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ダイハツ、6月中旬に発表予定の新型「COPEN(コペン)」の概要を発表、価格は200万円以下を目指す
外装とともに一部の内装の着脱が可能に。トランスミッションは7速CVTと5速MTを採用
(2014/4/1 15:00)
ダイハツ工業は4月1日、2013年の東京モーターショーで公開した新型軽オープンスポーツカー「COPEN(コペン)」に採用される新技術などについて発表した。
新型コペンは6月中旬に発表される予定で、新技術説明会の会場では「価格は消費税8%込みで200万円以下を目指す」ことが明らかにされた。会場には新型コペンのプロトタイプも用意され、ミニ試乗会を開催。試乗インプレッションについては自動車ジャーナリストの橋本洋平氏がリポートする。
2013年の東京モーターショーで発表された新型コペンのコンセプトモデルは「KOPEN」と名付けられていて、市販モデルで使われる「COPEN」とは異なっていた。これはコペンのコンセプトモデルはこれまで「K」を使うことが習慣になっているためで、今回の新技術説明会会場では「COPEN」に変更になっており、市販モデルの登場が目前であることが名称からも伺える。
新技術説明会には、ダイハツ工業で執行役員を務める上田亨氏とともに新型コペンの開発責任者である藤下修氏が登壇し、概要について説明した。
はじめに上田氏は、「新型コペンはクルマ本来の走る楽しさ、持つ喜びをこれまでと違う付加価値をつけた商品として開発を進めてきた。価格帯についても消費税増税後も200万円を切る価格としてお客様にお届けしようと頑張っている」と価格について言及。2002年に発売を開始し、2012年に生産を終了した初代コペンの最後のモデルとして登場した特別仕様車「10th アニバーサリーエディション」が180万円(4速AT。5速MTは182万円)だったことから、先代コペンと大きく変わらない価格で登場することが予想される。
そして藤下氏は初代コペンについて振り返るとともに、スポーツカーの市場状況について説明した。初代コペンは2002年に6300台を販売し、以降2004年までの累計で2万4200台、2006年までの累計で3万6900台、2008年までの累計で4万8600台、そして生産を終了する2012年までに累計5万8400台を販売。軽オープンスポーツという新しい市場を創造するとともに、男性のみならず女性ユーザーからも支持を得たという。その一方で、「初代コペンが登場したときと比べ、将来の自動車市場を支える若者の自動車購入意向はこの10年で半減しており、今までどおりのモデルチェンジをしていては多くのお客様に販売店にお客様を呼ぶことができないという危機感を感じた」と説明する。
こうした状況下で新型コペンの開発は2010年1月にスタートした。その開発時においては、軽自動車の存在価値をより一層高めるべく「低燃費・低価格」「安心・安全」という従来からの軽自動車本来の価値に加え、「高い走行性に裏付けされた『誰が乗っても楽しいクルマ』」「新しい価値とカタチによるクルマとの新たな関係」という新しい付加価値を与えることが目標だったという。
その新しい付加価値を実現するために採用されたのが、ボディー構造を骨格と外板で切り分ける「DRESSFORMATION(ドレスフォーメーション)」と呼ばれる着脱構造を採用したことだ。この構造により、新型コペンではボルト締め付けによる外板パーツを採用し、1つの骨格でありながら、スマートフォンのケースカバーのようにさまざまな意匠を車両購入後も楽しむことができる。ドアとルーフをのぞき、フロントフード、ラゲッジ、フロント/リアバンパー、前後左右フェンダー、左右ロッカーパネル、フューエルリッドの11部品が交換可能となっている。ドア以外の外板パーツの材質はすべて樹脂製としており、成形を容易に行えるとともに低コストで提供できるメリットがあるという。
なお、交換可能なパーツは内装にも及んでいて、インストルメントパネルやオーディオクラスターも変更できるポイントとして挙げられていた。
その一方で、スポーツカーとしてのボディー剛性を外板に頼らず骨格だけで確保するため、新骨格構造「D-Frame(ディーフレーム)」を採用。このD-Frameについて藤下氏は、「新型コペンは高い走行性能を追求するだけでなく、新骨格+樹脂製外板による新たな価値を実現するために、骨格のみで剛性を確保することが必要だった。そのためフロント、サイド、リア、フロアの車両全体を一体化した構造とし、さらにフロア下のトンネル部やクロスメンバーなどを追加した」と述べており、これによって初代コペンに比べ上下曲げ剛性で3倍、ねじり剛性で1.5倍という高いボディー剛性を骨格のみで実現したという。
車両重量は初代コペン(MT車)が830kgだったのに対し、新型コペンでは低燃費技術「e:Sテクノロジー」の採用や外板パーツの樹脂化などにより約75kgのダイエットに成功したものの、D-Frameの採用などによって850kg(MT車。CVT車は870kgでともに社内測定値)となっている。
スポーツカーとしての操縦安定性、乗り心地については「接地感・フラット感が高くインフォメーションが伝わるハンドリング」「リニアな操縦性と低慣性による一体感が生み出す乗りやすさ」「高い限界に裏付けされた懐の深い操る感覚」「どっしり安心の高速直進安定性による信頼感」の4項目を特に重視。これらを実現するため、フロント・リアスタビライザー(フロントφ22、リアφ19)、横剛性を向上させたリアサスアームなどを採用した。
空力性能に関しては、特に操縦安定性を高めるために揚力バランスに着目。新型コペンでは、後輪の接地荷重を高めるために後輪側の揚力を初代コペン比で約60%低減させるなど、「前後の揚力バランスを最適化することで、低速でも高速でも変わらない安定感のある走りを実現した」(藤下氏)。加えてCd値を約6%低減して燃費性能も高めている。また、コペンの象徴である電動開閉式ルーフは引き続き新型コペンでも採用され、約20秒で全開/全閉が可能になっている。
パワートレーンは、「タント」で採用する直列3気筒DOHC DVVT(連続可変バルブタイミング機構)ターボエンジン「KF-VET」と、7速スーパーアクティブシフト付きCVTまたは5速MTの組み合わせ。最高出力は47kW(64PS)/6400rpm、最大トルクは92Nm(9.4kgm)/3200rpmとなっている。社内測定値ながら燃費性能はCVT車が25.2km/L、5速MT車が22.2km/Lとアナウンスされており、前者はエコカー減税の免税(100%減税)に、後者は50%減税に適合する予定。
藤下氏は最後に「新型コペンは新骨格+樹脂外板による新しい価値とカタチを実現しながら、スポーツカー本来の走る楽しさを大幅に向上させ、誰が乗っても楽しいライトウェイトスポーツカーに生まれ変わったと思っている。身の丈にあった庶民のライトウェイトスポーツカー・コペン。いつまでも走っていたい、その感動が新型コペンの技術の要約だと確信している。私が思うライトウェイトスポーツカーの定義を説明すると、軽量・低慣性であることはもちろんのこと、暮らしの中で自分らしく“楽しい”を体感するために、常に傍らに置いておけるクルマであると考えている。それらを含め、6月に予定している正式な報道発表会では新たなビジネスモデルなどについてもお話しできると考えている」とし、新型コペンの正式な発表が6月であることを述べるとともに、同日は詳細が明らかにならなかったが、ダイハツ主導でアフターパーツメーカーなどと現在進めているオリジナルの外板部品を製作するプロジェクトの詳細も報告するとした。
【お詫びと訂正】記事初出時、新型コペンのCVT車がエコカー減税の75%減税対象になる予定と記載いたしましたが、正しくは免税(100%減税)予定でした。お詫びして訂正させていただきます。