イベントレポート
【CES 2019】インテル、「バットマン」など270度没入型車載エンタテイメント
モービルアイ搭載BMWも展示
2019年1月10日 13:07
- 2019年1月6日~7日(現地時間) プレスカンファレンス
- 2019年1月8日~11日(現地時間) 一般公開
インテルは米ラスベガスで開催中の「CES 2019」において、自動運転分野の展示を行なっている。
ブース正面で大きく目立つのは、ワーナー・ブラザースとの協業で実現した自動運転車向けの没入型車載エンタテイメントシステム。後部座席の正面と左右270度にスクリーンを設けることで、視界を覆うような映像体験をもたらす。
デモはライドヘイリング(配車サービス)と一体になっており、既存のUber/Lyftのように現在地と目的地を指定すると自動運転車が配車され、目的地までの道中を車内エンタテイメントで快適に過ごせる、というもの。到着したクルマに乗り込む際は自身のスマートフォンがドアロックを解除するキーになっており、アプリ側で解錠しなければ乗車できない。後部座席の窓には南京錠のアイコンとともにユーザー名が表示されているため、仮に複数のクルマが到着しても、自分が呼んだものがどれか一目で分かるようになっている。ちなみに一連の機能はWayne Technologies(DCコミックス/ワーナー映画「バットマン」で主人公ブルース・ウェインが経営する企業)が開発した体になっており、アプリにはWayne Techのロゴが表示される。
乗車すると、車内ではブルース・ウェインの執事アルフレッド・ペニーワースが案内役を務める。運転席と助手席の背後には埋め込み式ディスプレイが設置してあり、アルフレッドのあいさつやシートベルト着用の促し、映像コンテンツのメニューなどが表示される。(デモでは静止したままだが)クルマが動き出すと、車内に設置された2基のプロジェクタによって後部座席左右の窓にはゴッサムシティの映像が表示され、あたかもバットマンの作品世界のなかを走っているかのような演出が行なわれる。今回記者が体験できたのは、バットマンのコミックス電子版と、同じくDCコミックス作品で、日本では2月に公開される映画「アクアマン」の予告編映像。
映像コンテンツを選択すると埋め込まれたディスプレイが天井近くまでせり出し、乗車時には細い横長表示だった画面が大型のワイドスクリーンに変わる。コミックリーダーは手元のスマートフォンでページめくりの操作が可能で、作品の詳細などを確認することも可能。また、作品は単なる電子版ではなく、別掲の動画を見ていただくと分かるように、後部座席の右側窓から敵が飛び出してバットマンに襲いかかる、といった演出も用意されている。一方、映画の予告編では正面のディスプレイに予告編映像、左右の窓に追加コンテンツを表示し、手元のアプリではチケットを購入することもできる。
映像コンテンツを見ている間、事故や工事で道路が封鎖されていることなどを認識すると新たなルートを設定し、そのことを利用者に黄色や赤の表示で通知する。また、車内にはパーソナルスクリーンとしてタブレットが設置してあり、コンテンツの再生中も地図で現在地を表示したり、車外の360度センサーによって自車周辺を走行しているクルマとの位置関係が把握できたりといった機能を提供する。
このほか、インテルブースには車載用の衝突防止システムなどを開発する同社傘下のモービルアイ(Mobileye)の製品を搭載したクルマも展示している。8基のカメラを自車周辺の認識、4基のカメラを駐車時に利用、交通標識や道路状況を認識してエルサレムを自動走行した映像を、VRゴーグルで追体験できる。
また、モービルアイのRoad Experience Management(REM)を利用した自動運転向けのマッピングと駐車スペースの検出技術についても映像展示を行なっている。
展示に先立って1月7日(現地時間)に行なわれたプレスカンファレンスでは、Mobileye CEOのAmnon Shashua氏が登壇、2018年に投入した3眼カメラ(28度/52度/150度)や第5世代SoC「EyeQ5」を搭載したボードサンプルなどを示し、さらに日本の高速道路2万5000kmの地図化が完了したことを報告した。