トピック

使って分かったパナソニックの最新型カーナビ「ストラーダ」の進化 新型プラットフォームを熟成させて究極のエンタメ×カーナビになっていた

実際に最新型ストラーダをインストールしているクルマで使い勝手をチェックしてみた

新しいストラーダとともに実際の道路へ

 パナソニックのカーナビ「ストラーダ」の2022年モデルが12月に登場する。ここ数年ストラーダは毎年大きな変化を遂げていて、前回は新たな「レコーダーリンク」機能の追加やナビのブラッシュアップなど、進化のポイントについて開発チームにいろいろと聞いてみたが、百聞は一見に如かず。やはりカーナビはポテンシャルはもちろんだが、実際の使い勝手が重要。早速、新しいストラーダ「CN-F1X10BGD」を装備したクルマでドライブへと繰り出してみた。

 まずは機能のチェックから。新ストラーダが立ち上がって真っ先に目にする鮮やかな画面。有機ELならではのくっきりしたカラーと、しっかりと深みのある黒が特徴だが、スマートフォンのような高画質が車内で再現できていることにまずは驚く。

 画面はクリアな光沢仕上げ。AGAR(アンチグレア・アンチリフレクション)低反射フィルムとエアレス構造を採用したHDブリリアントブラックビジョンによる締まった画像は、ストラーダならではのもの。

西日の挿し込む夕方でも、ストラーダの有機LEディスプレイは鮮明でくっきりと画像を映し出す

 日光の差し込む角度が連続的に変化する車内。特に寒い時期の西日は太陽の角度が低く、カーナビ画面に反射して見にくくなるシチュエーションだが、新しい有機ELの基本性能が高く、どんな方向から光が差し込んできてもしっかりと見えるから安心感がある。

新搭載のレコーダーリンク機能なら車内のエンタメ能力が向上

 レコーダーリンク機能はメニューから選び、見たい録画番組を選んで再生するだけ。自宅のレコーダーを使う感覚と同じだ。BS/CS放送の受信についても同様で、同じように放送局を選んで視聴できる。

スマホを介して自宅のレコーダーとカーナビを接続。BS/CS放送については契約にかかわらず視聴できない番組もある

 再生操作はこれだけ。最初にスマホのアプリに自宅のレコーダーを登録しておき、そのスマホが車内にあれば使用できる。ただし、外出先では別のスマホに新たに自宅レコーダー登録することはできないので、必ず登録したスマホが車内にあることが必須となる。

再生する動画はレコーダーの階層メニューと同じようにたどっていく(レコーダーのメーカーや機種によって表示内容は異なる)
レコーダーリンク機能による映像再生中。有機ELディスプレイだから美しさも際立つ

 映し出される画質は「きれい」のひと言で、有機ELならではの締まった黒。そして、鮮やかな色表示によって反射や映り込みはうまく抑え込まれている。カーナビの映像というと比較的粗めの液晶と、表面には感圧式のタッチパネルセンサーをまとっていることが多かったため、クリアな光沢画面のテレビに比べると、若干ぼやけてしまう印象を持つ人もいるかもしれないが、有機ELのストラーダは昔のカーナビの印象を覆すほどクリアできれいだ。

 ただし、今回は遭遇しなかったが、あくまで通信を利用しているので通信が不安定になった場合、一時的に画質が落ちることもあるという。また、レコーダーを置いている自宅のインターネット回線の安定度も関わってくる。レコーダーリンクをより安定して楽しむなら、通信回線にもこだわったほうがよさそうだ。

Bluetoothを使ったスマホの持ち忘れ機能が便利

 レコーダーリンクでは設定したスマホがないと動作しないが、その副次的効果というべきか、スマホの持ち忘れを防ぐ機能にもなっている。

 この機能はスマホを車内に置き忘れるのではなく、反対に車内に持ち込み忘れを防止することになるもの。たとえば、出先のレストランにスマホを置き忘れた場合、クルマの発進時にクルマに持ち込んでないことが分かるため、発進前に気づくことになるからだ。

 もちろん、自宅からの出発時にスマホの持ち忘れを防止することにもなる。実は開発者も便利に使っているというこの機能、ぜひ、ストラーダオーナーになった場合は、レコーダーリンクにかかわらず設定しておいてほしい機能の1つだ。

スマホを持ち込み忘れていると画面表示と音声でお知らせしてくれる

驚異的な速さの目的地検索と5ルート探索

 いよいよ実際に目的地を入力してドライブを開始。一般的にはカーナビも以前に比べればプロセッサ性能が上がっており、ストレージもHDDからフラッシュメモリになり、動作は格段に速くなっている。しかし、ストラーダのダイレクトレスポンスIIが期待を大きく超える爆速表示を可能としている。

