前後方向の角度調整、スライドによる上下の位置調整、さらには取り付け時の奥行き調整まで可能になっている。ここまで柔軟な調整機能があると振動の影響が大きくなってしまいそうだが、実際には「画面揺れはきっちりと抑え込んでいる」と村田氏。

前後方向の角度調整も可能。後ろ方向へは約20度動かせる
大きく手前に向けるとBlu-rayドライブやSDカードスロットにアクセスできる

 その理由は、独自の技術でヒンジを頑丈な構造にしているのは当然として、有機ELによるディスプレイの軽量化によるものだ。自発光するためバックライトが不要で軽く、薄く設計しやすい有機ELディスプレイであることが、耐振動の面で有利に働いている。また、高剛性かつ軽量なマグネシウム合金をフレームに採用し、ハニカム構造を取り入れることで強度を高めている。

マグネシウム合金のフレーム。ハニカム構造とすることで強度だけでなく放熱性も高めている

 重量物になる部品をできるだけコンソール側に収め、ディスプレイ部は軽くする。そうすることで揺れを抑えた大画面を実現し、さらには先ほど説明した低反射ディスプレイのおかげで視覚的な揺れも低減しているわけだ。

有機ELディスプレイの内部は、バックライトなどの部品を省けるため、その分薄く、軽くできるのが特徴の1つ

画面操作を快適にするインターフェースへのこだわり

 カーナビとしての快適さは、ハードウェアの処理能力が関係するのはもちろんのこと、ソフトウェア側の作り込みにも左右される。ストラーダでは高速CPUを搭載するとともに、指滑りのいいフィルムによって地図の拡大・縮小、スクロールなどの操作性を高めている。しかし、どれだけスムーズな操作性を実現していても、それに画面(データ)表示が追いつかなければ意味がない。

 たとえば地図を素早くスクロールしたときにデータのロード(読み込み)が間に合わなくなる現象、通称「白欠け(地図が表示されない状態)」が発生するとユーザーはストレスを感じてしまう。そこで同社では、アルゴリズムに工夫を施した「ダイレクトレスポンスII」によってスマートフォンのような操作感を実現した。簡単にいえば、まだ表示していない部分をどれだけ先読みするか、というチューニングにもこだわったわけだ。

中央部の四角を画面とした場合、表示されていない画面外の地図データもあらかじめ読み込み、素早くスクロールしたときに読み込みが間に合わず白欠けしてしまうようなことを防いでいる

 カーナビは昨今のパソコンやスマートフォンのように記憶領域(メモリ)を潤沢に備えているわけではない。限られたリソースのなかで、できるだけ地図表示の遅延をなくし、いかにユーザーに違和感を抱かせないようにするかが肝。ソフトウェア処理にはカーナビ開発における長年のノウハウから得たテクニックを盛り込み、ストラーダのHD画質の高解像度地図であっても最近のスマートフォンのようなサクサク操作を達成している。

 とはいえ、スマートフォンと同じ操作方法が必ずしもカーナビでも快適であるとは限らない。カーナビ画面はどうしても腕を伸ばして操作することになるため、スマートフォンのようなスワイプ、ピンチイン・アウトのような操作がしにくい場合もある。

カーナビでもスマートフォンのようなストレスのない操作を実現した、と説明する村田氏

 そうしたことから、たとえばピンチ操作だけでなくシンプルなダブルタップや2点タッチの操作でも地図を拡大・縮小できるようにするなど細やかな配慮がなされている。慣れ親しんだスマートフォンの操作性を目指しつつも、カーナビとして最適なインターフェースがどうあるべきか、というところにもこだわって作り込んでいるのだ。

ピンチ操作が難しい場面では、代わりにダブルタップや2点タッチによる拡大・縮小も可能としている

車載カーナビならではのきめ細かいナビゲーションへのこだわり

 スマートフォンのカーナビ機能の進化は著しい。しかし、ストラーダのような車載カーナビならではの機能もいまだ少なくない。なかでも代表的なのは、ご存じの通り、クルマの車速センサーなどと連携した正確な位置表示だ。村田氏いわく「トンネル内の分岐など、GPS信号を受信できない場面でも正しいタイミングでナビしてくれる」のは大きな利点といえる。

 そのうえでストラーダでは、車載カーナビの価値をさらに高める「ストラーダロケーションシステム」を実装している。これによって可能になっている機能の1つが、内蔵のジャイロセンサーや地図に含めた標高データなどを活用することによる高精度な「上下判定」。国内の一般道路と高速道路の高低差データも網羅しており、2つの道路が並行しているような場所でも、ストラーダなら道路の傾斜などを認識してどちらの道路を走行しているかを正しく判定してくれる。高速道路を走っているのに一般道のナビモードでルート案内されてしまって戸惑う……みたいなこともなくなるのだ。

重なるようにして並走する2つの道路でも、どちらを走行しているのかも精度高く判別する
上下センサーと道路の標高情報を活用したアルゴリズムを採用し、正確な自車位置をキープする

