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【インタビュー】ランボルギーニ首脳陣に新型SUV「ウルス」や日本市場の動向について聞く

2018年登場の新型SUV「ウルス」はハイブリッド車もラインアップ

2017年6月8日 開催

6月8日に行なわれた「ウラカン・ペルフォルマンテ」の発表会に出席したランボルギーニ首脳陣にインタビュー

 ランボルギーニ ジャパンは、「ウラカン」のハイスペックバージョン「ウラカン・ペルフォルマンテ」のジャパンプレミアを6月8日に行なった。このなかで、アウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区 代表のアンドレア・バルディ氏、アウトモビリ・ランボルギーニ 日本&韓国 カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏に、2018年登場の新型SUV「ウルス」や日本市場の動向などについてうかがうことができたので、その模様をレポートする。


――まずはウラカン・ペルフォルマンテの日本での販売戦略や、想定する顧客像などについて教えてください。

クレシ氏:ウラカン・ペルフォルマンテは最新のテクノロジーを凝縮させていまして、特許を含みたくさんのソリューションを詰め込んだモデルです。ですので、日本のお客様にも必ず高く評価いただけると思っています。実際、(今回の発表会の)少し前に選ばれたお客様にだけお見せする機会があったのですが、そこで高い評価を得ることができ、実際に受注をいただきました。これからがオフィシャル・ローンチになるわけですが、日本でも大きな成功をすると大きな期待を持っています。

 ターゲットになるお客様ですが、こういった最新のテクノロジーに興味を持っている方、パフォーマンスカーですのでパフォーマンスをお求めになる方にふさわしいモデルだと思います。

アウトモビリ・ランボルギーニ 日本&韓国 カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏は、2016年9月にアウトモビリ・ランボルギーニ日本&韓国のカントリーマネージャーに就任。アジア太平洋地区代表のアンドレア・バルディ氏のもと、日本と韓国のセールス、マーケティング、アフターセールス・オペレーションの責任者を務める

――現在生産数を伸ばし、販売面も順調だと思いますが、アジア太平洋地区と日本それぞれで何か特別な販売戦略などはあるのでしょうか。

バルディ氏:アジア太平洋地区全体で見ますと、世界で販売した数の3分の1を占めています。世界中の販売台数におけるボラティリティをカバーするためにも、リスクを回避するためにもアジア太平洋地区のバランスのとれた状態で安定した販売を行なっていきたいと思っています。

 そしてアジアのなかで、すべてのマーケットが大切なのですが、成熟度がそれぞれ違いまして、色々とアプローチを変えていかなければいけません。日本は特別なマーケットで、ランボルギーニにとって世界で2番目に大きなマーケットなのです。なのでリソースを集中していますし、日本のマーケットに投資すれば必ずお客様からよい反応が返ってきますので、これからも日本のマーケット、お客様を大切にしていきたいと思います。

2014年6月にアウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区の代表に就任したアンドレア・バルディ氏。アジア太平洋地区におけるセールス、マーケティングおよびアフターセールス業務全体の統括を行なう

――来年SUV「ウルス」の導入を控えるなど、これまでのニッチなところから市場を拡大しようという動きがあるかと思います。日本においては、どのような層を新たに開拓していきたいですか?

クレシ氏:ウルスの登場によって状況がガラッと変わると思っています。ウルスは日本でも大きな可能性を秘めておりまして、売上に関しましても期待を高く持っています。しかし、いくら販売台数が増加したからといって、私たちはニッチであると思っています。“エクスクルーシブスポーツカーセグメント”を見ましても、世界での販売台数は6000~7000台にとどまります。我々はエクスクルーシブであり続けたいと思いますし、今後もそうした戦略を続けていくと思っていますが、どのような層が新しいターゲットかと言えば、ファミリー層になるかと思います。毎日使いたいですとか、家族をたくさん乗せたいなど、今までのモデルではそういった希望に添えなかったので、そうしたお客様に見ていただけたらなと思っています。

2012年の北京モーターショーで公開されたSUV「ウルス」のコンセプトモデル

――2017年に入ってからも販売が好調のようですが、その要因をどう見られていますか? おそらく1月に新しいショールームをオープンしたことも大きな要因かと思いますが、今後の日本でどういった投資をしていくか、見通しがあれば教えてください。

クレシ氏:もちろん新しいディーラーというのは、今後も可能性のあるマーケットについては考えていきたいと思っていますし、最近オープンしたランボルギーニ神戸ランボルギーニ横浜はもちろん販売や受注に貢献しています。

