山手トンネルの中を親子連れなど、2万人が約2.5kmを歩いて体験 首都高速道路は3月1日、3月7日16時の中央環状品川線の山手トンネル全線開業を控え、公募した一般ユーザーにトンネル施設を歩いて体験してもらう「山手トンネルウォーク」を開催した。なお、参加者は、首都高のWebで2月5日から先着2万人を募集したところ、わずか5日間で定員に達している。
本イベントは、山手トンネルの外回り(新宿方面)五反田入り口から渋谷方面に約1.3kmほど歩き、非常口から内回りに移り、折り返して大井方面へ約1.2kmを歩いてから、再び内回りの五反田出口、もしくは五反田の換気所から外へ出るというルート。雨が時折強く吹きすさぶ天気だったが、トンネルの中ということで、もちろん天候に左右されることなく親子連れなど大勢の参加者がトンネル内を歩いて楽しんだ。トンネル内には、トンネルの工事を紹介するパネルや、トンネルを掘削したシールドマシンの模型、シールドマシンの先端にある掘削用の歯の実物展示、首都高や警察、クルマメーカーによる車両展示、リムジンバスなどバス会社の空港線用バスの展示など、盛りだくさんの内容となった。
「山手トンネルウォーク」を体験してみた
実際に「山手トンネルウォーク」を体験してみたので、その様子を写真とともにリポートする。
開通前のため案内板には白いシートがかぶせられ、電光掲示板はまだ点灯していない 入口の反対側を望む。高架は首都高速2号目黒線、その下には大崎郵便局前の交差点 山手トンネルには4つ発光体を1灯にしたLED照明が使われており、省エネルギーと長寿命が特徴 トンネル壁面の各所には、非常口までの距離が書かれた看板が設置されている 黒い丸に2つ目があるように見えるのは、25mおきに設置された熱感知装置 トンネルの各所に非常口の扉が設置。火災で煙が発生している場合には、車両を路肩に止めて、ドライバーはこの出口から避難する 合流部から入口を望む。一番乗りの一般参加者がすでに待機していた。一番乗りは9時に来た40代の男性とその家族 合流部の先端にはトンネル信号と電光掲示板がある。この部分は起点となる大井JCT方面から9.88kmの地点 左側にはシャッターと非常口。このシャッターは大井方向に向かう内回り線につながっており、事故などの際はこのシャッターを開いて、車両を内回りに誘導して排出する トンネルの壁面を色とりどりにライトアップしてイベントを盛り上げていた 大井JCTから約10.24kmの地点で左側に避難路と内回り線とつながる非常口が見えてきた。どちらかのトンネルで火災などが起きたら、この非常口を使い、片側のトンネルへ避難する ここにもジェットファンがある。進行方向に空気を流して、空気の入れ換えとトンネル内の温度が均一になるようにしている 天井部の近くにはモニタリングカメラが進行方向を向くように設置されている。このカメラは施設管制室でモニターしており、トンネル内で死角がないように設置されている 超音波を利用した車両センサー。車の流れの速度を測定する トンネル内には、起点となる大井JCTからの距離を示すキロポストが設置されている。このキロポストは大井JCTから10.18km地点 途中には、今回開通する品川線の全景模型が設置されていた 品川線の山手トンネルはほぼすべての区間で「シールド工法」と呼ばれる円筒形の掘削機でトンネルを掘り進み、その内壁にコンクリートのブロックを並べて構築されている シールド工法用の掘削マシンの模型。左側に地中を掘り進む、ビット(歯)がついている トンネルの断面図。道路の下には、排水管や配電管などが通っている 掘削マシンの先端につけられていたタングステンの合金でできたビット(記念品としてメッキされている)。右が新品、左が8km掘り進んだ後の状態 五反田換気所の模型。青が吸気の流れ、赤が排気の流れ、緑が避難通路 防災関連のデモゾーンの前には、歩く距離を短くするための、内回り線へいける通路が設置 先端を回すと、消化剤の射出状態を棒状と噴霧で切り替えられる 故障や救急など種類によってボタンを押すと施設管制室とつながる仕組み トンネル内の放水システムのデモが行われていた。降雨量に換算すると300mm近い水量が放水される 非常口から内回り線へ渡る。山手通りの中央分離帯にある出入り口からでも走行車線に合流できるように、山手トンネル内は車線が逆になっている 山手トンネル専任の道路パトロールバイク。事故などの際は15分前後で駆けつけ、交通規制などを行う 去年導入されたリムジンバスの新型車「スーパーキャビン」。座席を1列なくすことで、前後の間隔を広く各席には電源もある。リムジンバスは新宿や池袋と羽田空港を結ぶ路線で品川線の山手トンネルを使って空港バスを運航する予定。なおはとバスは、山手トンネルのクルーズツアーを募集している 五反田出口の800m手前から出口を示す標識が出てくる 照明が落とされ、東京の夜景をトンネルの壁に投影しているコーナー 自動車メーカー各社が往年の名車や未来のコンセプトカーを展示しているコーナーを設けていた 五反田出口の手前、大井JCTから10.18km地点 ここでコースが五反田出口から出るコースと五反田換気所の非常口から出るコースに分かれる これで山手通りに合流する。東急目黒線の不動前駅の手前。半数ぐらいの参加者はここから帰っていた また、しばらく同じようなシールド工法のトンネルが続く 9.8km地点にトンネル信号と車両排出用のシャッターがあった そしてようやく終点の9.12km地点に到着。よく見ると天井に窪みが。これはトンネル内の排気用の換気口。向こう側に見える出っ張った部分が外から吸気した空気をトンネル内の進行方向へ流す換気口 地上まで175mの地下4階、階段の踊り場から踊り場まで10mずつ登っていく。車いすなどで階段を上れない場合はこの場所で待機する 途中には椅子がある一時待機所があった。外に出る前にここで待機して指示を待つ ようやく地上45mまで到着。ここからは長い通路を少し歩く そして、地上まで到着。このハッチは普段は閉じている。高速道路などでもよく目にするアーチ状のハッチ 五反田換気所の排気塔。トンネル内の空気は排気ガスの大半を除去してこの塔から放出する