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初めてのF1! 鈴鹿サーキットでF1日本GPを観戦してみた

滞在約5時間。それでもレースは楽しめた

2019年10月11日~13日 開催

F1日本グランプリを初観戦してきました

 10月11日~13日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された「2019 FIA F1世界選手権 シリーズ第17戦 日本グランプリレース」。これまでモータースポーツは富士スピードウェイで開催されたSUPER GTにしか行ったことのない私。今回、初めて鈴鹿サーキットに行き、初めてF1を観戦してきた。

 すべての始まりは、奥川浩彦氏が執筆したDAZNの記事がきっかけ。「そんな手軽に見られるなら……」とDAZNに加入し、2019年シーズンは開幕戦から欠かさずF1を見ているうちに「F1を観に行ってみたいな」という思いが芽生え、「70種類のデザインから選べるチケットの存在を知り、「行くなら今しかないのでは!?」と観戦を決意。初心者ながらに情報をかき集め始めて、初めてのF1観戦に挑むこととなった。

 本稿では、F1観戦初心者による手探りの準備をメインに、台風19号に振り回されつつもF1日本グランプリを楽しんできた様子をお伝えしていく。

チケット選びは慎重に、されど大胆に?

 チケットの購入にあたっては、初めてのF1、初めての鈴鹿サーキットということで、観戦しやすいエリアがどこなのかが見当もつかず……。チケットページを開いてその膨大なエリアの数に呆然としつつ、奥川氏が過去に執筆した「F1大好き! 今年も鈴鹿に行くぞ」を読みあさり、鈴鹿サーキットのWebサイトで座席からコースを見た動画を見て、いくつか目星を付けていったのが最初の作業。

 ただ、眺めのいい席を探そうとすると、覚悟はしていたものの総じてチケット代が少しお高め。「失敗はできないな……」と悩みに悩みまくっていると、売り切れの表示がちらほらと出始めてきてしまい、慌てて購入したのは、1コーナーと2コーナーが間近に見えるB2席。購入時の価格は6万4200円。全開でメインストレートを走ってきたマシンが突入してくる1コーナー&2コーナーでは、何かドラマが起きるのでは……? という予想が決め手となった。

 ここで1つ失敗してしまったと思ったのは、エリアだけでなく座席の番号まで細かく選べるようになっていたこと。今回は購入のタイミングが遅かったため、B2エリアで選択できた座席は10席未満。エリアだけでなく座席位置まで選べるということを知っていたら、もっと早く申し込んでいたのに……! などと思ってももう後の祭り。細かい座席位置まで自由に選びたいのであれば、発売後早い時期に申し込みが必要だ。なお、チケットは8月末に箱に入れられ、心が沸き立つような手紙付きで自宅に送られてきた。

チケットが入っていた箱も専用デザイン
開封の儀。気持ちが昂ぶる
開催が待ち遠しくなる手紙が付いていた

交通手段はクルマ? 鉄道? バス?

 席を確保するのと同時に検討をしていきたいのが、サーキットまでの交通手段。当初はクルマで鈴鹿まで行こうかと考えていたのだが、きっと歩き疲れているであろうときに渋滞に巻き込まれ、さらに東京まで運転しなければいけないと考えると、なかなかハードな行程になりそう。なので、東京から名古屋までは新幹線を使い、名古屋から鈴鹿サーキットまでは三重交通がF1日本グランプリの開催に合わせて運行するサーキットエクスプレスという直通バスを予約することに。価格は往復5000円。

 このサーキットエクスプレスはWebのみの取り扱い商品となり、名古屋から鈴鹿サーキットに向かう便は決められた時刻(2019年は予選日の12日は8時と9時、決勝日の13日は8時、9時、10時)に出発し、鈴鹿サーキットから名古屋までの便は、予選日は16時30分~17時30分まで、決勝日はレース終了後~18時まで随時バスが出発するというもの。乗り場の位置と時間さえ間違えなければ、後は目的地まで直通で連れて行ってくれる。なんとも楽チンだ。

 今回は12日と13日の2日分を申し込んだ。Webで手続きした後は自宅に予約確認票が封書で送られてくる。この予約確認用は乗車時に必要になるほか、集合場所や注意事項、当日の緊急連絡先も記載されているので忘れずに確認しておきたい。なお、座席に余裕があれば当日券も現地で販売するということだったのだが、決勝日の鈴鹿サーキット発名古屋行きの便は早々に完売してしまっていた。

 あとは12日からのホテルを名古屋に確保して(これも早めに動いておかないと、すぐに満室になってしまうので注意!)、新幹線チケットを購入して当日に備えるだけ。そこまでの準備をすべて整え、ワクワクしながら待ち望んだF1日本グランプリだったのだが……。ここで“ヤツ”が発生した。そう。大型で非常に強い勢力の台風19号。