【パナソニック】AVナビ「ストラーダ」最新モデル 超速い目的地検索~5ルート探索(46秒)

 たとえば、カーナビによくある5ルート探索。高速道路や一般道路など計5つのルートを提案して、そこから好きなルート選ぶという方式だが、もちろん5つのルートを計算するので処理時間は単純に5倍近くかかるはずだが、ストラーダの場合はあっという間。

 試しに横浜から鹿児島までのルートを探索してみると、1300kmを超える道のりの一般道優先でもパパパっと表示され、まさに一瞬でルート探索が完了する印象だ。こんな極端な距離のルート探索をすることはほとんどないだろうが、休日のドライブ程度なら、それこそ瞬く間に5ルート探索は完了する。

近場でも遠方でも5ルート探索が瞬く間に完了する。待ち時間がないのはストレスフリーで気持ちがいい

スムーズな画面操作と親切な交差点案内だからうれしい

 また、目的地を名称で検索せず、画面の地図をスクロールさせて地図上で指定するような場合でも、非常にスムーズに目的地を探せるからありがたい。しかも、ストラーダならスマホの地図のように2本の指先で地図の拡大縮小ができて動きもスムーズなため、交差点付近の道路の形など、細かい部分を確認したいときでも、すぐに拡大して見ることができる。スムーズに動いて分かりやすい案内だから、高い安心感を持って運転できる。

【パナソニック】AVナビ「ストラーダ」最新モデル 超なめらかでスムーズな地図操作(28秒)

 さらに、自分があまり詳しくない場所を走る場合は、クルマの位置や方角はもちろん、最初の交差点でどちらに曲がるか、どの車線に入っておけばいいかなど、なるべく早めに確認できると慌てなくて済むが、最新のストラーダはその点、曲がる交差点が分かりやすいのはもちろん、2つ手前の交差点情報も表示するように進化したので、走行ルートをイメージしやすい。

走り出してすぐに自車位置を補足し、すぐ近くの右折も分かりやすく表示された
次とその次の交差点の車線情報が出ている

ゾーン30のエリアに進入するとアラートが表示

 今回の2022年モデルでは、最近特に増えているエリア一帯が30km/h制限である「ゾーン30」対応のサポート機能がついたこともトピック。もともとストラーダでは地図情報から制限速度を画面に表示する機能があるが、ゾーン30の表示もその延長にあるといえる。

 ふつうの制限速度との違いはエリア一帯が30km/h制限ということもあり、そのエリアに入ると同時に専用のポップアップでアラートが表示される。ゾーン30は住宅地や通学路など、速度を落とすのはもちろん、飛び出しなどにも注意が必要なのでアラートが出てくれるのはありがたい。

ゾーン30は明るい黄緑色で表示されるため、画面上でも分かりやすい

 しかも、積極的にゾーン30を活用する自治体もあり、今後も増え続けることは確実。そこで役立つのがカーナビの地図更新となる。

利用開始から3年間の無料地図更新へと変更

2022年4月に地図データとして追加されたばかりの綾瀬スマートIC

 今回の試乗では2020~2021年に開通したばかりの綾瀬スマートIC(インターチェンジ)~厚木PAスマートICを走行。こういったスマートICをかしこく使えば、無駄な渋滞を回避できるほか、ICまでの遠まわりを防ぐこともできる。特に仕事や旅行などで高速道路をよく使う人なら、最新の地図かどうかでカーナビの案内性能に差が出て、普段から移動に関するロスを削減できるだろう。

スマートICはETC車以外が入った場合に戻るための通路もあり、曲がりくねった複雑な構造のところもあるため、案内されるのはありがたい

 ユーザーにとってうれしいのが、今回登場するストラーダから地図データの更新条件が変更されること。これまでは機種の「発売から3年」だったが、今回から「利用開始から3年間」へと変更された。走行距離などから使用開始したと判断し、それを起点として更新期間がスタートする仕組みが採用された。使用開始から3年となることで、これまでよりも、より長い期間、新しい地図が得られるようになる。また、購入時期によって自動更新時間が無駄にならないので、たとえば、製品の評判を見定めてからじっくり購入したいという慎重派の人でも更新期間を最大限に活用できる。

無事に厚木PAスマートICまで案内された

 ゾーン30やスマートICに限ったことではないが、少しでも新しい地図情報で走行できることは、運転しているときの安心感もプラスになるし、余裕を持った運転のサポートという面でも役立ちそうだ。

