特別企画
【特別企画】WTCC開催記念 ツインリンクもてぎ撮影ガイド(前編)
(2015/9/4 00:00)
2015年からWTCC(世界ツーリングカー選手権)が戦いの舞台を鈴鹿サーキットからツインリンクもてぎに移す。これまでCar WatchではWTCCの開催にあわせて鈴鹿サーキットの撮影ガイドを掲載してきた。今回はWTCCの新たな舞台となるツインリンクもてぎの撮影ガイドをお届けしたい。ツインリンクもてぎでは9月にWTCC、10月に2輪のMotoGPと世界大会が続き、11月にはSUPER GTの最終戦が開催される。初めてツインリンクもてぎに撮影に行く方は参考にしていただきたい。
「WTCC(世界ツーリングカー選手権)JVCKENWOOD 日本ラウンド」は9月12日~13日に開催される。タイムスケジュールを見ると9月12日(土)に2回のフリープラクティスと公式予選(Q1、Q2、Q3)が行われ、9月13日(日)は2回の決勝レースが行われる。
9月12日(土)
FIA WTCC フリープラクティス1:9時30分~10時
FIA WTCC フリープラクティス2:12時~12時30分
FIA WTCC 公式予選Q1:15時30分~15時50分
FIA WTCC 公式予選Q2:15時55分~16時05分
FIA WTCC 公式予選Q3:16時10分~16時30分
9月13日(日)
FIA WTCC Race1(13LAPS):14時15分~
FIA WTCC Race2(13LAPS):15時30分~
9月11日(金)にも30分のフリー走行があるが、多くの方は土日の観戦になるだろう。予選のQ1~Q3はインターバルが短く大きな移動は難しいので、現実的には5つのセッションが行われると考えてよい。5つのセッションですべての撮影ポイントを回るのは難しいので、事前に各ポイントのイメージをつかんでいただき、撮影スケジュールの参考にしていただきたい。
WTCCタイムスケジュール
http://www.twinring.jp/wtcc_m/timeschedule/index.html
Car Watch、デジカメWatchでは恒例となった「WTCCフォトコンテスト」を今年も開催する。北関東や東北在住で、これまで鈴鹿は遠いと見送っていた方にはチャンスだ。WTCCフォトコンテストの詳細は以下の案内を参照していただきたい。
2015年も「WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト」を開催
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150825_717603.html
ツインリンクもてぎの撮影ポイント
ツインリンクもてぎはオーバルコースとロードコースが併設となっている。そのためコースの前半部分はやや撮影が難しく、代表的な撮影ポイントはコース後半に多い。ツインリンクもてぎは金網の影響を受けない撮影ポイントが多く、国際レースが行われるサーキットの中で撮影のしやすさはトップクラスだ。
オーバルコースの下をくぐるファーストアンダーブリッジを抜けると、130R、S字カーブ、V字コーナー、ヘアピンカーブ、ダウンヒルストレート、90°コーナーと撮影ポイントは切れ目なく続き、セカンドアンダーブリッジを抜けた先の最終コーナーであるビクトリーコーナーも撮影ポイントとなっている。
この前編ではヘアピンカーブ、90°コーナー、最終のビクトリーコーナーを、次回の後編では130R、S字カーブ、V字コーナーの撮影ポイントを紹介したい。
コースMAP ロードコース(PDF)
http://www.twinring.jp/course_m/pdf/road_course.pdf
今回の記事で使用している写真素材は、2014年のSUPER GT最終戦と今年3月のスーパー耐久で実際に観戦エリアから撮影したものだ。SUPER GT最終戦で観戦エリアから撮った写真はフォトギャラリーでも使用している。
2014 SUPER GT最終戦「もてぎGT250kmレース」フォトギャラリー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/photogallery/20141119_676832.html
撮影ポイントの紹介は基本的に
・Google Mapsの空撮写真に撮影位置を図示したもの
・その場所からの風景写真(一部撮り忘れあり)
・サンプル写真は○○mmのレンズで撮った元画像(トリミングなし、リサイズのみ)