 実際、私たちの今年度の成績ですが、対前年比で24%増と大きく成長しています。そしてウルス導入で販売の大きなチャンスにつながると思っていまして、とくに日本の北部の方に(ショールームオープンの)可能性があると思っています。

1月21日にオープンした「ランボルギーニ神戸」(左)と「ランボルギーニ横浜」(右)

――クレシさんにお伺いします。日本および韓国のカントリーマネージャーに就任(2016年9月)してまだ1年に満たないかと思いますが、日本の印象はいかがでしょうか。

クレシ氏:いつも感銘を受けるのですが、日本のなかにはランボルギーニに対して愛着を持って下さる熱狂的なファンの方々がたくさんいらっしゃるなと、とてもポジティブに見ています。これからもインスパイアを与えて、たくさんのファンを作っていき、皆様の期待に応えていきたいと思っています。そして最新のテクノロジーや革新を通じて、さらに多くの方にランボルギーニに対して興味を持っていただき、それが続いていくのではないかと思っています。

――バルディさんにお伺いします。今のお話しを聞いていて販売台数にまだまだ伸びしろがあるのかなと思いますが、今後どのくらいまで販売台数を伸ばしていきたいですか? とくにプレミアムブランドとして台数を伸ばしていくというのはかなり難しいところがあると感じています。要するに、台数が伸びればプレミアム感が薄れていくところがあるかと思うのですが。

バルディ氏:このボリュームとニッチの関係についてご説明したいのですが、“エクスクルーシブスポーツカーセグメント”というのは競合するメーカーは数少ないですし、そのなかの競合はすべてエクスクルーシブなブランドです。このセグメント、数千台レベルの話でして、ほかのマスブランドでしたら何百万台など桁が違うわけです。私どもも、2016年の世界における販売台数は約3500台(3457台)と数千台レベル。それを50のディーラーで分けると(それぞれのディーラーに振り分けられる)台数は本当に大きくないのです。

 ウルスの登場で販売台数を2倍にできるかもしれません。その可能性があるかもしれません。ランボルギーニにとって大きなジャンプをするチャンスですが、それでも数千台レベルの話なのでエクスクルーシブであることに変わりはないと思っています。他のプレミアムブランドとうたっているメーカーも数万台レベルと桁が違うわけです。このポジショニングというのは本当に大切にしていきたいと思っていまして、パフォーマンスや細部へのこだわり、研究開発に惜しみなく時間をかけることによってコストは高くなるのです。これがマスブランドや他のプレミアムブランドと一番の大きな違いだと思っています。

 まだまだ売れる可能性があるとお話しをいただきましたが、もちろん(可能性は)あるのですが、我々は一貫したサービスをお客様に提供していきたいのです。生産能力が限られていますので、ときにお客様に納車を待っていただかなければならないときもあります。しかしながら、1台1台丁寧に作っていき、富裕層のパフォーマンスを好まれるお客様に丁寧にお届けできたらなと思っています。

――ウルスを含め、ここにきてラインアップするモデルを増加させているようですが、なぜこのタイミングでモデルを増やしているのでしょうか。

バルディ氏:ランボルギーニは高い評価をいただいておりまして、その評価がさらに上がってきていることもあり、いい機会だと思ったのです。ウルスを出すことで、ニッチのなかにあってもさらに販売台数を上げることができるだろうと。とてもよい決断だったと思います。もちろん情熱もありましたし、成長の機会だと思いました。そして会社の長期的な成長に貢献できるから、ウルスの発売を決断したわけです。

 なぜSUVだったのか? セダンという選択肢もあったのですが、SUVは正しい決断だったと思っています。私たちが出すのは単純なSUVではなく、“スーパースポーツSUV”です。他の競合がやっていないところに投資をするということで、新たな可能性が広がると信じています。

――最近のパワートレーンの電動化の流れに焦りはありませんか?

バルディ氏:どのメーカーも電動化は話し合っているのではないでしょうか。ランボルギーニももちろん社内で議論を重ねています。けれども、現行のパワートレーンは規制に合致していますし、今あるもののなかでファン・トゥ・ドライブですとかエモーション、パフォーマンスをお客様に提供していきたいのです。ですので、今すぐにEV(電気自動車)とかそういうお話しはできないのですが、ウルスに搭載する2つのエンジンのうち、1つはハイブリッドを予定しています。