CES2015

メルセデス・ベンツ、基調講演で最高にラグジュアリーな自動運転車「F015 Luxury in Motion」を世界初公開

「クルマは、家、オフィスに次ぐ第3の場所」

会期:2015年1月6日~9日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)、LVH、The Venetian

CESの基調講演に登場した、最高にラグジュアリーな自動運転車「F015 Luxury in Motion」

 メルセデス・ベンツは1月5日(現地時間)、「2015 International CES」開幕前における最初の基調講演を行った。CESの基調講演は、かつてはIT企業や家電企業が当たり前に行うものだったが、近年は米国自動車メーカーが行うほか、ドイツの自動車メーカーが熱心に行っているように見える。とくにCES開幕直前に行われる最初の基調講演は、イベントの顔ともいえるものだろう。

 この最初の基調講演を、2014年はアウディが、そして2015年はメルセデス・ベンツが行った。

 メルセデス・ベンツの基調講演は、ロボット同士の会話が行われるアニメーション投影から始まった。そのアニメーションの中に、メルセデス・ベンツブランドを擁するダイムラーAG 取締役会長のディーター・ツェッチェ氏が登場し、その後ロボットと一緒に登壇した。

 ツェッチェ氏がCESの基調講演に登壇するのは2012年以来のこと。前回はクラウドの技術の積極活用による便利な自動車の未来を語った。

●【2012 International CES】メルセデス・ベンツ基調講演
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120117_505004.html

CGアニメーションにツェッチェ氏が登場
ロボットと一緒に登壇した

 今回、ツェッチェ氏が語ったのは、クルマの存在価値について。世界の人口は増え、クルマが全世界で年間1億台売れるようになった現在は、都市への集中が進むとともに激しい渋滞が起き、クルマの存在価値が問われているという。クルマが持続的な成長を行っていくために必要なのが、ダイムラーが行っている電気自動車のカーシェアリング「Car2Go」であり、自動運転技術であるという。

ダイムラーAG取締役会長 ディーター・ツェッチェ氏

 とくに自動運転については、メルセデス・ベンツの提供する“ラグジュアリー”を実現するものであり、自動運転によって移動時も自由な時間を得ることができ、家、オフィスに次ぐ、第3の空間になるという。

人口増加と、人口集中、そして渋滞の発生
1つの解決策として電気自動車のカーシェアリングサービス「Car2Go」
もう1つが自動運転となり、30年以上の開発の歴史がある
現代のクルマは、さまざまな環境認識手段を装備している

 ラグジュアリーな自動運転車として紹介されたのは「メルセデス・ベンツ F015 Luxury in Motion」。燃料電池と走行用バッテリーのプラグインハイブリッド車で、バッテリーのみでの走行は200km、燃料電池との走行では1100kmを実現するクルマだ。このF015 Luxury in Motionは、CESを運営するCEA(アメリカ家電協会)のCEOであるゲイリー・シャピロ氏が同乗して登壇。F015 Luxury in Motionの観音開きのドアから降り立ったシャピロ氏は、F015 Luxury in Motionの快適さをツェッチェ氏に伝えていた。

F015 Luxury in Motionとともに、CESを運営するCEAのCEO ゲイリー・シャピロ氏
自動運転車の快適度について語り合う

 ツェッチェ氏は、メルセデス・ベンツには30年という自動運転開発の長い歴史があるという。2013年には、125年前にカール・ベンツの妻ベルタ・ベンツが世界で初めて自動車による長距離走行を成功させた道のり「ベルタ・ベンツルート」での長距離自動走行を実現しており、その成果についても語っていた。

 このF015 Luxury in Motionは、馬車をイメージして作られているとし、4隅に大きな26インチホイールをレイアウト。室内空間を最大にするよう作り上げ、中はゆっくりくつろげるようゆったりとしたシートを備える。ドアに窓はなく、ドアに大きく配置されたタッチスクリーンを操作してクルマの目的地を設定できるほか、ステアリングホイールもあるので運転することもできるという。

26インチホイール
周囲を認識するセンサーを持つフロントまわり
リアまわり
ラウンジのようなインテリアは、ロボットがのぞき込んで紹介
ドアにはスクリーンを備え、タッチセンサーでさまざまなことができる
各種センサーで人が横切るのを認識し、フロントやリアのLED表示でお知らせ
バーチャルゼブラゾーン(仮想横断歩道)を投影し、人が安全に歩くのをサポートする
実はリア中央ではQRコードを表示することが可能だ
ぜひ読み取ってみていただきたい

 自動運転車が社会に普及するためには、法律の問題や事故の責任問題など、さまざまな考え方の変更が必要になる。ツェッチェ氏は、メルセデス・ベンツはこの問題に真剣に取り組んでいるといい、多くの人たちと協力することで自動運転車の社会的な問題を解決していく。

ダイムラースタッフによるフォトセッション

編集部:谷川 潔

http://car.watch.impress.co.jp/