北京モーターショー 2018

【北京モーターショー 2018】中国事業の展望についてトヨタ専務役員 中国本部長 小林一弘氏に聞く

2019年に「レビン」「カローラ」のPHVを導入

2018年4月25日(現地時間)開催

トヨタ自動車株式会社 専務役員 中国本部長の小林一弘氏

 トヨタ自動車 専務役員で中国本部長である小林一弘氏は、4月27日(現地時間)に中国・北京の「北京モーターショー 2018」で行なったトヨタのプレスカンファレンス後、記者団とのラウンドテーブルに出席。中国市場の現状とトヨタの中国事業の展望について話した。

 ラウンドテーブルでは、世界GDPトップ5(2017年見通し)として、中国(本土)のGDP総量は11兆9400億ドルと世界2位であることを紹介。1人当たりのGDPは8580ドル、GDP前年増加率は6.8%であることを示した。

 小林氏は「GDPの総量は世界2位、1人当たりのGDPは差があるが、見方を変えると大変伸びしろがある。成長率も以前より鈍化しているとはいえ、他の国と比べると高い状況にある」との考えを述べた。

世界GDPトップ5(2017年見通し)
世界自動車販売台数国別ランキング
世界自動車保有台数ランキング(2015年)

 続いて、世界の自動車販売台数ランキング(2017年1月~12月累計)で、中国は2939万台と世界でトップ。2位はアメリカの1723万台、3位は日本の524万台、インド413万台、ドイツ371万台であることを示すとともに、自動車保有台数においても、中国は1億6285万台(2015年)、1億9440万台(2016年)と、アメリカに続いて2位であることを示した。

 小林氏は「中国は世界最大の自動車市場で、昨年まで9年連続でNo.1。2018年は2998万台、さらに将来的に4000万台まで伸びると政府からの予想が出ている。自動車保有台数でもその成長率でみると昨年も前年比増と成長を続け、人口が14億人であることから、まだまだ市場は伸びるとみている」と述べた。

中国国産車卸売状況(セグメント別比較)

 中国国産車の販売状況としては、小林氏は「2009年から市場は急速に拡大し、最近ではSUVが伸びているのが顕著」「中国国産ブランドの品質が急速に改善され、市場が2極化している」と、SUVの販売が拡大していることと、長安、吉利といった中国国産ブランドがシェアの一角を占める状況を説明。

 ブランド別の販売台数ランキング(2017年)では、フォルクスワーゲン418万台、ゼネラルモーターズ404万台、長安166万台、日産自動車152万台、本田技研工業144万台、トヨタ自動車129万台、吉利125万台、フォード120万台の順であることを示した。

2017年中国市場販売台数ランキング(ブランド別比較)。トヨタは6位

ブランド別販売台数ランキングで6位のトヨタ、2018年は140万台の計画

中国のトヨタ販売と生産の推移
トヨタ中国の3チャンネル販売体制
2017年重点取り組みの振り返り
トヨタ地域別販売状況

 現在、トヨタは、中国国産車として「一汽トヨタ(FTMS)」「広汽トヨタ(GTMC)」、日本からの輸入車として「レクサス」の3チャンネル販売体制を敷く。2017年の129万台の実績に対して、2018年は140万台の販売を見込む。

 小林氏は「2017年は、需給体制強化の推進、新商品導入に合わせたブランド活動のシフト、基礎となる生産の安全、品質強化、TNGA商品の投入をきっかけに体質強化を図った。トヨタの販売ランキングで、中国はアメリカ、日本に続いて第3位。2018年は140万台、前年に対して109%に伸ばそうとしている。簡単な目標ではないがチャレンジしょうとしている」と今後の意気込みを述べた。

2019年に「カローラ」「レビン」のPHV導入、2020年に「C-HR」「IZOA」ベースのEV導入

北京モーターショー開幕前日にSUVモデルの「C-HR」「IZOA」中国導入を発表
北京モーターショーのプレスカンファレンスで「カローラ」「レビン」のPHV導入を発表。小林氏は「世界で最も電動化が進むこの中国で、環境戦略を全方位で、着実に、自信を持って進めていきたい」とコメントした

 今回の北京モーターショーでトヨタは、2019年に「カローラ」「レビン」のPHV(プラグインハイブリッド車)を、また2020年に「C-HR」「IZOA」ベースのEV(電気自動車)を、それぞれ中国市場に導入することを発表。2020年までにこれらの車種を含む10の電動車を新たに中国市場に導入する計画で、電動車のコア技術であるバッテリー、インバーター、駆動系ユニット等中国における現地生産化を進めるとしている。

 PHV、EV、HV(ハイブリッド)モデルの位置付けに関する記者からの質問に、小林氏は「中国ではNEV(New Energy Vehicle)の規制、ガイドラインが厳しいので、EVを他地域より先行して対応しなければならない。合わせて中国ではCAFE(Corporate Average Fuel Economy)燃費の規制も厳しいので、それにミートするためにハイブリッドは重要な技術。カムリのハイブリッドに続いて、カローラやレビンといった量販モデルにもハイブリッドモデルを入れて販売台数も上がってきている。NEV、CAFEの厳しいところでは、いろいろな電動化車両が必要になってくる。今回のショーで発表したPHV、それからEVを上手にミックスして規制に対応し、中国の大気をきれいにしていくことに貢献していきたい」と答えた。

 また、中国政府によるクルマの製造業における資本規制の見直しに関する質問に、小林氏は「大変歓迎すべき内容であるが、我々としては慎重に考えていきたい。中国で事業をする上で、資本の関係だけでなく、現地調達やサプライヤーの問題、諸規制もあるので総合的に考えたい。今、2つの合弁会社とはいい関係を築いているので慎重に考えたい」と述べた。

 さらに、輸入車に対する関税引き下げについて、小林氏は「我々だけでなくほかの輸入車も影響を受けるので、いいクルマを提供し続けないとこの競争に勝てない。また、輸入車が安くなるということは国産車の販売にも影響が出るので、中国で国産したクルマの競争力をつけないといけないので、合弁会社の競争力の強化は近日の課題。これを実現するには、どうやって競争力を高めていくのか、合弁相手の方と話していかなければならない」との考えを示した。

編集部:椿山和雄