5月16日にマイナーチェンジして発売された「MINI クーパー S 3ドア」 ビー・エム・ダブリューは5月16日、同日にマイナーチェンジした「MINI」の3ドア、5ドア、コンバーチブルの記者発表会を都内で開催した。
新しいMINIではパワートレーンで改良を実施。トランスミッションにはこれまで6速MTと6速ATの2種類を設定してきたが、1.5リッターのガソリンエンジンと192PSを発生する2.0リッターガソリンエンジンに6速MTと新開発の7速DCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)、231PSを発生する2.0リッターガソリンエンジンに6速MTと新開発の8速スポーツATの組み合わせに変更された。
また、内外装のデザイン変更、コネクテッド機能の充実なども図られている。価格は3ドアが238万円~450万円、5ドアが271万円~407万円、コンバーチブルが373万円~523万円。このほか、新しいMINIのラインアップやマイチェンの詳細などは、関連記事の「BMW、MINI 3ドア、5ドア、コンバーチブルをマイチェン。トランスミッション刷新」を参照していただきたい。
左から、MINI クーパー S 3ドア、MINI クーパー 5ドア、MINI クーパー S コンバーチブル。車両脇に立っているのは、ビー・エム・ダブリュー株式会社 MINI 本部長 フランソワ・ロカ氏 MINI クーパー S 3ドア。ボディカラーは新色の「ソラリス・オレンジ・メタリック」 LEDヘッドライトの外周に設定されたライト・リングに、LEDのデイ・ライトとウインカーを内蔵。ヘッドライトユニットにもMINIの文字が入っている 3ドアモデルのラゲッジスペース容量は211L。フロアボードの下にサブトランクも用意され、フロアボードはラゲッジスペース右側のロックで開けたままにできる 内装色はカーボン・ブラック。展示車ではオプションのスポーツシートを装着している MINI クーパー 5ドア。ボディカラーは新色の「エメラルド・グレー・メタリック」 リアコンビネーションランプは、左右を合わせると英国の国旗「ユニオンジャック」になる個性的なデザイン。側面にMINIの文字が入っている 直列3気筒DOHC 1.5リッター“ツインパワー・ターボ”のガソリンエンジンは、最高出力100kW(136PS)/4500rpm、最大トルク220N・m/1480-4100rpmを発生 前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキなどを備えた「ドライビング・アシスト」の単眼カメラをフロントウィンドウに設置 純正仕様のタイヤサイズは前後175/65 R15だが、展示車ではオプションの17インチアロイホイールに205/45 R17タイヤを組み合わせていた 5ドアモデルのラゲッジスペース容量は278L。リアシートは6:4分割可倒式でシートバックが前方に倒れる MINIのオプション「MINI Yoursピアノ・ブラック・イルミネーテッド」作動シーン(20秒。無音) 現在のMINIは「本物感」や「大人の世界」で販売を拡大
ビー・エム・ダブリュー株式会社 MINI 本部長 フランソワ・ロカ氏 発表会では最初に、ビー・エム・ダブリュー MINI 本部長のフランソワ・ロカ氏が登壇。ロカ氏は新製品の紹介に先立ち、MINIブランドの現状について説明し、日本市場でMINIは8年連続で販売台数を増やし、2017年は初めて年間販売台数が2万5000台を超えたが、これは8年前の2009年の約1万1000台から倍増以上となる131%増になるとアピールした。
この好調から、ドイツの本社からも理由を質問されることがあるとロカ氏は語り、その理由について日本市場にはMINIのコアなファンが多いことに加え、MINIはボディタイプに3ドア、5ドア、コンバーチブル、クロスオーバーなどがあり、パワートレーンもガソリン、ディーゼル、PHEVと多彩で、これだけのバリエーションを用意している小型車が他にないことを理由として挙げた。さらに限定車にも非常に力を入れており、限定車のアイデアを日本法人で考えて、それをグローバルで販売したこともあるとの実例を説明。
これに加えてロカ氏は、自身の編み出した「三角の戦略」について解説。まず一番大切なのは「ブランド」と語り、さらに「製品」、そして「人材」にも力を入れる必要があると述べ、この「人材」では、自社の社員や販売店のスタッフの全てが「MINIが大好き」で、販売店の来場者に対して家族のような対応をしていると紹介した。
2009年の1万1002台から、2017年には131%増の2万5427台に販売台数が増加した 2017年はMINIとして初めて2万5000台以上を販売 「ブランド」「製品」「人材」で構成する「三角の戦略」 また、MINIでは以前は「やんちゃ」というイメージ戦略を使ってきたが、そこでMINIを購入したユーザーも年齢を重ねて大人になったことで、現状ではもっと「本物感」が必要になってきているとロカ氏は分析。この「本物感」を生み出すため、本音で製品を説明して、リアルな情報を提供することが大事だと語り、この「大人の世界」を体現するのが「MINI クラブマン」だとした。人によってはこの「大人の世界」について「ちょっと面白くない」と感じる人もいるという半面、戦略の切り替えによってに販売台数が増加しているとのこと。
