ニュース

ボッシュ製ECUなどが2020年のシーズンのGT500マシンへ搭載。GTA 坂東代表と、ボッシュ メーダー社長が会見

2019年11月22日 発表

2020年のGT500マシンと、GTA坂東代表、ボッシュ メーダー社長、ボッシュスタッフ

 11月22日、「SUPER GT×DTM 特別交流戦」を開催中の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、SUPER GTを運営するGTアソシエイションとボッシュの共同会見が開催された。この共同会見は、2020年から3年間にわたりボッシュがSUPER GTのオフィシャルスポンサーとなることについてで、GT500の全15台にボッシュ製のECU(Engine Control Unit)などが搭載されるほか、フロントウィンドウとリアウィンドウに「BOSCH」のロゴが掲示される。

 会見にはGTA 代表取締役 坂東正明氏と、ボッシュ 代表取締役社長 クラウス・メーダー(Klaus Meder)氏が出席し、パートナーシップ契約締結に関して語った。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏(左)、ボッシュ株式会社 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏
GTA 代表取締役 坂東正明氏
坂東代表

 GTAの坂東です。このたびGTAはボッシュさまとのスポンサーシップ契約を締結しましたので、ご報告させていただきます。契約期間は、2020年から2022年の3年間となります。SUPER GTに参加しているGT500全車両のフロントウィンドウおよびリアウィンドウにボッシュのロゴを表示いたします。

 そしてDTMとの共通規則である「クラス1」に則った共通パーツとして、ボッシュのECU、そのほかの部品をGT500の全車に搭載いたします。我々はDTMを統括するITRとの間で、SUPER GTとDTMを統一する技術規則に関する話し合いを2010年から開始いたしました。両シリーズの間にはレースフォーマット、そして競技規則の大きな違いがあります。そのままでもコスト低減と性能均衡化、そしてグローバル化という理念のもとに協議を重ねてまいりました。

 クラス1規則がその中で誕生いたしました。エンジン関係のコンピュータ、関連部品についても2014年から機能を繰り返し確認し、ボッシュさまの製品を共通部品にすることが決定していました。ボッシュさまの卓越した技術、そして製品の精度の高さ、その信頼にせいにつきましてはここにお集まりのみなさん(エントラントや取材者)ご存じのとおり、DTMをはじめとする世界中のレースで実証されています。重要な部品への部品供給、およびオフィシャルスポンサーとしても、我々のSUPER GTに参画していただくことは、私たちにとって大変うれしく思っています。GTAはボッシュさまをはじめ、自動車メーカー、各関連企業のご協力をいただきながら、グローバル化を推進してまいります。

 参加各社のマーケティング戦略に資し、そして何よりファンのみなさまに支持されるレース運営を行なっていきます。クラス1というカテゴリーがより大きく育っていきたいと考えています。今後ともみなさまのご支援とご協力のほどお願いします。

GT500各社に掲示される「BOSCH」ロゴ
ボッシュ 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏
メーダー社長

 ボッシュのメーダーです。本日、2020年間から3年間にわたりSUPER GTの公式スポンサーになることを発表でき大変光栄に思います。このスポンサーシップは、ボッシュが日本市場を重要視していること、そして日本の自動車メーカーに対してコミットすることを表現しています。

 このスポンサーシップを通してボッシュはマシンにロゴを掲示するだけでなく、GT500クラスの全車15台のマシンにさまざまな共通部品を提供いたします。DTMをはじめとしてモータースポーツの要望に応じた経験もあり、ボッシュはGT500のマシンに最高レベルのパフォーマンスとコスト抑制を実現するコンポーネントを提供いたします。スポンサーシップ契約ならび、SUPER GT 500へのコンポーネントの提供を通し、モータースポーツの開発に貢献できることを大変光栄に思っています。

 ボッシュは1901年よりカーレースに参戦するマシンに製品を提供するなど、モータースポーツとの関わりは長きにわたります。過酷なレース環境に耐える安定性が実証された製品を量産車に提供するなど、モータースポーツへの貢献は、より安全で効率的かつ魅力的な量産車の開発に向けた技術力の向上にも繋がっています。

 ボッシュのコーポレートスローガンは「Invented for life」です。常に未来のモビリティを追求していきます。来年からSUPER GTに関わること、そしてボッシュのロゴをレーシングトラックで見られることを大変楽しみにしています。


会見後、3車の前でフォトセッション

 会見では、3年間という契約期間について坂東氏から説明があった。坂東氏は、「3年間基本的に単独での契約、車両に部品・エレクトロニクスパーツとしての搭載があります。それをきちっとしたメンテナンス、および実績というものに対して、短期でなく数年契約ということをお互いにアグリー(合意)を取ってあるわけです。この3年の中では、フロントガラス掲示などのスポンサー契約をしましたので、ここから日本の中の市場、マーケティング、そしてドイツで行なっているITR(DTM)とのパーツでクオリティを上げながら、同じように国内での製品に対するもの、信頼度と性能というものをよりクリヤに均衡した規則の中で、どっちに積んでも同じように動くようなものを、車両が違ってもというところを作り上げたいということを思っています」と語り、3年間という期間は、各チームが安定して開発を続けていくために必要な期間であるという。

 また、ボッシュのメーダー社長については、「3年間パートナーシップ契約を結ぶことでボッシュが得るものは?」あった。メーダー社長は、「日本の市場というのはボッシュにとって非常に重要な市場であります。世界市場において3台に1台は日本産のクルマです。ですから日本のマーケットへのコミットメントは非常に重要です。私たちが日本市場にコミットしていることを、サーキットへ足を運ぶお客さま、テレビで見るお客さまに(SUPER GT車両のフロンドウィンドウの)ロゴとして表現したいと考えました」と答え、ボッシュの日本市場に対する熱い期待が伝わることが重要だという。

 それに加え、「コンベンショナルエンジン(ガソリンなどのトラディショナルな内燃機関)はとても大事な要素です。この(クラス1)のプラットフォームのもとで技術開発をしていきたいと思っています。コンベンショナルエンジンの将来へ向けて、環境性能を含めた技術開発のプラットフォームとして考えています」と回答。ガソリンエンジンを搭載するGT500(および、DTMとの共同規定であるクラス1)は、技術開発の場として魅力的なものであるという。

メーダー氏が坂東代表にボッシュ製ECUを渡す

 2020年からGT500のマシンはクラス1規定が施行されたものとなり、トヨタ「GR スープラ」の登場、そしてホンダ「NSX-GT」のエンジン位置変更など、見える範囲だけでも大きく変わっていく。さらにエンジンコントロールのキーパーツも最新のモータースポーツ仕様のECUに刷新されることになり、勝負の行方はまったく分からないものとなってきた。

 各社、各チームの開発は進んでいくだろうが、ボッシュ製のECUの使いこなしがどれだけできるかも、大きな勝利の要素となるだろう。2020年のSUPER GT開幕戦 岡山の開催日は4月11日~12日。開幕戦の戦いを楽しみに待ちたい。