 加えて、地図データにない敷地内の駐車場における自車位置も精度高く表示する機能をもつ。たとえば大型ショッピングモールの広い平面駐車場や立体駐車場を走行しているのに、誤差と見なされて周辺の道路にいると判定されてしまうような問題を解決してくれる。

 同じ駐車場を利用するほど、その付近における精度が高まる仕組みになっているのも面白いところ。駐車場利用後、自車位置が正確に反映されず、一般道に出るときに左右どちらに曲がればいいの分からない、といった困ったシチュエーションも減るはずだ。

地図データにはない駐車場内を走行しているときでも自車位置が正確に反映される

 また、ストラーダでは「道幅優先」の設定も5段階で行なえる。あらかじめ「道幅優先」を“狭”に設定しておけば、狭い道路もルート案内しやすくなる。これも地図データに道幅に関するデータが含まれているからこそ可能な機能。ジムニーのようなコンパクトな軽自動車であれば、少し狭い道であっても余裕をもって通り抜けられ、最短距離のストレスフリーな移動が可能になるだろう。

道幅や渋滞回避など、ルート探索の条件を自分好みに設定できる「ストラーダチューン」

Blu-rayやテレビなどのエンタメ機能とサウンドへのこだわり

 充実のエンタメ機能もストラーダの大きな魅力。F1Xでは地デジ(フルセグ、ワンセグ)受信が可能なほか、DVDやCDの再生、USBメモリやSDカードに保存している動画・音楽の再生、スマートフォンとのBluetooth接続によるオーディオ再生にも対応している。また、F1X最上位の「CN-F1X10BGD」ではBlue-rayディスクで映画なども楽しめる。

DVD/Blu-rayディスク、地デジ、Bluetoothによる音楽再生など豊富なエンタメ機能を備える

 なかでも地デジは以前からユーザーに利用される頻度の高い人気のエンタメ機能で、「モデルチェンジするごとに進化させている部分でもある」と村田氏。チューナーまわりにその時点でベストな新パーツを採用するなどして受信感度を高め、高画質なフルセグで受信できる範囲を広げたり、ノイズを低減したりしているという。ドライブし始めたときはフルセグだったのに、途中からいつのまにか低画質なワンセグで表示されていた、といったような現象も確実に少なくなっているとのこと。

 テレビ番組を楽しむという意味では、自宅のレコーダー機器と連携する「レコーダーリンク」機能も便利だ。スマートフォンの通信機能を利用して実現している機能で、レコーダーはパナソニックだけでなく他社製品にも対応する。レコーダーで受信・録画しているリアルタイムの放送や録画番組を車内で再生できるので、ストラーダ自体の地デジ受信機能では見られない過去の番組やBS/CS放送の視聴も可能になる(一部視聴できない番組もあり)。市販のリアモニターを後席に設置すれば、クルマ移動が退屈な子供たちも大満足間違いなしだ。

自宅にあるレコーダーで受信・録画した番組を車内でも楽しめる

 そして、これらエンタメ機能の満足度をさらに高めるのに一役買っているのが、ストラーダに込められた音へのこだわり。ハイレゾ音源を実現する高品質なプロセッサーを採用するとともに、音の歪みやノイズを極限まで低減するべく音質に関わる各種パーツを選び抜いている。そのうえで、音のプロがチューニングを施した「音の匠」によって、車内であっても「いい音」で聴けるポテンシャルを備えているのだ。

音のプロがチューニングを手がけた「音の匠」により、車内でも臨場感あるサウンドを堪能できる

 また、パナソニックの前後2カメラドライブレコーダーとの連携にも対応する。ドライブシーンを状況に応じてしっかりと保存し、ナビでのHD再生が可能。また、駐車中に振動などがあったときに自動で録画する「駐車録画モード」も搭載している。

パナソニックのドライブレコーダー「CA-DR03HTD」と連携することで常に安心してドライブできる
約200万画素のCMOSイメージセンサーを搭載し、HD再生にも対応しつつ暗いシーンも録画可能としている

2024年度版新地図搭載の新モデルが登場

 こうして特徴となる機能や性能を並べてみると、ストラーダがハードウェアの中も外も、さらにはソフトウェアの細かな部分にいたるまで、車載カーナビならではの強みをひたすら磨き、進化してきていることが分かる。

 最新モデルのストラーダは2024年度版の新地図も搭載(2023年11月メーカー出荷分から。収録データは一部を除き2023年4月の情報)しており、最近開通した新道路などをルートにした一層効率のよい移動も可能になっている。もちろん、ストラーダの従来機種を所有しているユーザーも最新地図への無料アップデート(最長3年間対応・期限は機種ごとによる)が可能だ。スマートフォンや他のカーナビにはないこだわりと、それによる便利さを、ぜひとも体感してほしい。

2023年3月に開通した河津桜トンネル(静岡県賀茂郡河津町)など、最新の地図データが収録されている

Photo:高橋 学