今後の戦略では、これまでユーザーはクルマ自体を商品として購入してきたが、これからはクルマを通じた体験も提供していくことが必要になるとロカ氏は語り、さらに競合ブランドでも多彩な体験の提供を実施していることから、ただ体験をしてもらうだけでは不十分だと分析。次のステップとしてクルマ以外の課題をブランドに取り込んでいくことが重要と位置付け、MINIブランドの周辺に「リビング」「ファッション」「A/D/O」「URBAN X」という4つの要素を置く活動について解説した。
MINIの活動指針である「CREATIVE SOLUTIONS FOR A BRIGHTER URBAN LIFE.」 将来的な戦略として、MINIブランドの周辺に「リビング」「ファッション」「A/D/O」「URBAN X」の4要素を置いていく ロカ氏のプレゼンテーション後に、ステージ上の新しいMINIがアンベールされた ビー・エム・ダブリュー株式会社 MINIディビジョン プロダクト・マネージャー 生野逸臣氏 ロカ氏に続いて登壇したビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン プロダクト・マネージャーの生野逸臣氏が、今回行なわれたMINIのマイチェンについて解説。生野氏は「ぱっと見では大きく変わっていないですが、結構変わっているところがあります」と語り、MINIは誰が見てもひと目でMINIと分かるデザインを持っていることが求められるため、内外装で大きな変更は行なわれていないと説明しつつ、各進化ポイントを語った。
ボディやステアリングなどに設定されているロゴマークは、これまでの立体的な形状から、最新のトレンドを受けてシャープで平面的なスタイルに変更された 会場に展示された3台のモデルにも使われている、3色のボディカラーを新採用 リアコンビネーションランプはユニオンジャックをモチーフに使うことで「英国らしさ」を強調した 6速ATから新開発の7速DCTに変更。これまで以上にシャープな加速を実現し、MINIのテーマである「ゴーカート・フィーリング」を高めている 車載通信モジュールで周辺環境と接続し、サポートサービスによる安心感やオンライン対応による利便性向上を実現する「MINI Connected」を新採用 生野氏は最後に、「新しいMINIはデザイン面でも『よりMINIらしく』なり、新しいトランスミッションの採用でわれわれが提供している『ゴーカート・フィーリング』も1歩進めたものになりました。さらにコネクテッド機能が付くことで『安心と便利さ』をドライバーに提供できるという、これまでのMINIよりもすばらしい進化を遂げました」と締めくくった。
MINI クーパー S コンバーチブル。ボディカラーは新色の「スターライト・ブルー・メタリック」 ソフトトップはオーバーヘッドコンソールに設定されたスイッチを長押しすることで開閉。最初にフロントシートのヘッドレスト上で畳まれた幌が、Z折り形状でカバー代わりになる オーバーヘッドコンソールには、ソフトトップの開閉スイッチの他に緊急時の「SOSコール」用ボタンもレイアウト ユニオンジャック柄のソフトトップは10万7000円高のオプション 直列4気筒DOHC 2.0リッター“ツインパワー・ターボ”のガソリンエンジンは、最高出力141kW(192PS)/5000rpm、最大トルク280N・m/1350-4600rpmを発生 コンバーチブルのトランクリッドは下ヒンジ。トランク容量はソフトトップのクローズ時が215L、オープン時が160L リアシートは5:5分割でのトランクスルーが可能。トランク内に操作スイッチを用意する MINI クーパー S コンバーチブルの標準シートはカーボン・ブラックのクロス/レザーコンビネーションシートだが、展示車はオプションのサテライト・グレーのレザーシートを装着 ドアのインナーハンドルやスピーカーに、MINIのデザインテーマであるオーバルが使われている MINI クーパー S コンバーチブルのインテリア コンバイナ式の「ヘッドアップディスプレイ」はオプション装備 ペダル類もオーバルデザイン。アクセルペダルはオルガン式となっている 7速DCTのシフトセレクターは、Dレンジを選択してから左に動かすと、マニュアルシフトモードになる カーナビやオーディオ、車両設定などをコントロールできる「MINIコントローラー」 シフトセレクターをマニュアルシフトモードにしたままエンジンをOFFにすると、自動的に右側に戻る(2秒) センターコンソールの最上段が8.8インチのセンター・ディスプレイとなり、エアコンパネル、エンジンスタートなどのトグルスイッチ類がレイアウトされる センター・ディスプレイはカーナビの地図表示のほか、「ドライビング・アシスト」の設定変更なども行なえる