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ホンダ、縦にも横にも開く「わくわくゲート」を搭載した新型「ステップワゴン」発表会

1.5リッター「VTECターボ」エンジンは150PSの最高出力と17.0km/Lの低燃費を両立

2015年4月23日開催

 本田技研工業は4月23日、新型コンパクトミニバン「ステップワゴン」の発表会を東京・青山の本田技研工業本社で開催した。

 5代目となった新型モデルは、「ステップワゴン」が228万8000円~280万4000円、「ステップワゴン スパーダ」が272万5000円~308万1400円。このほかのバリエーションや装備などの詳細は、関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150423_699141.html)を参照していただきたい。

新型「ステップワゴン」(左)と「ステップワゴン スパーダ」(右)
ボディーサイズは、5ナンバー車のステップワゴンが4690×1695×1840mm(2WD車の全長×全福×全高。4WD車の全高は1855mm)、3ナンバー車のステップワゴン スパーダが4735×1695×1840mm(2WD車の全長×全福×全高。4WD車の全高は1855mm)で、ホイールベースはどちらも2890mm
5代目ステップワゴンの大きな話題は、縦にも横にも開く「わくわくゲート」。テールゲート中央近くに横開き用のヒンジを備え、縦開き時にはテールゲート下端から大きく開くことが特徴
ステップワゴン G・EXが標準装備する16インチアルミホイール。タイヤサイズは205/60 R16 92H。左側のタイヤが前輪
ステップワゴン スパーダが標準装備する専用デザインの16インチアルミホイール。左側のタイヤが前輪
ステップワゴン Gのインテリア
ステアリングは全車3本スポーク。右側スポークに設置されるクルーズコントロールはB以外のグレードで標準装備。ステップワゴン スパーダでは本革巻きとなる
メーターはインパネの高い位置に横長に配置。スピードメーターを大きく設定し、タコメーターはバー表示となる
助手席側にはグローブボックスのほか、開放型の収納スペースを設定。ドリンク&ボトルホルダーは車内に全16個所用意している
トランスミッションは全車CVT。ステップワゴン スパーダ Cool Spiritのみパドルシフトが用意される
インターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器をオプション装着している車両には、USB端子×2、HDMI端子、DC12Vアクセサリーソケットも追加される

これからも日本の家族に愛される存在であり続けたい

本田技研工業 専務執行役員 日本本部長 峯川尚氏

 発表会では、まずステップワゴンとステップワゴン スパーダを紹介する新TVCMが上映され、続いて本田技研工業 専務執行役員 日本本部長 峯川尚氏が登壇。「ホンダは1996年に、初代ステップワゴンで5ナンバーサイズながら広々とした空間を実現した“ユーティリティミニバン”という新しい価値を提案しました。以来、4世代のステップワゴンを通じて、日本の家族が求めるクルマを提案してきました。その1つが新たな使い勝手の提案です。新発想の“わくわくゲート”で、ミニバンに今までにない便利さや楽しさを提供します」と解説。

「2つめが“新たなパワープラントの提案”です。ホンダとして初めてのダウンサイジングターボの採用となります。ダウンサイジングターボとホンダの“VTEC”を組み合わせることで、力強く気持ちのよい走りと低燃費を両立しています。3つ目の提案が“Honda SENSINGの搭載”です。全タイプで選択可能として、多くの方にお乗りいただくミニバンに、新たな安心を提案します」と語り、新型ステップワゴンによる“3つの提案”について説明。「“日本ベストのファミリーカー”として、お使いいただくみなさまに、きっと楽しく快適なカーライフをお届けできるクルマだと確信しております」と自信を見せた。

本田技術研究所 四輪R&Dセンター 開発責任者(LPL)袴田仁氏

 峯川氏に続き、車両解説を本田技術研究所 四輪R&Dセンター 開発責任者(LPL)の袴田仁氏が実施。袴田氏はニューモデル開発に込めた想いについて「これまで多くの家族に愛されてきたステップワゴンの5代目を開発するにあたり、私が考えたことは『これからも日本の家族に愛される存在であり続けたい』ということでした」と語り、そのために開発チームは、スーパーマーケットや公園、サービスエリアなどでユーザーの生活シーンを見直したとのこと。そのなかで、今の家族は3世代で行動する機会が多く、絆をとても大切にしていると分析。

 これを受け、新しいステップワゴンのあるべき姿として「使う人にとって楽だったり優しかったりするだけでなく、驚きやわくわくをもたらし、毎日の生活で楽しさを広げていくようなクルマ」であることを目指したという。

ファミリーユーザーがミニバンを使うシーンを観察し、次期モデルの目指すべき姿を見直した
「今の家族は3世代で行動する機会が多く、絆をとても大切にしている」との分析結果
ホンダ伝統の「MM思想」により、車内空間をさらに拡大している
エクステリアデザインのテーマは「Modern Functional Beauty(モダン・ファンクショナル・ビューティ)」
インテリアデザインのテーマは「Beautility Living(ビューティリティ・リビング)」
新たに“VTECターボ”となったL15B型 直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴エンジンは、最高出力110kW(150PS)/5500rpm、最大トルク203Nm(20.7kgm)/1600-5000rpmを発生。JC08モード燃費は最高17.0km/L
ミニバンとして世界初の「リアエントリードア」ともなる「わくわくゲート」を新採用。狭いスペースでの気軽さ、大きな荷物などが載やすい大開口スペースを使い分けられる
3列目シートは簡単な操作でフロア下のスペースに格納可能
CMBS(衝突軽減ブレーキ)、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)などをセットにした先進安全運転システム「Honda SENSING」は全車にオプション装備
車いす仕様車は今夏発売予定
袴田氏は「このステップワゴンが多くの人に愛され、日本の家族の毎日をわくわくさせる。そんなクルマになることを心から願っています」と締めくくった