 天災になす術がないとはいえ、12日の予選は中止。13日も10時から予選、14時10分から決勝のイレギュラーなスケジュールに。新幹線も12日は運行中止となったため、12日の名古屋入りは絶望的。泣く泣く腹をくくってホテルをキャンセルして、13日に新幹線が動くことをただ祈った。

 ちなみに、10日のお昼ごろに三重交通から12日のサーキットエクスプレスを運行中止するという連絡が入った。この時点ではまだ鈴鹿サーキットは12日の予選中止を発表していなかったので、相当早い決断だったと思う(むしろこの連絡がなければいろいろと諦められなかったかもしれない……)。

新幹線、始発から動くってよ

 台風当日の12日は翌日の新幹線が運行するかどうかの不安と、新幹線がもし動いたとしても予選に間に合わないかもしれないという悲しみ、普段はほとんど聞くことのない防災無線による焦り、それらの条件が重なりずっと落ち着かず、ヤケ酒をあおり早々に就寝。

 早朝4時30分に目覚めると、まずは新幹線の運行情報をチェック。5時に発表されたほぼ通常通り運行するとの知らせに心が沸き立つ。慌てて身支度を整え、家を出たのが6時すぎ。品川までなんとか辿り着き、8時台に品川を出発する新幹線で名古屋に向かうことができたのだ!!

当日販売の新幹線指定席券は窓口でのみの販売となっていたため、長蛇の列に並ぶことに。ここでも事前の準備が甘かったことを痛感。後から「とりあえず自由席で乗って、車内で精算して指定席にすればよかったのでは」と聞いて目からウロコ。今後の参考に覚えておくようにする

 なお、この日予約していた三重交通のサーキットエクスプレスは名古屋発8時の便。品川に着いた時点で間に合わないことが確定したため、担当者に連絡をしたところ「10時の便も空いてるので、もし間に合ったらそちらに振り替えられます」と、ありがたい言葉をかけていただいた。残念ながら10時の便にも間に合わなかったが、臨機応変に対応していただけた三重交通に心をグッとつかまれたのは言うまでもない。来年もまた予約させていただきます!

 ピーカンの名古屋に着いてからは、在来線で鈴鹿サーキットまで向かう。アクセス方法は、近畿日本鉄道の白子駅からシャトルバス、もしくは伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅から徒歩の2通りがあり、シャトルバスだと道路が混んでいるという情報もあったので、今回は鈴鹿サーキット稲生駅から徒歩を選択した。

 運よくちょうどいい時刻の列車があったため、切符を購入しようとしたのだが初めての自動券売機では購入方法が分からず若干のタイムロス。駅員さんに聞いたところ、JRから伊勢鉄道に乗り入れる関係で画面左側の「他会社連絡きっぷ」というボタンから伊勢鉄道のボタンを押さないと、鈴鹿サーキット稲生が表示されないということだった(写真を撮り忘れてしまった……)。

最近ICカードでの乗車がほとんどだったため、小ぶりの切符を久しぶりに手にした。待ってろ鈴鹿!

 無事に鈴鹿サーキット稲生駅までの切符を購入し、快速「みえ」に乗車(快速みえは気動車だった!)。普段は静かな駅であろう鈴鹿サーキット稲生駅は、F1日本グランプリ開催時には快速が臨時停車するということで、地域の観光PRをするテントがたくさん建てられていて、駅に着いたときからお祭りのような雰囲気で気持ちが上がってくる。駅からは人の流れに沿って15分くらい歩いていくと、遠くに見えていた観覧車がだんだんと近づいてきて、ようやく鈴鹿サーキットに到着。ついにやってきたぞ鈴鹿!!

鈴鹿サーキット稲生までの道中はDAZNで予選を見ていたため、車窓を楽しむ間もなくあっという間に到着
遠くに観覧車が見えてきたときには「あれが鈴鹿の……」と、ちょっとだけ感動

目の前を走り抜けるF1マシンに感動

 大勢の人、人、人!! 台風を乗り越えて、鈴鹿サーキットには大勢の人たちが集まってきていた。当たり前だが外国人の方々が多く、本当に世界最高峰のレースなんだとあらためて実感させられた。

 サーキットに着いてからは、まずスポンサーでもあるハイネケンのビールで喉を潤しつつ、GPスクエアで物販を物色。お目当てだったチームカラーに塗られた赤べこはすでに売り切れていたのが残念だったが、F1日本グランプリならではのタオルやキャップ、Tシャツといったおなじみの商品から、がま口や日本酒など和を感じるグッズにキッズ向けのロンパースなど、ついついサイフの紐がゆるんでしまいそうな多岐にわたるラインアップが揃っていた。各チームもショップを出していて、チームと同じデザインのシャツやジャケットなど、こちらも記念になりそうなアイテムがたくさん並んでいて、眺めているだけでも楽しかった。