・その写真をフルHDサイズにレタッチしたもの(拡大画像はExifデータあり)
で構成している。カメラ本体はEOS 7DとEOS 7D Mark II。いずれもAPS-Cの撮像素子を使用しているので、35mm判換算するときはレンズの焦点距離を1.6倍していただきたい(例:300mm×1.6=480mm相当)。
この記事で参考にしていただきたいのはマシンとの距離感。「300mm(480mm相当)のレンズでこれくらいに写るんだ」といった雰囲気を事前に知っておくと、手持ちの機材とのマッチングも可能だと思われる。記事中のマシンの写真はあくまでサンプル写真なので「このように撮る」ではなく「これくらいの大きさに撮れる」と思っていただければよいだろう。
この記事は撮影ポイントの紹介が主なので、サーキット撮影自体が初めてという方は流し撮りの方法などを説明した以下の関連記事を参考にしていただきたい。
WTCC&F1 鈴鹿サーキット撮影ガイド(その2 撮影編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20130917_615672.html
「ミシュラン SUPER GTフォトコンテスト」撮影ガイド(後編 撮影編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20140818_662302.html
「WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト」撮影ガイド(第1回 撮影編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20141020_671937.html
この記事では便宜上、パドックがあるサーキット全体のインフィールド側をインサイド、グランドスタンドのあるサーキットの外側をアウトサイドと呼ぶ。右コーナー、左コーナーにかかわらずマシンの進行方向の右側がインサイド、左側がアウトサイドとなる。
ヘアピンカーブ
ヘアピンカーブの立ち上がり側の土手は多くのカメラマンが集まる人気の撮影ポイントだ。金網が低くコースにも近いので撮影はしやすい。クリッピングポイントを抜けるマシンを正面から撮ることも、ダウンヒルストレートへ向かうマシンを流し撮りすることもできる。正面、斜め前、横、斜め後ろと様々な角度で撮影が可能だ。
クリッピングポイント付近の撮影は正面から写し止めることも、立ち上がってくるマシンをスローシャッターで撮ることもできる。それほど長い望遠がなくても十分撮影は可能だ。
同じ場所からヘアピンを立ち上がるマシンを流し撮りで撮ることもできる。横からならかなり短いレンズ、クリッピングポイント付近を撮ったレンズならマシンを斜め後ろから狙える。
次は撮影ポイントを90°コーナー側に移して横から流し撮り。ヘアピンから90°コーナーへ続くダウンヒルストレートはほぼ全域で流し撮りができる。標準ズームでも撮影ができるほどマシンまでの距離は近い。
さらに90°コーナー側に移動しアウト側の縁石に沿って加速するマシンを斜め前から狙うこともできる。少しシャッター速度を落とすと縁石、路面のグリッドラインなどの背景も流れるのでスピード感のある写真が撮れる。
ヘアピンで人気が高いのは立ち上がり側だが、進入側も撮影が可能だ。ヘアピンでブレーキングするマシンを正面から撮ることもできる。ここは周回路から土手を上って金網越しの撮影となる。マシンまでの距離はあり、天候によっては陽炎の影響でマシンに描かれたロゴが歪む可能性もある。
お勧めは9月のWTCCより11月のSUPER GT最終戦だ。11月の午後のセッションは太陽の位置が低くなり逆光となる。V字からヘアピンへ向かうストレートはレコードラインがクッキリ浮かび上がり、この季節ならではの絵を撮ることができる。サンプル写真の次に掲載した写真は昨年のSUPER GT最終戦で撮ったもの。撮影場所は金網のすぐ目の前の報道エリアだが、ほぼ同じ絵を観戦エリアからも撮ることができるはずだ。
進入側の土手も金網の影響を受けず、マシンに近い位置から撮影することができる。立ち上がり側とほぼ同じ条件で撮影できるので、ブレーキングするマシンを斜め前から、コーナーリングするマシンを斜め後ろから、進入してくるマシンを横からと様々な角度の絵を撮ることができる。
90°コーナー アウトサイド
ヘアピンカーブと同様、多くのカメラマンが集まる撮影ポイントが90°コーナーだ。インサイド、アウトサイドとも人気は高い。特にインサイドのスタンドは目の前の報道エリアでは撮ることができない絵を撮影するため、筆者もわざわざスタンドまで行って撮ることがしばしばある。筆者だけでなく他の報道カメラマンを見掛けることがあるので、魅力的な撮影ポイントと言えよう。