 プレゼンテーション後の質疑応答では、ハイブリッドではなくダウンサイジングターボを選択した理由について問われ、袴田氏は「今回、我々が提供したいと思っている『ミニバンながらもしっかりとした爽快な走り』や燃費性能を向上させるといった面で、このクルマではダウンサイジングターボが最適なソリューションであると考えました」と回答。

 また、同じくターボについて、ダウンサイジングターボを搭載する初めてのクルマをミニバンにした理由については、袴田氏が「自分たちでも当初は頭の中で、大きな車体を1500ccのエンジンで走らせられるのか?と考えていましたが、エンジンの特性で、1600rpm付近という低回転から最大トルクが発生されるうえに、その数値が2.4リッターエンジン並みということから、多人数乗車や坂道などの状況で、“ミニバンがほしい力強さ”を提供できるということから、敢えてステップワゴンから採用しています」と語り、さらに峯川氏が「ミニバンは、若くて家族の多い人が需要の中心です。トータルでの価格も非常に重要な要素で、我々もハイブリッドのパワープラントを持っていますが、ハイブリッドは通常のガソリン車に比べて30数万円のコストアップがやむを得ないところです。そこで、もっと新しい提案として、ダウンサイジングターボ+VTECという、あまりコストアップすることなく従来を超える走りが実現できる提案として用意しました」と補足した。

質疑応答のようす
「世界中、それぞれの国で規制は異なりますが、CO2の排出規制、燃費規制が強化されていく。そうなると、従来型のガソリンエンジンはかなり(対応が)厳しくなってくる。そこで新しい提案としてのダウンサイジングターボは、ガソリン車としては避けて通れないところであろうと思います」と語る峯川氏
袴田氏は低回転から高トルクを発生するダウンサイジングターボはミニバンに適した特性を持っていると説明
プレゼンテーション後、展示車を使って新装備「わくわくゲート」について解説する袴田氏
横開きのヒンジが中央側に設定されているため、歩道側からの乗り降りがしやすく、観音開きスタイルと比べても車両脇から操作できるので、狭い場所で荷物を載せるときに便利であると解説。また、横開き時にもドアが3個所で止まり、使いやすくなっているという
「わくわくゲート」は車両後方からの乗り降りにも対応。3列目シートは簡単に格納・展開が可能で、テールゲート内側の高い位置にも電磁ロックのオープナーを設定。2列目シートはキャプテンシートを基本としており、車両後方から乗り込んでも運転席まで歩いて行けるようになっている
フロア高を抑えたことも新型ステップワゴンの大きなアピールポイント。自転車や重い荷物を無理なく載せられると説明
3列目シートは低いラゲッジフロア部分にすっぽりと格納。フラットで大容量のラゲッジスペースが出現する
3列目シートの背面にフロアをフラットにする「反転ボード」を装着。歩道側になる左シートには脱着式マットを備え、乗り降りしたときに汚れても手入れがしやすくなっている
2月に発売された「ジェイド」と同様に、3列目シートは車両後方の床下格納スペースにダイブダウンするスタイル
テールゲートの左側に横開き用のドアハンドルを設定。電磁ロックとなっており、走行中は作動しないよう設定されている
横開きの開口部にもウォークイン用のステップを配置
横開きは、350mm、610mm、830mmの3段階に開くようになっており、ちょっとした荷物の出し入れに対応。リアバンパーから760mmのクリアランスがあれば、壁があっても横開きをフルオープンできるとのこと
リアガラスは2分割されているため、デフォッガーの熱線が縦に配置されているのも特徴的。テールゲート上下中央ほどの高さに車内側から電磁ロックをオープンするスイッチが用意されている
ステップワゴン Gのシート。2列目シートはオプション設定のベンチシートとなっている。シートカラーはブラウン
スライドドアの開口スペースは760mm。フロアは車両後方側が高く、前傾したようなスタイル
ベンチシートを装着した場合、スライドシートから3列目に乗り込むときはセカンドシートを前に倒す必要がある。2列目シート側面下側のレバーは、上がシートバックの角度調整、下がシートレールの前後移動となる
運転席/助手席のシートバックテーブルはB以外のグレードに標準装備
G・EXは専用オプションとして「アイボリーコンビシート&専用インテリア」を設定
ステップワゴン、ステップワゴン スパーダともに同一のエンジンを搭載。JC08モード燃費は15.0~17.0km/L
ダウンサイジングターボとなるL15B型 直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴エンジンの単体展示。吸排気デュアルVTCによるバルブオーバーラップ制御、直噴システムによる高効率な急速燃焼などの技術によって150PS/203Nmを発生する
電動ウェイストゲート付ターボチャージャーを採用。小径タービンを使い、低回転からの加給が可能となっている
今夏発売予定としている車いす仕様車。テールゲートはBグレードと同じ従来型を装着するが、どのグレードでもベースに選べるとのこと。スロープを左側にオフセットし、右側の3列シートがそのままの状態でも車内に車いすを運び込みやすくなっている
車いすの乗車デモンストレーションも実施。車いすは車内に設置したウインチによって引き上げられている
3分割となる金属製スロープ
3列目右側のシートを起こしているときに、車いすのタイヤが床下格納スペースに落ちないよう支えるフラップも設置されている
フロア下に車いすを引き上げるウインチを設定。新型ステップワゴンは車両後方側のフロアが高くなっているが、そのままだと車いすの乗降に不便なので樹脂製のパネルを追加してフロアを水平化。また、車いすのタイヤが汚れていたときに掃除しやすいことも樹脂パネル使用の理由であるとのこと

(編集部:佐久間 秀)