まずはこれでしょう! とばかりに購入。今回頑なにクルマのステアリングを握らないようにしていたのはこれがあったから
限られた時間の中で、ちゃっかり無料のボディペイントをしてもらった

 物販を見てからGPスクエアの出店で食事を購入しようと列に並んだのだが、なかなか進まず購入できた時点で時間はすでに13時45分過ぎ。GPスクエアからB2席まで向かう途中でHondaJetのフライパスを眺め、国歌斉唱を聞くこととなってしまった。とはいえ、オープニングラップ前には自席に座ることができ、F1マシンがゆっくりとコーナーを曲がって来たときには大感動! いつも画面で見ているF1マシンのカーナンバーが、肉眼でもはっきりと確認できた近さに思わず涙が浮かんできた。

B2席からすぐ見える位置に大型モニターが設置されている。自席から見えない位置のバトルも順位も、これでしっかり確認ができた
写真では分かりにくいかもしれないが、遠くのS字まで見わたせた

 全車がグリッドに並び、シグナルがブラックアウトして一斉にスタートする瞬間は、席の目の前に設置された大型モニターで確認。エキゾーストノートを上げながら入り乱れた集団が1コーナーに向かってくる。その迫力とわずかに匂ってくるタイヤのゴムが焼けるにおいに圧倒されていると、2コーナーの目視できる位置でマックス・フェルスタッペン選手がコースアウト……。「何かが起きるかも」と選んだ座席エリアで、まさにドラマが生まれたことに嬉しい半面、それがフェルスタッペン選手の身に起きてしまったことにわずかながら心がざわついた。

決勝レース、スタート!!

 レースが進むと、セバスチャン・ベッテル選手とルイス・ハミルトン選手のつばぜり合いも見ることができ、目の前で繰り広げられる熱い戦いをまさに肌で感じられた。そして、チェッカーフラッグが振られる直前のセルジオ・ペレス選手の接触……。初めての観戦にもかかわらず、想像以上のドラマを見られて大満足。レースの詳細は別記事で紹介されているので、そちらを参照いただきたい。

セルジオ・ペレス選手がレース終了直前にクラッシュ……。マシンから下りて立ち尽くす姿も肉眼で見られた

鈴鹿サーキット滞在は約5時間。イベントも楽しむにはちょっと足りない……

 あっという間にレースが終わり、西コースウォークに参加しようと入場口まで向かったものの、想像以上の長蛇の列。帰りのサーキットエクスプレスは18時が最終便なので潔く諦め、メインゲートからサーキットエクスプレスの乗り場に向かうことに。途中、白子駅行きのシャトルバス待ちの長蛇の列を横目に、15分ほどの待ち時間でバスに乗り込むことができた。

 ただ、鈴鹿サーキットを出てから鈴鹿インターチェンジまでが大渋滞。1時間30分ほど一般道での渋滞にハマり、途中休憩を挟みつつ名古屋駅に着いたのは20時をまわってから。それでも、疲れてうとうとしていても大丈夫というのは心強かった。

 初めてのF1日本グランプリ参戦は、台風19号の影響を受けて右往左往しつつも満足に楽しむことができた。鈴鹿サーキットの滞在が約5時間という短いものだったが、ドラマチックな決勝レースをとてもいい位置で見ることができたため、かなり満足度は高いものとなった。トークショーなどの盛りだくさんだったイベントは見ることは叶わなかったが、それは今後の楽しみにとっておきたいと思う。また、新幹線+三重交通のサーキットエクスプレスという組み合わせはとても便利だと分かったのも大きな収穫だった。この組み合わせでまた来年も鈴鹿に行くぞ!!

 なお、レッドブル・ホンダの活躍が注目された2019年の入場者数は10月11日が3万3000人、13日が8万9000人の計12万2000人とのこと。来年はこれを超える来場者数となるよう、日本国内でF1グランプリを見られる鈴鹿サーキットにぜひ足を運んではいかがだろうか? 1歩サーキットに足を踏み入れれば、まるでお祭り騒ぎのような雰囲気が出迎えてくれ、レースが始まれば目の前で繰り広げられる超高速の戦いを、息をのんで見守ることとなると思う。それらはすべて、きっと素晴らしい経験となるのではないだろうか。

 そして、鈴鹿サーキットに向かう際には、この記事がほんの少しでも参考になると幸いだ。