Z席と呼ばれるアウトサイドのスタンドから紹介しよう。まずはダウンヒルストレートのブレーキングポイント。ここではSUPER GTのマシンのブレーキローターが赤熱する写真を撮ることが可能だ。マシンまでの距離も近く標準ズームでも撮影ができる。
次は広角レンズを使ってスローシャッターで撮影。さすがにスマートフォンやコンパクトデジカメではレスポンス的に難易度が高いが、一眼レフ+標準ズームなら広角スローシャッターもマシンのアップも撮ることができる。望遠レンズを持っていない人でも楽しめる撮影ポイントだ。
次はコーナーリングするマシンを斜め後ろから流し撮りで撮影してみた。この位置なら高速シャッターで写し止めることも可能だ。90°コーナーはパッシングポイントなので、バトルの多いWTCCでは横並びで進入するマシンを撮ることができるかもしれない。
撮影ポイントを90°コーナー側に移動するとクリッピングポイントを抜けるマシンの流し撮りができる。マシンまでの距離も近く、巨大な望遠レンズがなくても撮影は可能だ。
サーキットでトンネルがある場所は少ない。90°コーナーのアウトサイドからはセカンドアンダーブリッジをフレーミングに生かした写真を撮ることができる。サンプル写真はトンネルに入る直前のマシンを斜め後ろから撮ってみた。
90°コーナー インサイド
報道エリアでしか撮影できない絵もあるが、観戦エリアでしか撮影できない絵もある。例えば鈴鹿1000kmで、日没前にスプーンカーブの路面が赤く輝く絵は観戦エリアでしか撮影できない。もちろん、報道カメラマンもその時間にスプーンの観戦エリアに行けば撮れないことはないが、そこに行ったらゴールまでにグランドスタンドのある東コースまで戻ってくることはできないから諦めるしかない。
90°コーナーのインサイドのスタンドは筆者のお気に入りの撮影ポイントで、決勝前のセッションで1度は撮影に行っている。だが、筆者が本当に撮りたいのは決勝レースだ。決勝レースのときアウトサイドのスタンドは観客で埋まる。その観客で埋まったスタンドを背景にスローシャッターで流し撮りをしたいと長年思っているが、実現することは難しい。これも報道エリアと観戦エリアの導線の問題で、決勝中にここにいたら他の場所の撮影ができなくなるため諦めている。それほど魅力的な撮影ポイントだ。
G席と呼ばれるインサイドのスタンドも、短いレンズでブレーキングするマシンの流し撮りができる。ブレーキローターの赤熱は、アウトサイドのスタンドよりこちら側の方が写りやすい気がする。広角側にズームすればスタンドを背景に入れて撮ることができる。サンプル写真にはほとんど観客が写っていないが、決勝なら観客で埋まったスタンドはカラフルな線となって絵を引き立ててくれるだろう。
次は90°コーナーのクリッピングポイント付近を流し撮り。撮影ポイントがマシンレコードラインの回転中心付近となるので、流し撮りの成功率が高い感じがする。
コーナーを立ち上がりアウト側の縁石を抜けるマシンを、11月のSUPER GTの頃に露出をアンダーにして撮ると逆光がマシンを美しく演出してくれる。200mm程度のレンズで充分撮影ができる。これも観戦エリアでしか撮れない写真だ。
ビクトリーコーナー
メインスタンド下、オーバルコース外側のサービスロードからビクトリーコーナーを撮ることができる。金網越しに撮るポイントもあるが、この付近にはカメラホールが用意されているので、それを利用して撮れば金網の影響を回避することができる。
ロードレース開催時はこの場所も観戦エリアとなっているが、以前オーバルで開催されたINDY Japanのときはここが報道エリアとなっていた。おそらくこのカメラホールもオーバルコースを撮影するために用意されたものだと思われる。
ビクトリーコーナーの撮影ポイントの1つ目は、クリッピングポイントを抜けるマシンの正面からの撮影。金網越しの撮影だが、マシンまでの距離があるので絞りを開放側にして撮れば金網の影響は回避できそうだ。
カメラホールは6つ開けられていて、少しずつ異なる絵を撮ることができる。今回は6つのうちの4個所のカメラホールで撮った写真を掲載しよう。
前編の最後は金網越しにメインストレートを背後から狙うポイントだ。ここも金網越しの撮影となるが、マシンまでの寄りがあるので金網の写り込みはそれほど気にする必要はないだろう。
前編は以上だ。次回の後編では130R、S字カーブ、V字コーナーの撮影ポイントを紹介したい。