ストラーダロケーションシステムで自車位置も正確

 位置情報の正確さにも磨きをかけていて、「ストラーダロケーションシステム」に学習機能が搭載され、駐車場などよく行く場所については、足を運ぶほど正確な情報に。また、自車位置の測位間隔を1秒間に4回から10回へと増やしたことで、高速走行時もなめらかな表示を実現している。

 あらためて感心したのはストラーダが長年にわたって注力してきた立体ジャイロ性能だ。たとえば高速道路の側道の一般道となると、カーナビの位置情報は迷いがちだ。そこで、高速道路が高架となり、横ではなく真下に一般道があるところで確認してみた。

 その結果、しっかりと一般道の認識がなされていて、高速道路を走っている認識にはならなかった。高速道路のすぐそばを走っている道で試してみても、間違わずに走行している。これは重要なことで、たまたま高速道路の近くを走っていて意図せず自車位置が高速道路上になってしまうと道案内が大混乱に陥ってしまうカーナビもあるが、ストラーダにそんな心配は無用だった。

高速道路の真下になる道路だが、確実に「下道」であることを認識している

144車種からスタートした適合は490車種以上に拡大

 2016年に144車種に適合していたストラーダのFシリーズは、今回490車種以上まで適合車種を拡大しているが、実はすべて実車装着による確認作業をしているのが最大のポイント。レバー類との干渉など、きちんと確認が取れたものを適合としている。公式ホームページにある「Fシリーズ装着対応車種一覧」では、単に取り付けの可否だけでなく注意書きまであり、とても分かりやすくなっている。

メモリーカードを取り出すなど一部の操作は画面を手前に90度倒す必要があるが、Fシリーズ装着対応車種一覧にはこの操作が可能かどうかも記載がある
上下左右にかなりの可動域を有するのもストラーダの特徴で、見やすさはもちろん干渉を避けることも可能にしている

開発者が語るストラーダ使いこなし術

 前回インタビューした開発スタッフに、自分たちがストラーダを使うときに活用している機能など、使いこなし術を聞いてみた。すでにストラーダを持っているユーザーもぜひ試してみてほしい。

ストラーダは高画質だけじゃない「極サラウンド」

 大画面有機ELディスプレイの高画質映像や高速ナビといった性能に注目しがちなストラーダだが、サウンド面もぬかりはない。しかも、純正スピーカーの性能をフルに引き出すことをコンセプトに開発しているのもポイントで、ストラーダを装着したその日から音の匠によるチューニングで音楽の表現力が高まっている迫力のあるサウンドを体感できる。

立体感のある「極サラウンド」など多彩なモードを搭載している

「案内ストップ」だけでなく「ルート消去」にも即アクセス可能

 目的地の近くまでたどりつき「ここからは自分で分かるから案内は不要」といったときに、案内をストップ(中断)する機能はもちろんあるが、案内を再開しないような場合に便利なのが「ルート消去」ボタンという。

画面左の「田」印のボタンがランチャーになり、ここをタッチ
ランチャーメニューに「ルート消去」のボタンが出現。ルート走行の取りやめが一瞬でできる

 カーナビのルート設定は目的地についたときに終了することが一般的だ。しかし、特に帰宅時には近所のスーパーに立ち寄り、夕飯の買い物をして戻ることもある。ルート設定をしていると、寄り道をした場合にいつまでも回復ルートを案内し続けるという事態が発生する。旅先の寄り道で元のルートに復帰する予定があるならいいが、近所のスーパーに立ち寄るとなると回復ルートの案内は邪魔でしかない。

 そこで、ルート消去が簡単なのもストラーダの特徴となる。メニュー項目をカスタマイズできるが、そこでに「ルート消去」を置いておけば、ルート消去が一瞬で完了する。帰り道のほか、目的地付近はよく分かっていて途中経路の情報が欲しい場合、地図スクロールで大雑把な位置設定をして向かうような使い方にも便利だ。

ランチャーメニューの「TUNE」を選ぶと、ナビの詳細設定をすぐに変更できる。こういったユーザーの使い勝手を考えた細かい配慮もストラーダの特徴の1つ

楽に走れて、エンタメ機能もしっかり備えるストラーダ

 開発者の方々にお話を聞き、実際に走行してみたパナソニックの最新型ストラーダ。エンタメ機能はもちろんのこと、カーナビとしての動作の機敏さ、操作のしやすさ、地図の新しさなどもかなり高い性能でまとめられていることが分かった。

 大画面有機ELディスプレイの高画質で、動画視聴もナビゲーションも高いレベルで使いたいなら、対応確認車種も490車種以上もあり、熟成させて究極のエンタメ×カーナビへと進化したパナソニックの新しいストラーダはいかがだろうか。